東京・杉並区のマンションで25日未明、住人8人がけがをする火災が発生しました。その原因となったとされるのが、今や生活の必需品になりつつある“モバイルバッテリー”です。火元とみられる部屋の住民は「モバイルバッテリーをスマホにつないでいたら火が上がっていた」と話しています。
■就寝中に“発火”8人けが
火はあっという間に燃え広がったようです。
「火災報知器みたいなものが鳴ってるなという感じで目が覚めて、入り口のドアを開けたら煙で真っ白で何も見えなくって。階段も全然見えなかったんで、煙のある方に行ったらだめだなって。真っ白でしたね。目の前真っ白。何も見えなかった」
消防によると、火元となったのは2階部分の1室で、10〜60代の男女8人がけがをしました。火元とみられる部屋の10代女性によると、火災の原因はどこの家庭にもある身近な物でした。
「モバイルバッテリーをスマホにつないで枕元に置き寝ていた。音がして目を覚ましたら、モバイルバッテリーから火があがっていた」
“爆発的に炎”のケースも
モバイルバッテリーにはリチウムイオン電池が使われています。東京都では近年、リチウムイオン電池による住宅火災が急増していて、去年は106件と過去最多となっています。
その燃え方の特徴は、爆発的に激しい炎が噴き出すというもの。発火しやすい状況としては、まず熱のこもりやすい場所での保管。例えば車の中などです。
また、落としたりして強い衝撃を与えた場合も。普段通りに充電をしていても内部でショートを起こし、発火する危険性があります。
リチウムイオン電池関連の火災のうち、約6割は充電中に発生していますが、劣化などが原因で発火してしまうことも。
今年7月、走行中のJR山手線の車内で、30代の女性が持っていたモバイルバッテリーから突然、火が出て、乗客5人がけがをしました。
埼玉県の白岡市役所で起きた火災では、コンセントの接触不良で出た火がリチウムイオン電池に燃え移り、延焼が急速に拡大したとみられます。
“消火後”も要注意…再発火も
一度、火がついたリチウムイオン電池は、大きさによっては簡単には消えないものもあります。何度、水をかけても噴き出す炎の勢いが変わらないことも。ただ、それでも水をかけ続けた方がいいようです。
消防庁に安全対策を助言している専門家は。
「クールダウンすることが大事。少しでも熱が上がってくると次の段階に入って、中に入っている物質がどんどん燃えてしまう。それが最後に火を噴くということになる。水をかけるか、クールダウンすることを早くやってほしい。ペットボトルの水でも水道水でも良い。とにかく水をかける」
火が消えても終わりではありません。リチウムイオン電池は消火した後も熱を持っていて、再び発火する恐れも。水に沈めたり、かけ続けることが大事です。
充電する際の注意点は。
「モバイルバッテリーでスマホを充電する場合、できれば燃えにくい物の上。一番怖いのは布団の中でやるのは避けてほしい。熱がこもるような所は避けてほしい。机の上などでやっていただければ」