千葉県鴨川市の山林で大規模太陽光発電施設の工事が進んでいます。現在、山肌には伐採した大量の樹木が散乱している状態で、台風シーズンの土砂災害を心配する声が上がっています。
土砂災害の危険性 専門家が指摘
先月23日に空から撮影した映像を見ると、横長の山のてっぺん部分は、樹木がすべて伐採されています。その先には、斜面の森が伐採され、その場に木が無造作に置かれています。複数の重機が森林を切り開き、作業している様子が見てとれます。
鴨川市で進められている、太陽光発電施設の建設。146ヘクタールという広大な敷地で36万5000本の樹木を伐採し、47万枚のソーラーパネルを設置する計画です。
地盤の専門家は土砂災害の危険性を指摘します。
「ここを見ていただきたいんですけど、これですね、実は伐採された樹木が置かれている。ちょうど谷間になっている。谷間になっている底の所に樹木が置かれている状態。結局、谷の底にたまった樹木によって降った雨が山の中に浸透していくことなく、地表面を流れていってしまう。このような形で伐採林が放置されているのは非常に危険」
県は事業者に樹木の「仮置き場」を造るよう行政指導。事業者は現在、保管する仮置き場を造成していて、県は設置されるまで仮設の柵を設けるよう指導しています。
千葉県が事業者に対して行政指導58回
現場の周辺には看板が立てられていて、「ストップ!!メガソーラー」と書かれています。
鴨川市の住民らは、環境悪化や土砂崩れへの懸念から、署名活動など工事の反対運動をしています。
「私たちが不安に思っている、質問とかを受けてほしい、それに答えてほしいということを再三言ってきている。とにかく事業者から説明を聞きたい」
事業者は、2019年に千葉県の林地開発許可を条件付きで取得。現場の鴨川市は事業者との間で、5つの協定を結んでいました。施工管理を行う市内の事業者名を教えてほしい、水害や周辺河川への影響についての具体的な対策を教えてほしいといった内容です。他にも、市民が誰でも参加できる説明会を求めていましたが、市はこれらが十分に果たされていないといいます。
ところが、市の関係者によりますと、今年初め事業者は市との協定には法的拘束力がないことを理由に一方的に工事を再開。鴨川市は問題を調停に持ち込む事態となっています。
千葉県は工事の再開は認めているものの、県の森林課が月に1度、県の林業事務所が週に1度という異例のペースで現地調査を行っています。さらに…。
「事業者と県との間で34回の打ち合わせの中で、調整池をはじめとする計画の見直しや具体的な施工手順の提出など、42件の指導を行うとともに現地において仮設防災施設の設置や現地の杭の設置状況の確認などの16件の指導を行っています」
県はこれまで事業者に対し、58件もの行政指導を行ったというのです。
メガソーラー事業に疑念を抱いている千葉県・網中肇県議は県の対応の甘さを指摘します。
事業者は現状をどう受け止めているのでしょうか。
入り口には会社名が手書きで… 中は?
鴨川市内の所在地に行ってみると、会社とみられる入り口に手書きで会社名が書かれた紙が貼ってあります。
中には家具や事務用品などは一つもなく、出窓には電話線などのコード類が使われずに置かれた状態でした。
番組が都内の本社を訪ねたところ…。
「弁護士から連絡させる」
しかし、放送までに連絡はありませんでした。
3日も重機の音が鳴り響く現場…工事は続いていました。
「伐採は始まっているので、そこは元に戻せないにしても、これ以上(工事を)完全にストップして、あとは県がしっかりやってほしい」
(「グッド!モーニング」2025年10月4日放送分より)