10月1日から一定の年収を超える75歳以上の後期高齢者は、医療費の窓口負担が増える。
厚労省は3年前、現役世代の負担を抑え全世代に対応した社会保障制度にすべく改革を行った。75歳以上の人について医療費の窓口負担を原則1割だったところ、単身で年収200万円以上、複数人の世帯で年収320万円以上の人は2割負担とした。
一方、負担増を1カ月3000円までに抑える緩和措置を行っていたが9月30日に終わり、10月1日から負担が増える。推計では310万人ほどに影響が出る見込みで、現役世代の保険料負担は少なくなる。厚労大臣は制度の持続性を確保するため、引き続き丁寧に検討を進めたいとしている。
値上げラッシュのなか75歳以上は医療費の負担も増えるが、ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターで、山田進太郎D&I財団COOの石倉秀明氏は「なぜ75歳以上なのか」と疑問を呈する。
「所得の低い人が医療に平等にアクセスできるようにと考えていると思うが、なぜ75歳以上なのか。現役でも収入がない人もいるが3割払っているそうで、いびつだと感じる」(石倉秀明氏、以下同)
一方で現役世代の保険料負担が少なくなると言われている点については…。
「全体で医療費はとんでもなく高いため、その中で相対的に安くなるという話だろう。国としては医療費を抑制したいので、現役世代まで収入が低いからといって負担量を下げてしまうと、かなり費用もかかるし維持できないと思う」
「少しずつ取れるところから、払ってもらえる余力がある人から取りつつというやり方だが、制度的には破綻しかけているが延命していく感じになっている気がする。おそらく次、『75歳以上』が『70歳以上』になったり、『一定以上の所得者』の所得条件が引き下がったりして、基本的には皆の負担が増える方向にしかならないのではないか」
「人口比率も構成も変わってしまった今、全てを今まで通り維持するのは難しく、何かを諦めないといけないフェーズに来ている。例えば、この負担額で国民皆保険を維持していきますか?あるいは皆保険自体をやめて、もしかしたら歯医者で歯を1本治すのに数万円かかるかもしれないけど、健康に気を付けて暮らせば負担は減りますみたいな世界を選ぶのか…もう現状つまびらかにしてもらって。複雑だしじわじわ負担だけ増えて、でもいつの間にか取り返しのつかないところまで行く前に、明らかにしてほしい」
(『ABEMAヒルズ』より)