SNSで有名なインフルエンサーがホステスとして働きながら所属する六本木や新宿歌舞伎町などで展開するキャバクラ店「ファブリックグループ」に国税当局のメスが入った。東京国税局は、ファブリックグループが運営する「DAKE」や「MMD」など複数のグループ会社に対し2023年までのおよそ3年間で合計5億円余りの悪質な所得隠しを指摘した。
なぜ“夜の街”で所得隠しが相次ぐのか? テレビ朝日社会部 西平大毅記者に聞いた。
━━ファブリックグループはどのように所得を隠したのか?
「架空の経費を計上するなどして売上金額を圧縮し所得を少なく見せかけていたほか、個人的な交際費を事業の経費にするなどして一部の法人税を支払っていなかった。その“浮いたお金”が関西地方の別のキャバクラ店のホステスなどに流れていたと見られている」
客からプレゼントされた高級ブランドのバッグや時計はどうなる?

━━国税から指摘されるとどうなるか?
「国税に指摘をされるのは2種類ある。見解や認識の相違で済む“うっかり”の申告漏れは『過少申告加算税』が追加となり15%の税額を納めることになる。一方、所得を故意に隠蔽したと判断される場合は35%の税額加算、いわゆる『重加算税』となる。今回、東京国税局は、ファブリックグループの運営会社について、深刻な所得隠しと指摘し重加算税を加え、およそ1億円余りを追徴課税した。ファブリックグループホームページで『意図的に行ったものではなく、会計処理上の過誤だった』と発表しているが、国税当局の判断としては『うっかりではなく、故意的に隠蔽をした』と指摘をした」
━━ホステス・ホストのどのような行為が追徴課税の対象となるのか?
「ファブリックグループの件ではまだ詳しいことは明らかにはなっていないが、一般論としてホステスの方にありがちなのが、客からプレゼントされた高級ブランドのバッグや時計などを贈与税としてきちんと申告していなかったことが税務調査で明らかになり、追徴課税となってしまうケースもある。その場合、国税当局が自宅や会社まで来て調査を行う」
━━店舗側が申告方法などの“教育”を行わないのか?
「今回のファブリックグループの事案では、お店に対して東京国税局が所得隠しを指摘しており一部のホステスにもメスが入った。そのような状況を考えると納税意識について指導や注意などをしていたか疑問が残ってしまう。もちろん、しっかりと納税しているホステスもお店もある。お店として納税意識を常日頃から指導することがこのようなトラブルを生まないことにつながるだろう」
━━ホストクラブでも同じようなケースはあったのか?
「昨年、東京歌舞伎町などで、ホストクラブを経営する会社や在籍するホストが東京国税局から総額で20億円の所得隠しを指摘される事案があった」
━━店側はどのような対策を取るべきか?
「もちろん多くの人はきちんと納税をしている。一方で、紹介した事案のように申告意識が低い人が一定数いるのも事実だ。国税庁によると、2023年度の申告漏れ1件当たりの金額が多い上位10業種では2位にホステス・ホストがランクインしている。イメージが大事な夜の職業だからこそ、脱税・所得隠し・申告漏れといった噂や報道はマイナスにしかならない。お店としてもホストやホステスに確定申告をすることや、場合によっては税理士を付けることで、国税当局とのトラブルを未然に防ぐことはできる。一晩で動く金額が大きいからこそ、よりしっかりとした納税意識が求められる」
(ニュース企画/ABEMA)