不動産への投資を呼びかけ2000億円以上を集めた「みんなで大家さん」。9月末の配当が支払えず、27の商品で支払いが遅れたことが分かりました。このうちの1つ、福岡県でのバナナの生産を巡っては実態を疑問視する声が国会で上がっています。
■バナナ生産施設の様子は?
「心から深くおわび申し上げます」
「みんなで大家さん」を手掛ける「共生バンク」の代表が8月に配当の遅れを出し謝罪、しかし、9月末で状況はさらに悪化しました。
「ゲートウェイ成田」と呼ばれる主力プロジェクトは、配当が3カ月連続でストップ。他の商品にも波及し、合わせて27商品に配当の遅れが出ました。
遅れが出た商品の1つが福岡県にあるバナナを生産するという施設「アグレボバイオテクノロジーセンター」への投資です。
福岡9区選出・緒方林太郎衆院議員が疑問視するのは、バナナ生産の実態です。
この施設では、「みんなで大家さん」関連企業がバナナの種苗を生産。この苗は、通常2年かかる収穫期間が半年しかかからないといいます。
投資家はバナナなどを生産する企業からもらった賃料で、配当を得るという商品です。
「アグレボバイオテクノロジーの技術というのは一言で言うと、人類の食料問題を解決できる技術であると思っております。この流れを全世界に広げていって、この世界の穀物需要に応えていきたいと思っております」
バナナの苗が育てられているという施設を訪ねると、入り口は自動ドアになっているようですが、ガラス部分は白いビニールで覆われていて、人が出入りしている気配は感じられません。
この施設はかつて80のテナントが入る巨大ショッピングモールでした。これは商業施設などを回る動画投稿者が現地を訪ねた際の映像です。
「やっぱり中身はかなり閑散としてて、封鎖されちゃってるので行き来できないんですね。動線が悪いので全然人もおらず、新しいテナントも全然入らないのでガラガラというような感じでした」
80あったテナントは現在、スーパーなど数店舗だけです。
「入り口のところは自動ドアになっていますけれど、どう考えても数カ月開いた気配がないとか、下を見れば木の葉が引っかかっていたりして、そうすると『ここでは何も行われていないんだ、おそらく』と」
農水省「バナナの生産確認できず」
去年4月、国会でのやりとりです。
「バナナまたはバナナの苗の生産・出荷状況について、農林水産省が把握をしている数字についてお聞かせいただければ」
農水省担当者
「統計上、福岡県のバナナの出荷実績はなく、農林水産省といたしまして福岡県北九州市および水巻町におけるバナナの生産・出荷状況は把握しておりません。バナナの苗の生産も承知はしておりません」
国としては、この地域でのバナナの生産を一切確認できていないというのです。これに対して「みんなで大家さん」側は。
「苗を培養している」という施設内部の写真です。写真には白衣を着た作業員も複数人、写っています。
一方で、現在もモール内で働く人に話を聞くと…。
ホームページを見ると、この「アグレボ」に関連するのは10商品、募集総額はおよそ230億円。バナナの生産実績は分かりませんが、2019年以降、6.5%から7%の高配当だった実績はあるようです。
取材を続けると、バナナの栽培技術を持つA社と訴訟トラブルが起きていたことが分かりました。
変更取り消し巡り訴訟トラブルも
大家さん側は2019年からA社の特許技術「X農法」でバナナを栽培すると宣伝していました。
ところが2年後(2021年)、A社の登記簿上の住所が西日本から「大家さん」側の住所に無断で変更。同時に、A社の取締役3人が解任され、「大家さん」側の柳瀬代表ら3人が取締役に就任しました。
A社側は、「大家さん」側を相手にこの変更を取り消す裁判を起こし、東京地裁が変更を無効とする判決を言い渡しています。
「大家さん」側は現在、「X農法」ではない別の農法を使っていると説明しています。
緒方議員は、国による迅速な対応が必要だと訴えます。
(「グッド!モーニング」2025年10月4日放送分より)