札幌市で“日本一危険な動物園”として20年にわたって営業を続けてきた「ノースサファリサッポロ」が30日に閉園します。園内に残る300頭を超える動物たちの今後が懸念されています。
今年のGWには多くの客が…
札幌市の中心部から車で30分ほどの場所にある民間の動物園「ノースサファリサッポロ」。閉園前、最後の週末となった28日も、多くの観光客が訪れていました。
「やってないんだと思ってたけど、まだやってたんだと思って」
「それでせっかくだったら来ようかなと思って」
「ここの場所が悪かっただけで、違う所に(動物園を)つくってくれたらすごくうれしいなと」
手を伸ばして餌(えさ)を求めるカワウソや、ミーアキャットなどの周りには、多くの子どもたちが集まっていました。
「なまらかっけぇ」
2005年に開園して以来、動物との距離の近さから“日本一危険な動物園”とも紹介され、人気を博してきたノースサファリサッポロ。今年2月には、雪を避けるようにライオン2頭が寄り添い、複数のオオカミが歩き回る姿が確認できました。
今年のゴールデンウィークには、多くの客が訪れ、動物と触れ合う様子がうかがえます。
これは先週、来園者が餌をあげているトラや、投げた餌をうまくキャッチして食べるハイエナの様子。ライオンにも餌をあげることができますが、こんな声も聞かれました。
「ライオンとかも、でかくて怖いイメージがあったけど、ちょっと痩せ細ってるじゃないけど、なんか弱々しく見えたりとかしました」
さらに、檻の中で休んでいるのか、来園者の呼び掛けに反応しない動物の姿も見えました。
「僕も動物園好きで、いろんなとこ行ってきたので、そこの動物たちと比べると、ちょっと表情に差があるなって思いました」
北海道の人気動物園の一つでしたが、今年3月に今月末での閉園を発表。一体なぜこのような事態となったのでしょうか。
「閉園することを決定いたしました。閉園予定日としましては、2025年9月末までと予定しております」
突如閉園のワケ
ノースサファリサッポロが営業していた場所は、むやみな開発を防ぐため、建物の建設が原則認められない場所です。建てるには市の許可が必要ですが、園を運営する会社は届け出をしていなかったといいます。
「許可をとっていなかったんだ。その割には規模がすごいので」
今月撮影された園内には、撤去予定と書かれた獣舎とみられる建物もあります。
市は開園する2005年よりも前に建物を確認。この20年間、指導や勧告を17回、合法化への協議は16回行っていました。
坪田修一課長
「全く言うことを聞かないという形ではないですけれども、『分かった、分かった』『いやだったら対応するわ』ぐらいな対応だったという報告は聞いています」
札幌市によると、2005年には10棟しかなかった建物は、指導をしていたなかでも徐々に数が増えていき、去年12月には183棟になっていたといいます。
オープン2年前に土地を売った男性に話を聞くと、このような声が聞かれました。
札幌市は今月18日に立ち入り検査を実施しました。
「(建物が)多いなという印象です」
報告を受けていた183棟から減ったものの、今回の検査で確認できた違法建築は118棟ありました。
「閉園された後も建物の除却は、建物がゼロになるまで我々の方で指導を続けます」
運営会社は、閉園後に動物を移動したうえで、4年後の2029年12月までに建物をすべて撤去する計画を発表しました。
円山動物園参与「最後まで自分の責任で…」
閉園が30日へと迫るなか、最大の問題が園内に残る300頭以上の動物。運営会社が市に提出した動物の移動計画では、去年12月時点では園内には640頭。札幌市によると、今月5日時点では、ライオンなどを含む319頭の動物が園内に残っているといいます。
「もう少し暮らしやすいような所に行ったらいいなって思います」
旭川市から来た親子
「良い方法がなかったのかなって思ったりするけど。ちゃんと管理できるのかなっていう心配はあるね」
道内で受け入れられないのか。同じ市内の動物園の担当者は、受け入れは困難だと指摘します。
「将来円山に来るメスのトラがいるんですけど、それが来るのはもうちょっと先になる。でも決まっているんです。その個体は円山以外の所にはいかない。ずっとそこでうちに来るのを待っている。そういうようにしてお互いに先の先まで計画して、繁殖を進めているんです」
円山・旭山・釧路市・帯広の道内4つの動物園では、いずれもノースサファリからの動物を現在受け入れていません。
「いったん人と一緒に暮らした動物はもう人なしでは生きていけないんだから。イヌでもネコでもウサギでも昆虫でも何でも一緒ですよ。動物園を始めて、動物を飼い始めたら、それは最後まで自分の責任で面倒見ないと」
これらの問題を受け、辞職した運営会社の前社長に直撃しました。取材を試みましたが、記者の問い掛けに何も答えずに立ち去りました。
ノースサファリサッポロは、「動物の健康や安全に配慮しつつ動物を移動させ、残った動物についても適切に飼育する」とコメントしています。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月29日放送分より)