「襲いやすそうな人を探していた」。76歳の女性が殺害された事件で、直後の映像を入手しました。
76歳女性刺殺 40歳男を逮捕
事件直後の映像。マンションの外階段を救急隊員が上がります。その先には刺された女性でしょうか、介抱する人も見えます。
「女の人の声で『早く早く』と言っているのが聞こえて、警察も『今呼んでます』となって、救急車が来て担架で運ばれた。めっちゃ叫んでいた『早く早く』と。娘さんかと思う」
都内の住宅街に響いた悲鳴。繰り返される、理不尽な犯行。身を守る術はあるのでしょうか。
現場は、町田駅から徒歩14分ほど、周囲には中学校や高校もある住宅街です。
「家族が何者かに刺された」と通報があったのは、帰宅時間帯を迎えた先月30日午後7時過ぎ。町田市にあるマンションの外階段で、秋江千津子さん(76)が、男に刃物で刺されました。
家族が秋江さんの悲鳴を聞き、自宅を出ると、複数回刺されているところを目撃しました。
秋江さんは搬送された病院で死亡。その後の調べで、腹部など10カ所以上刺されたことが分かりました。
直後の映像では、刃物のようなものが押収される様子も見えます。
秋江さんは、このマンションに長女と暮らしていました。現場には、悲痛な声が響いていました。
「女の人の悲鳴がずっと続いていた。『お母さん、お母さん』と、ものすごく大きな声で叫んでいた」
「卵とか、ネギとか袋からバーッと出ちゃってて。あとは、そこで刺されたんでしょうね。バーッと血がすごかった。『こんにちは』とか、ごみを出す時に『暑いわね』という感じの会話。私が言ったのはとにかく夏だったので、『お暑いのでお体気をつけて下さいね』というのが最後の会話。ニコニコニコニコしているおばあちゃまという感じ。変な印象とか、まったくない。
警察に駆け込んだ人もいました。
「女性の『助けてくれ』という声。すごく大きい声が聞こえたので、そこに交番があるので行った。『助けて、誰か早く来て』とか言葉が繰り返されていた。警察が来る前に『お母さん』と大きな声で悲鳴を上げている女性が(いた)」
「誰でもいい」男の素顔は?
カメラを一瞥した男は、焦点の定まらない様子で車に乗ります。秋江さんを殺害しようとした疑いで現行犯逮捕された桑野浩太容疑者(40)です。殺害された秋江さんとは、面識がなかったものとみられます。
「今の生活が嫌になった」
「誰でもいいから殺そうと思った」
もう一つ、分かったことがあります。
捜査関係者によると、桑野容疑者は「襲いやすそうな人を探して歩いていた」と話していることが分かりました。
桑野容疑者は、現場から700メートルほどの場所に暮らしていたそうです。
「(Q.家族で住んでいる人が多い?)6畳の部屋、家族で住んでいる人はいない」
高齢者を守る“危険な4メートル”
繰り返される通り魔的な犯行。高齢者が狙われるケースも相次ぎます。
今年5月には、千葉市内で84歳の高齢女性が刺され死亡。逮捕された15歳の少年は、「誰でもいいから殺そうと思った」と説明しています。
専門家は「危険な4メートル」の距離を指摘します。
「私たちが元犯罪者と、どれくらい前から狙ってくるか計測した。20メートルくらいから視野に入れて、ある程度接近して6メートルのところで最後に(犯行の)“スイッチ”を入れる。4メートルまで近づくと、自分のエリアに入ったと思い、どんどん接近する。4メートル前後は、意識をして歩いていただけるといいと思います」
高齢者が身を守る術はあるのでしょうか…。
「殺人に至らなくても、ひったくりなどは特に高齢女性の被害は多々ある。普段から車道側じゃなく歩道側に荷物を持っていただくとか。明るい道をできるだけ歩いて帰るとか。いつでも家族に通報できるように携帯握っておくとか。ちょっと気を付けた歩き方をしていただくといいと思います」
「襲いやすそうな人を探した」と供述する容疑者。「狙われにくくなる歩き方」は、あるのでしょうか。
「ショーウィンドーを見るなど、後ろを気にするそぶりをして歩く。『私は警戒してます』というようなことをにじみ出せるように歩くといい。両手に荷物を持って歩くことも多々あると思うが、できれば背筋を伸ばして少し早めに歩いていただけるといい。できるだけ明るく人通りの多い時間帯に買い物など済ませていただくと、今の時点ではより安全」
「どこで事件が起きてもおかしくなくて、自分の周りだけで起きないだろうということはない。都市で住んでいくうえで必要な教養の一つ。ちょっと気を付けることなので、そんなに構えなくていい」