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2025年9月25日 19:38

農作物以外も被害…地球上最悪の侵略植物が大繁殖

農作物以外も被害…地球上最悪の侵略植物が大繁殖
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 水面を覆いつくす水草の大群。「地球上最悪の侵略植物」とも呼ばれるナガエツルノゲイトウが千葉で大繁殖しています。影響は農作物以外にも広がっています。

稲の養分を吸う“農家の敵”

 沼を覆う緑の植物…その名も特定外来植物「ナガエツルノゲイトウ」。

 南米原産で、その繁殖力はすさまじく、「地球上最悪の侵略植物」とも言われています。この“侵略植物”にコメ農家も苦戦。

“切れ端”だけでも繁殖
“切れ端”だけでも繁殖
コメ農家 小川利彦さん
「茎のところから根が出て、どんどん繁殖していく」

 川から引いた水に混ざった「ナガエツルノゲイトウ」の切れ端が田んぼに入り込むと、瞬く間に繁殖。

「稲にいくべき養分が雑草にとられる」
「稲にいくべき養分が雑草にとられる」
「稲にいくべき養分が雑草にとられているので、このナガエツルノゲイトウは農家の敵」

 駆除しても駆除しても、再び繁殖してしまう「地球上最悪の侵略植物」。

手賀沼漁業協同組合 西村忠修代表
「生物がすめなくなってしまう環境の水の中になってしまう」

 生態系にも深刻な影響が及んでいました。

川を覆う緑の植物 農作物以外にも

 訪れたのは、茨城県を流れる新利根川。特定外来植物「ナガエツルノゲイトウ」が繁殖していました。

2014年
2014年
2025年
2025年

 2014年に撮られた画像と比較すると、その違いは一目瞭然。川幅の半分くらいまで覆われてしまっています。

 ヘラブナなどを釣ることができる新利根川で代々貸しボート店を営む松田行弘さん。船に乗せてもらい、川の上流へ。

 本来、用水路だが、ボート1台通るのがやっとというほど、植物で埋め尽くされています。

用水路だが、ボート1台通るのがやっと
用水路だが、ボート1台通るのがやっと
松屋ボート 松田さん
「釣りができない状態なので、客足が鈍る」
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“侵略植物”生態系にも影響か

沼を囲う低い草はナガエツルノゲイトウ
沼を囲う低い草はナガエツルノゲイトウ

 千葉県の手賀沼でも数年前から「ナガエツルノゲイトウ」に手を焼いています。ドローンを飛ばしてみると、沼を囲う低い草はナガエツルノゲイトウ。陸地に見えますが、水の上です。

生態系にも影響か
生態系にも影響か
西村代表
「光が当たらないので、(在来種の)水草が光合成できない。そうなると酸素が発生しない、小魚たちの餌(えさ)になる植物性プランクトンも生まれない。生物がすめなくなる」
再繁殖を防ぐため根っこごと引き抜く
再繁殖を防ぐため根っこごと引き抜く

 県では2020年より駆除を開始。再び繁殖させないために根っこごと引き抜かなくてはなりません。

駆除もひと苦労
駆除もひと苦労
「動かない石を引っ張っている感覚。運動会の綱引きをして、向こうからも引っ張られているような重さ」

 人の力だと、1日作業してテニスコート1面分を駆除できると言いますが、それでも追いつかないそうです。

 千葉県によると、手賀沼では、これまでおよそ8億1600万円の予算をかけ駆除を進めてきましたが…。

「繁殖力が強い」
「繁殖力が強い」
駆除の委託業者 大楠泰智さん
「こちらも去年、一帯を駆除したが、この1年間でここまで生えてくるので、その繁殖力が強い」

 今年もおよそ1億7000万円の予算をかけ駆除作業を続けているそうです。

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