将棋の藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋聖、棋王、王将、23)に佐々木勇気八段(31)が挑戦する第38期竜王戦七番勝負が10月3日、東京都渋谷区の「セルリアンタワー能楽堂」で開幕した。藤井竜王は防衛5連覇達成で「永世竜王」の資格獲得がかかるシリーズに。2期連続で挑戦者となった佐々木八段との、最高峰タイトルの初戦を制するのはどちらか。振り駒の結果、先手は藤井竜王に決まった。
藤井竜王は、2016年10月に四段昇段。第37期竜王(1組以上:4期)、第83期名人(A級以上:4期)。竜王戦は、2021年度の第34期に初挑戦。豊島将之竜王を4勝0敗で破り、奪取に成功した。以降、竜王経験者の広瀬章人八段、伊藤匠七段の挑戦を退け防衛に成功(肩書はいずれも当時)。昨年度は佐々木勇気八段との大激闘を繰り広げた結果、4勝2敗で4連覇を達成した。今年度は、名人、棋聖、王位の防衛を果たし、現在は伊藤叡王を挑戦者に迎えた王座戦五番勝負のシリーズも並行して戦っている。
なお、本シリーズでは「永世竜王」の資格獲得にも挑むことに。竜王戦では、連続5期または通算7期タイトルを獲得すると、規定により永世称号が与えられる。過去に永世竜王の資格を得ているのは渡辺明九段(41)と羽生善治九段(55)だけで、史上3人目、最年少での偉業達成となるか、大きな注目を集めることになりそうだ。

一方、佐々木八段は2010年10月に四段昇段。竜王戦1組(1組:3期)、順位戦A級(A級:3期)。棋戦優勝は若手棋戦の加古川青流戦と、NHK杯の合計2回。研究家としての一面も持ち、自身が創案した「横歩取り勇気流」が2017年度将棋大賞の升田幸三賞に輝いた。前期の竜王戦でタイトル初挑戦を決めると、第4局まで一進一退の星の取り合いを演じ躍進。結果は2勝4敗で敗退となったが、多くのファンを沸かせた。今期は1組2位で決勝トーナメントに参戦。永瀬拓矢九段(33)ら強豪を破り2期連続で挑戦権を獲得。今期こそ初のタイトル獲得に期待が寄せられている。
両者の公式戦対戦は全14局で、藤井竜王の10勝4敗。佐々木八段が勝利した4局は、藤井竜王のデビュー以来の30連勝を止めた2017年度の第30期竜王戦決勝トーナメント2回戦と、2024年のNHK杯決勝。さらに、前期の竜王戦第2・4局でも藤井竜王から「完敗だった」とのコメントがあった通り、いずれも勝負所で“一発”を入れてきた実績がある。
2期連続で激突することとなった両者だが、今期はどのような熱戦を繰り広げるのか。期待は高まるばかりだ。持ち時間は各8時間の2日制。振り駒の結果、先手は藤井竜王に決まった。第2局以降は先手・後手が交互に入れ替わる。 (ABEMA/将棋チャンネルより)