社会

ABEMA NEWS

2025年10月6日 11:31

「見習い運転士が車庫に向かう途中誤った位置で停車」「ATCが作動しなかったか」田園都市線の列車衝突・脱線事故が起きた理由を鉄道ジャーナリストが緊急解説 今日中にも復旧と予想

「見習い運転士が車庫に向かう途中誤った位置で停車」「ATCが作動しなかったか」田園都市線の列車衝突・脱線事故が起きた理由を鉄道ジャーナリストが緊急解説 今日中にも復旧と予想
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 東急田園都市線で5日午後11時過ぎ、梶が谷駅に向かう上りの普通列車が停車していた回送列車に衝突、脱線する事故が起きた。衝突された回送列車の運転士は見習い期間中で、国の運輸安全委員会が現地に事故調査官を派遣している。同線は6日始発から渋谷駅〜鷺沼駅の間で見合わせ、通勤・通学などの利用者に大きな影響が出ている。鉄道ジャーナリストの梅原淳氏は「見習い運転士が車庫に向かう途中誤った位置で停車」「指令所が解除したため、ATCが作動しなかったか」など分析した。

【映像】上空から見た衝突・脱線の現場

―かなり激しい衝突が起きているように見えるが、なぜ起きたのか。

 梅原氏 電車が衝突しないための安全装置である自動列車制御装置(ATC)が働いていなかったようだ。なぜ働かなかったは今、運輸安全委員会の調査が入っている。

―見習い運転士が運転していた回送電車が、梶が谷駅の車庫に入りきっていなかったのが原因か。

 梅原氏 見習い運転士が少しスピード出しすぎて、これには安全装置が働いて急ブレーキが自動的にかかって停止したが、それが本来の停止位置より手前だった。そのまま止まっていたため、最後の車両が各駅停車に接触する位置に止まっていた。このままでも、後続の列車はATCが働いて止められるはずが、回送車両をもう1回前に進ませるために、指令所がATCのロックを解除する措置をとってしまい、その時に後続列車を止めるところまで解除されてしまった可能性がある。衝突されている部分は、回送列車の一番後ろ。本来は回送列車がもっと奥に進まなければいけなかったが、手前だったので各駅停車が通れなかった。

―なぜ指令所では回送列車が営業線とまたぐところでストップしていたのであれば、速やかに営業線を止める必要があるが、なぜ連携が取れなかったのか。

 梅原氏 接触する可能性のある線路の各駅停車は止めなければいけなかったが、おそらくは指令所の方で回送列車の一番後ろの車両も、ちゃんと(指定場所に)入りきっていると誤って認識した可能性がある。どこに止まっているかは、報告が来ない限りはわからないので、全部入りきっていないこともある。それはもちろん安全を見て、全部止めるべきだったが、そこの確認がなされないままだった可能性がある。 ―見習いの運転手はどういう課程で電車を動かすようになるものか。

 梅原氏 電車の運転免許を取るには、どこの会社でも1年ぐらいかかる。自動車でいう路上教習を行うように、仮免許の状態で営業線に出て列車を運転する。しかも最初は回送列車なので、当然指導の運転手もいる。これは別に異常なことではない。

―深夜に事故が発生し、今も運転見合わせになっている理由は。

 梅原氏 列車の衝突事故と脱線事故、今回2つ同時に起きている。事故が起きた時は国の運輸安全委員会が調査しなければいけないことになっていて、保全命令が出されているし、東急電鉄も何もできない状態になっている。運輸安全委員会でも、何日も止めることはできないので、状況が確認できて証拠が保全されれば、線路に止まっている車両を動かして、本日中には復旧、営業再開できるのではないか。

―今回は梶が谷の駅が現場になったが、手前の溝の口とか二子玉川まで電車を動かすことはできないのはなぜか。

 梅原氏 田園都市線では、渋谷駅から一番近い駅で折り返しができるのが鷺沼駅。昔は 二子玉川駅でできたが、今は大井町線が乗り入れられるようになり、駅を改造してしまったことからできなくなってしまった。本当ならば三軒茶屋駅など、どこかで折り返しができればいいが、それができないために混乱が大きくなっている。 (ABEMA/ニュース解説)

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