北海道の中心、札幌でもクマが出没しています。札幌市で初めての『ヒグマ警報』が出されている西区の小学校では、29に力集団での登下校が始まりました。今年はブナの実が少なく、冬眠を控えたこの時期、エサを求めて山を下りてくるクマが増えているといいます。
襲われた男性 5メートルの距離で…
手稲区の住宅街付近で目撃されたヒグマは体長1〜1.5メートル。体長60センチほどの子グマの姿も確認されています。周辺では警戒にあたる警察官の姿がありました。
市内では週末から目撃情報が相次ぎ、札幌駅から9キロの西区では、26日に人が襲われる被害も出ています。
襲われたのは43歳の男性。男性は公園のトイレ付近で、体長約2メートルのクマとわずか5メートルの距離でにらみ合いになりました。子グマを連れた親子だった可能性があります。次の瞬間、クマが左前足で襲いかかり、男性は地面に倒されました。その際に右腕を引っかかれ、出血したとみられています。
男性が足で蹴り返すと、クマは森の中へと姿を消しました。
この事態を受け、北海道は札幌市で初めての『ヒグマ警報』を発令。周辺の小学校では29日から集団での登下校が始まりました。
「外遊びが大好きなので公園も行きたがって。今はちょっと怖くて行けないです」
「特に夕方は薄暗くなるのが早いですからね。できるだけ控えるようにはしてもらっている」
冬眠に向け“主食”が凶作 街へ
なぜ今、目撃情報が相次いでいるのでしょうか。
「毎日、この周辺の山・林の中を中心に回っていますけど、今時期クマが食べるものであるドングリ・山ブドウ、そういった木の実がほとんど山になっていない、落ちていない状況」
クマは冬眠に備え、秋のうちに大量のエサを食べ、体に脂肪を蓄えます。しかし、今年は主食となるブナの実が凶作。エサを求めて人里に降りてきているとみられています。
「普段、秋の時期に食べるものが山の中にないので、クマが冬眠に向けてたくさん食べないといけない時期、食べ物を求めて街に下りてくるのが今後も十分考えられる時期が続く」
「緊急銃猟」どう行う 石川で訓練も
クマの出没は札幌だけではありません。全国で対策が進められています。
石川県白山市で行われたのは、建物にクマが侵入したという想定での訓練です。これまで住宅地での発砲は原則禁止。緊急時でも警察官の命令が必要でした。
しかし、今月から始まった『緊急銃猟』制度では、緊急性が高く、安全が確保されれば、市町村長の判断で発砲できるようになりました。
ただ、物損や人身事故が起きた場合、責任を負うのは自治体です。そのため、道路の封鎖や住民の避難など、跳弾や誤射を防ぐ取り組みが欠かせません。
一方で、銃を撃つ当事者には、まだ迷いがあるといいます。
「市の許可で銃猟ができるといっても、実際、住宅の中だと無理なのかな。その場に立って引き金を引けるか。今のところ、まだ疑問。市として建物被害は補償するというが、撃った人間とすれば被害を与えたという撃ち手の気持ち。それでやっぱり躊躇(ちゅうちょ)する」