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2025年10月4日 07:13

東京、札幌…大都市にクマ「フェーズが変わった」 市街地で「血だらけの女性が」

東京、札幌…大都市にクマ「フェーズが変わった」 市街地で「血だらけの女性が」
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 市街地へのクマの出没が深刻な問題となっています。東京都内では多摩地域を中心に200件の目撃情報が寄せられていて、住宅地にも侵入しています。札幌では子どもたちが住む公園でクマの姿が確認されて、近くの小学校が休校になりました。

「巨峰」食い荒らされ…被害額30万円

 暗闇のなか、目を光らせながら忍び寄る黒いカゲ。その正体は「クマ」です。

 辺りを徘徊し、次の瞬間、突然仁王立ちになり、かぶりついたのは高級ブドウの「巨峰」。覆っている袋を器用にはがすとムシャムシャ。食べ終わると再び畑の中を歩きまわり、次々食い荒らしていきます。

被害に遭った農家
「はっきりクマが映っていたのでゾッとしたし、本当にああいう感じで食べるんだなというのは驚きと怖さと…」
被害額は30万円にも上る
被害額は30万円にも上る

 朝になるとブドウ畑には食い荒らされた跡や、フンのようなものも確認できました。

 巨峰はおよそ2週間で少なくとも600房食い荒らされ、被害額は30万円にも上るということです。

約15分…住宅街に響く“うなり声”

道路を横切る親子とみられるクマ
道路を横切る親子とみられるクマ

 クマの出没は、大都市・札幌でも。

 日中、絶え間なく車が行き交う片側二車線の国道で1日未明、ドライブレコーダーが捉えていたのは、道路を横切る親子とみられるクマ。

 体長およそ1.5メートルの親グマは道路を行ったり来たりし、タクシーと10メートルほどの距離にまで接近。その20分後には、先ほどの国道から200メートルほど離れた場所で、クマとみられる“うなり声”が…。

およそ15分にわたって、この“うなり声”が響いていた
およそ15分にわたって、この“うなり声”が響いていた
うなり声を聞いた人
「今まで聞いたことない声だった。木の枝を踏む足音が大きかった」

 現場は住宅街で、およそ15分にわたって、この“うなり声”が響いていたと言います。

クマの影響…札幌市の小学校2校が休校

去年の同じ時期と比べ5倍以上に
去年の同じ時期と比べ5倍以上に

 大都市・札幌の市街地で相次ぐクマの出没情報。先月1日から2日までに75件もの情報が寄せられていて、去年の同じ時期と比べ5倍以上に。

 近くに小学校などもある住宅街の公園では、今週に入って連日ヒグマが目撃されています。現在、規制線が張られていて、立ち入り禁止の状態が続いています。

 1日午後1時半頃、白昼堂々歩く子グマの姿が。

白昼堂々歩く子グマの姿
白昼堂々歩く子グマの姿
クマを目撃した人
「警察がちょうど来ていて『クマを見たから(外に)出ないでください』と言われて。家の中から(クマの)声が聞こえて。怖いですね。子グマでも力はあると思うので」

 子グマは駆け付けたハンターによって駆除されました。

クマを目撃した人
「この公園で(クマが)出たとかは、去年聞いていなかったんですけど、今年出たから、徐々に(市街地に)近づいてきているとは思います」
公園から約1キロ離れた住宅街では、親子グマ3頭が目撃された
公園から約1キロ離れた住宅街では、親子グマ3頭が目撃された

 その夜、公園からおよそ1キロ離れた住宅街では、目を光らせた親子グマ3頭が目撃されました。その5分後、およそ5キロ離れた場所でも、1頭のクマの姿が…。

 1日、クマの影響で札幌市の小学校2校が休校。

 2日、公園近くの別の小学校では、もうすぐ下校の時間ということで、車がどんどんと学校の近くに集まってきました。お迎えの車が多くなってきました。

小学4年生の母親
「子どももよく遊んでいる公園だったので、それが怖いですね」
およそ2メートルのクマに襲われ、右腕にけが
およそ2メートルのクマに襲われ、右腕にけが

 さらに札幌駅からおよそ9キロの西区にある公園では先月26日、43歳の男性が犬の散歩中、子グマを連れた体長およそ2メートルのクマに襲われ、右腕にけがをしました。

子グマを抱えた母グマは、子グマを守るための防御反応が大きい
子グマを抱えた母グマは、子グマを守るための防御反応が大きい
北海道猟友会 札幌支部 防除隊
玉木康雄隊長

「子グマを抱えた母グマは、子グマを守るための防御反応が大きい。銃を持っている我々でさえ、子連れの母グマに出会った時には、ある程度覚悟を決めなくてはいけないほど危険な反応をする」

 北海道は、札幌市西区に「ヒグマ警報」。中央区や南区などに「ヒグマ注意報」を発令し、警戒を呼び掛けています。

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青梅市でも目撃情報

 クマの脅威は、東京でも…。

撮影者
「座ってんだけど」

 先月28日に、青梅市で撮影された映像。

地面に落ちたクルミを一心不乱に食べるツキノワグマ
地面に落ちたクルミを一心不乱に食べるツキノワグマ
撮影者
「食べてる音がするんです。ガリガリみたいな。(外を)のぞいて動画を撮りだしたらクマだった」

