水面を覆いつくす水草の大群。「地球上最悪の侵略植物」とも呼ばれるナガエツルノゲイトウが千葉で大繁殖しています。影響は農作物以外にも広がっています。
稲の養分を吸う“農家の敵”
沼を覆う緑の植物…その名も特定外来植物「ナガエツルノゲイトウ」。
南米原産で、その繁殖力はすさまじく、「地球上最悪の侵略植物」とも言われています。この“侵略植物”にコメ農家も苦戦。
「茎のところから根が出て、どんどん繁殖していく」
川から引いた水に混ざった「ナガエツルノゲイトウ」の切れ端が田んぼに入り込むと、瞬く間に繁殖。
駆除しても駆除しても、再び繁殖してしまう「地球上最悪の侵略植物」。
「生物がすめなくなってしまう環境の水の中になってしまう」
生態系にも深刻な影響が及んでいました。
川を覆う緑の植物 農作物以外にも
訪れたのは、茨城県を流れる新利根川。特定外来植物「ナガエツルノゲイトウ」が繁殖していました。
2014年に撮られた画像と比較すると、その違いは一目瞭然。川幅の半分くらいまで覆われてしまっています。
ヘラブナなどを釣ることができる新利根川で代々貸しボート店を営む松田行弘さん。船に乗せてもらい、川の上流へ。
本来、用水路だが、ボート1台通るのがやっとというほど、植物で埋め尽くされています。
「釣りができない状態なので、客足が鈍る」
“侵略植物”生態系にも影響か
千葉県の手賀沼でも数年前から「ナガエツルノゲイトウ」に手を焼いています。ドローンを飛ばしてみると、沼を囲う低い草はナガエツルノゲイトウ。陸地に見えますが、水の上です。
「光が当たらないので、(在来種の)水草が光合成できない。そうなると酸素が発生しない、小魚たちの餌(えさ)になる植物性プランクトンも生まれない。生物がすめなくなる」
県では2020年より駆除を開始。再び繁殖させないために根っこごと引き抜かなくてはなりません。
人の力だと、1日作業してテニスコート1面分を駆除できると言いますが、それでも追いつかないそうです。
千葉県によると、手賀沼では、これまでおよそ8億1600万円の予算をかけ駆除を進めてきましたが…。
「こちらも去年、一帯を駆除したが、この1年間でここまで生えてくるので、その繁殖力が強い」
今年もおよそ1億7000万円の予算をかけ駆除作業を続けているそうです。