市街地でのクマの出没が止まりません。山形では全国で2例目となる『緊急銃猟』の判断が出されました。
スーパーにクマ侵入 2人けが
群馬県沼田市のスーパーにクマが侵入し、店内にいた客の男性2人が襲われて、けがをしました。
警察や消防によりますと、7日午後7時半過ぎ、沼田市のスーパー『フレッセイ沼田恩田店』の店員から「クマ1頭が店内に入って他のお客さんに覆いかぶさっている」などと通報がありました。
来店客の70代の男性が両腕をクマにひっかかれて病院に搬送されたほか、もう1人の男性もけがをしました。いずれも意識はあるということです。
警察によりますと、クマは成獣とみられ、体長は1.4メートルほどで、店から南の方向に逃げたということです。
クマが侵入した店舗があるのは、JR沼田駅から北に2キロほどの住宅が点在する地域です。
「クマと鉢合わせした。(腕を)つかまれて、払いのけたら店内のどこか行っちゃった」
取材中にも 住宅地をクマが徘徊(はいかい)
線路を走るクマ。この側にある宮城県大崎市の住宅街は、朝から緊張が走っていました。
(Q.どのくらいの)
「こんなもんだな。50〜60センチ」
取材班が周辺で取材を進めていると鳴き声が。すると、民家の茂みから子グマが姿を現しました。この子グマは、付近で死んだ親グマを探していたとみられています。その後も住宅地を徘徊する子グマ。市は爆竹を鳴らし、子グマを追い払いました。
玄関前で鉢合わせ 住人が負傷
秋田県五城目町の住宅街では午前8時過ぎ、27歳の男性が畑に向かうため玄関を出たところ、クマ1頭と遭遇。右腕を引っかかれ、お尻を噛まれるなどのけがをしました。この付近には、5日もクマが出没し、男性が襲われました。
「『襲われた』と言うから、大丈夫かと家に入ろうと車から降りたら、息子が勝手口のドアを開けて『クマいるから来るな』って。見たら、私の方に向かってきた。怖いところはありますよね。朝の農家は早いですから。暗いうちは怖いですよね」
夕方、吹き矢を使って麻酔を打ち、クマは捕獲されたといいます。
車道にも用水路にも 親子グマか
福島県会津若松市では7日朝、70代の男性が手や顔を引っかかれる被害を受けています。市街地でのクマの目撃情報が止まりません。歩道で並走する2頭のクマ。そしてクマは突然、車道へ。車も急ブレーキをかけます。その後、対向車が来たからか再び歩道へと移り、森へと帰っていきました。
「逃げ道がないので橋を渡りきるしかない。いつかは出会うかなと」
親子グマは『クマ出没特別警報』が出されている新潟県でも。新発田市では用水路に落ちた子グマと、それを助けようと体を伸ばす親グマの姿が捉えられました。
「親子だ。落ちちゃったんだ。怖い。出られないのかもしれない、水路から」
クマを心配する気持ちもありますが、ここは会社の目の前。身の安全も気になります。
「怖い。上がる上がる。出ないように言った方が良いよ」
東京近郊のベッドタウンで目撃
クマの目撃情報は、東京のベッドタウンでもある埼玉県飯能市でも。6日も公園付近でクマの目撃がありました。
「(クマ鈴)いつも持ってます。出たらこうすればいいかなって。誰もいない道をずっと歩いて町から町行く時あるんですが、それは今ちょっと怖くてやめている」
市が公開している出没マップを見ても、山間部に加え、住宅地での報告が相次いでいるのが分かります。埼玉県は、クマのえさとなるドングリが大凶作のため、市街地にもクマが下りてくる恐れがあるとして、注意を呼び掛けています。
全国2例目の『緊急銃猟』課題は
6日に市街地で目撃された山形県の米沢市では、捜索中のドローンに葉っぱを食べるクマの姿がハッキリと映っていました。
人の生活圏にクマが出没した際、市町村の判断で猟銃が使用できる緊急銃猟。現場には米沢市の近藤市長も臨場。全国で2例目の緊急銃猟の判断を現場で下しました。
「今回はまさか、こういう藪が背景で、家屋の2階を貸してもらい、猟友会に来てもらった。2階から撃ち下ろせることもあり、安全だという判断を下した」
ただ、クマはゆっくりと箱ワナへと入りました。そのため、今回は緊急銃猟を実行せず済みました。
「必ずしも市長や町長がその場にいるとは限らない。かなり微妙な責任を負う判断になる。また同じことができるか、同じ状況に恵まれるかというと、非常に課題は多いなと」