普段、何気なく使っている“身近なモノ”が、まさかのおしゃれ家具に。ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、驚きのアップサイクルを仕掛けるカナダ発ベンチャーを取材した。
一見、高級な木材を使っているようなモダンなデザインの椅子や、壁面パネルだが、その正体はなんと割り箸だという。使用済み割り箸からおしゃれ家具へのアップサイクルを手がけているのは、カナダ発の循環型製造企業で、主にBtoB事業に注力しながら日本を含め世界9カ国で事業を展開している「ChopValue Japan」だ。
ChopValueは大阪万博のカナダパビリオンのインテリアを提供したり、文房具でおなじみのコクヨと使用済み割り箸をリサイクルしたオフィス家具の共同開発を行ったりしている。
しかしなぜ割り箸なのだろうか。ChopValue Japan代表取締役のジェームス・ソバック氏は以下のように語る。
「(割り箸を)気候にプラスの影響をもたらす代替木材材料と呼んでいる。実際に割り箸を手に取り、それが家具に生まれ変わるのを見て初めて『これは実現可能で、非常に大きな産業になり得る上に高品質だ』と腑に落ちた」(ジェームス・ソバック氏、以下同)
「無垢材と十分に競争力がある。バンクーバー空港では約9年間使われている製品も、いまだに非常に良好な状態です」
資源の再利用となることはもちろん、割り箸を大量にまとめて加工することで、オーク材以上の強度の素材に生まれ変わる。さらに高温・高圧で処理するため、除菌も行われ使用済みの割り箸でも清潔に保たれるという。
そして何よりも目を引かれるのが美しいデザインだ。ソバック氏はそこにもこだわりがあると話す。
「ビジネスシーンでは、意思決定がされるときにデザインが効いてくる。そのためデザイナーの視点で取り組むことが極めて重要だ」
“資源の宝庫”日本での大きな壁とは…?

そんな中、以前から視野に入っていた日本に去年の夏、上陸。今年4月、川崎市に生産拠点を設けた。環境省によると、日本の割り箸使用量は年間約200億膳。まさに“資源の宝庫”だが、ChopValue Japan戦略的パートナーシップディレクターの松尾実里氏は大きな壁にぶち当たったと言う。
「日本は廃棄物法があり、私たちが割り箸を回収するときに制度のところでまだ苦労している」(松尾実里 ChopValue Japan戦略的パートナーシップディレクター、以下同)
使用済み割り箸は多くの場合「一般廃棄物」に分類され、廃棄物処理法に基づき無許可で収集・運搬は原則として認められていない。そこで、割り箸を廃棄物ではなく資源と捉えることで、循環型社会を推進する実証プロジェクトとして川崎市から正式に許可を得た。
「『今まで捨てていたものが何か商品になるならぜひ協力したい』と言ってくださっている。ゴミを回収して何かの製品にする会社は今までなかったため、すごく共感してくれた」
使用済み割り箸をおしゃれ家具に。ソバック氏の日本での挑戦は始まったばかりだ。
「割り箸がデザイナーズ家具や高性能素材に生まれ変わる事実が、我々が各国で事業を拡大できている要因だ。都市資源の収穫という考え方でみると、割り箸は新素材へと再生できる資源の一例に過ぎない。さまざまな自治体や企業と連携し、日本に新しい都市資源活用のアイデアを広めたい」(ジェームス・ソバック氏)
(『ABEMAヒルズ』より)