 女性が物音に気付いて2階の窓からのぞくと、そこにいたのは地面に落ちたクルミを一心不乱に食べるツキノワグマの姿。

撮影者
「びっくりしました。クマ出るんだみたいな」

 時折、こちらをうかがうように振り返るクマ。体長はおよそ1.3メートル、撮影した女性によると5分間にわたって居座っていたといいます。

撮影者「しばらくは心配で不安で」
撮影者「しばらくは心配で不安で」
撮影者
「たまに、こっち見るんだよ」
「まさか自分家の目の前で見るとは思わなかったので、それはびっくりしました。冬眠してくれればいいですけど、しばらくは心配で不安で」

 青梅市では、この映像が撮影された2日後にもクマの目撃情報がありました。

食べごろを迎えた柿およそ60個が被害に遭った
食べごろを迎えた柿およそ60個が被害に遭った
クマが食べた柿の木の所有者
「(クマが)持って食べたやつなんだよ、この枝。この辺に食べかすが落ちてるでしょ」
「(Q.折れた枝の柿が、食べられたみたいに)そうそうそう。もいで食べたんだよ。2匹、親子って言ってたな」

 目撃した人によると先月30日、物音に気付き家の外を見たところ、木に登って柿を食べる親子のクマの姿が。食べごろを迎えた柿およそ60個が被害に遭ったということです。

ディレクター
「クマが食べた柿と同じ柿です」
柿の木の所有者
「甘くない?」
ディレクター
「甘いです」
柿の木の所有者
「おいしいんでしょうね、クマにとっては」
今年に入ってからのクマの目撃情報を示した地図
今年に入ってからのクマの目撃情報を示した地図

 これは今年に入ってからのクマの目撃情報を示した地図。黄色は3カ月以内、赤色はここ1カ月以内を示しています。

先月27日までで目撃情報は200件
先月27日までで目撃情報は200件

 夏以降、日の出町や青梅市の市街地に近い場所でクマの目撃が相次いでいるのが分かります。先月27日までで目撃情報は200件。

 8月には、青梅市の駐車場内を走る熊の姿が防犯カメラに捉えられ、日の出町でもクマの目撃情報が相次いでいます。

市街地で大胆行動取りつつある「東京のクマ」

 2日、高尾山には多くの登山客の姿がありました。

60代 男性
「(鈴は)クマよけですね。怖いですよね。すごい力があるんでしょ。爪がすごいでしょ」
50代 男性
「クマよけって感じですね。本当は乗鞍岳(3026メートル)に行くつもりだったけど、もう2〜3回(クマが)出てるってことで、今年はやめましたね」

 登山客の荷物には、クマ鈴。

東京の住宅街でも相次ぐクマの目撃情報
東京の住宅街でも相次ぐクマの目撃情報

 東京の住宅街でも相次ぐクマの目撃情報。7月に取材中のスタッフの前に現れた子グマ。安全のため車の中で様子をうかがっていると、すぐ先に人の姿が見えました。

いつ親グマが出てくるかわからない危険な状況
いつ親グマが出てくるかわからない危険な状況

 すぐに男性に危険を伝え、男性は引き返しますが、いつ親グマが出てくるかわからない危険な状況です。

 その後山に戻りましたが、なぜ子グマは市街街をさまよっていたのか?その行動について、野生動物の生態に詳しい、プロ・ナチュラリストの佐々木洋さんは、次のように話します。

野生動物の生態に詳しい、プロ・ナチュラリストの佐々木洋さん
野生動物の生態に詳しい、プロ・ナチュラリストの佐々木洋さん
「親とはぐれても、ここにいたということは日常的に親子で来ていた証拠。母グマは子グマに色々なことを教えていく、『この辺りは安全にエサがとれる』と教えていた。その教えに従って慣れでここへ来ていた可能性が高い」

 都内の市街地で大胆な行動を取りつつある、東京のクマ。

佐々木さん
「住宅のすぐ裏の山に、ツキノワグマが普通にいるようになった。もう完全にフェーズが変わった」

ピンポン鳴らされて出たら「血だらけの女性が」

1頭のクマと救急車が衝突する事故
1頭のクマと救急車が衝突する事故

 市街地に出没するクマは、他の地域でも…。

 秋田県では、車が行き交う県道を救急車が走行していると突然、2頭のクマが飛び出します。そのうち1頭のクマと救急車が衝突する事故が発生しました。

 新潟県村上市では、住宅のすぐ目の前を走り去るクマの姿が。

住宅のすぐ目の前を走り去るクマの姿
住宅のすぐ目の前を走り去るクマの姿
撮影者
「住宅のほう行きました」

 登校中、体長1.5メートルほどのクマを見かけ、撮影したということです。

 さらに同じ日、阿賀町では、買い物帰りの女性がクマに襲われる事態も。

通報者
「ピンポン鳴らされて出たら、ここに四つんばいで血だらけの女の人がいた。その人が『クマに襲われたので救急車を呼んでください』と言った」
女性は持っていた傘で応戦
女性は持っていた傘で応戦

 突然クマが現れると女性に襲い掛かり、馬乗りに。絶体絶命のなか、女性は持っていた傘で応戦。その後、クマは逃げて行ったと言います。

 全国各地の市街地で相次ぐ、クマの目撃情報。一体、いつまで警戒が必要なのでしょうか?

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月3日放送分より)

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