4
複数のセクハラが認定された沖縄県南城市の古謝景春市長(70)に対し、市議会が不信任を突きつけました。26日が4度目の不信任決議案の採決でした。明るみに出た音声テープが決め手となって、市長を支持してきた与党の一部が賛成に回り、不信任案が可決されました。
議員を動かした“口止め音声”
南城市の古謝市長は、第三者委員会で8件のセクハラが認定されています。
南城市 古謝景春市長
(Q.今の心境は)
「…」
(Q.今の心境は)
「…」
市長のセクハラ行為に端を発した不信任決議案は、市長を支えてきた与党議員が反対に回ることで3度否決されてきました。しかし、その後、被害を訴える女性と市長との会話が明るみになります。
市長
「僕がここで(職員名)とハグしたさ。これ第三者委員会にあんた話したの?」
女性職員
「え、私?言ってないです」
「僕がここで(職員名)とハグしたさ。これ第三者委員会にあんた話したの?」
女性職員
「え、私?言ってないです」
別の日の会話には口止めを依頼するようものも。
市長
「『それ以外、変なことをやられていない』と言ってね、もし聞かれたらね」
「『それ以外、変なことをやられていない』と言ってね、もし聞かれたらね」
この音声で潮目が変わります。前回まで市長を支持してきた与党議員は。
安谷屋正副議長
「できれば可決を目指したい。目指したいというか、可決であってほしいという思いはあります」
(Q.音声はきっかけになった)
「なりましたね。当然ですよね」
「できれば可決を目指したい。目指したいというか、可決であってほしいという思いはあります」
(Q.音声はきっかけになった)
「なりましたね。当然ですよね」
広告
やっと届いた“被害者の声”
今回はこれまでとは違い、与党からの不信任案提出になりました。議場には市議が被害者から預かったというメッセージが響きます。
被害者のメッセージ
「被害を受けた私たちがおびえながら働いたり、仕事を続けられなくなったり、理不尽な誹謗中傷まで受けなければならない。当たり前にあった家族との小さな幸せ、平凡な日常が奪われる結果になったのは私たちのせいですか。皆さんには私たちが見えないと思いますが、私たちは確かに存在しています」
「被害を受けた私たちがおびえながら働いたり、仕事を続けられなくなったり、理不尽な誹謗中傷まで受けなければならない。当たり前にあった家族との小さな幸せ、平凡な日常が奪われる結果になったのは私たちのせいですか。皆さんには私たちが見えないと思いますが、私たちは確かに存在しています」
そして採決。不信任案の可決に必要なのは出席議員の4分の3以上の賛成。
中村直哉議長
「賛成15票、反対3票。出席議員の4分の3以上は14人。発議第4号(不信任案)は可決されました」
「賛成15票、反対3票。出席議員の4分の3以上は14人。発議第4号(不信任案)は可決されました」
南城市民
「うれしいですよ。被害を受けた人たちが今まで再三再三、否決されてきたから、少し気持ちが楽になったんじゃないか。それで解決するわけじゃないけど、第一歩かな」
「うれしいですよ。被害を受けた人たちが今まで再三再三、否決されてきたから、少し気持ちが楽になったんじゃないか。それで解決するわけじゃないけど、第一歩かな」
反対票を投じた 平田安則市議
「分かんないから」
(Q.第三者委員会が認定したものについても)
「反論書も出てる。反論書に対する検証もできていない。そういう意味で、私自身の中で本当にそうなんだと確信が持てない」
「分かんないから」
(Q.第三者委員会が認定したものについても)
「反論書も出てる。反論書に対する検証もできていない。そういう意味で、私自身の中で本当にそうなんだと確信が持てない」
広告
再びセクハラを否定「絶対ない」
一方の古謝市長、議場を出た後の第一声は。
南城市 古謝景春市長
「匿名で報告して、ここでキスされたという話がありますが、これは絶対ない。彼女から私に『おめでとうございました』って。それを僕はハグして終わり。それだけですよ。第三者が見て、こういうことを言っているのかなと思って聞いただけで、恫喝したわけではありません」
「匿名で報告して、ここでキスされたという話がありますが、これは絶対ない。彼女から私に『おめでとうございました』って。それを僕はハグして終わり。それだけですよ。第三者が見て、こういうことを言っているのかなと思って聞いただけで、恫喝したわけではありません」
2006年、4つの町村が合併して誕生した南城市で、通算15年ほど市長を勤めている古謝市長。商業施設の誘致や、幹線道路を整備するなど、市長としての実績を積み上げてきました。
市長の支持者
「南部東道路の取り付けは、今の市長でないとできなかった。ある意味では、爆発力というか前向きな姿勢、考え方、恐らくそういう市長というのはなかなかいないと」
「南部東道路の取り付けは、今の市長でないとできなかった。ある意味では、爆発力というか前向きな姿勢、考え方、恐らくそういう市長というのはなかなかいないと」
広告
現役の市職員が語る“懺悔”
一方で、その弊害とも言えるものを感じ取っていた人もいます。南城市の現役の職員です。
南城市役所の現役職員
「(在任期間が)長くなるにつれて、権力という名で職員が萎縮しているような感じが、徐々にみられたような気がします」
「(在任期間が)長くなるにつれて、権力という名で職員が萎縮しているような感じが、徐々にみられたような気がします」
この職員は“話したいことがある”と取材に応じてくれました。
南城市役所の現役職員
「市長と議会の問題といったところに皆さん注目しているところもあったが、何か私の中で本当にそうだろうかって。もっと私たち職員として、被害に遭った人に寄り添うことができなかったのかと反省している」
「市長と議会の問題といったところに皆さん注目しているところもあったが、何か私の中で本当にそうだろうかって。もっと私たち職員として、被害に遭った人に寄り添うことができなかったのかと反省している」
被害を訴える女性がコメントを寄せました。
被害女性のコメント
「賛成討論を聞いていた時は涙が止まらなかったです。可決されて今は少しだけほっとしている気持ちはあります。これを機に被害者が声を上げやすい南城市になってくれれば」
「賛成討論を聞いていた時は涙が止まらなかったです。可決されて今は少しだけほっとしている気持ちはあります。これを機に被害者が声を上げやすい南城市になってくれれば」
古謝市長は今後10日以内に議会を解散するか、辞職の判断を迫られます。
広告