観光地・沖縄県の宮古島で、島民を悩ませているのが「巨大人食いザメ」です。漁業や観光業に深刻な影響が出るなかで、島民の生活を守るため、サメの駆除を行うハンターの姿を追いました。
ジョーズ級vsハンター死闘
日本有数のリゾート地・沖縄県の宮古島。海の透明度が高い今の時期、ビーチは多くの観光客でにぎわっています。
しかし、この美しい海を巡り、島民の間ではある不安が…。それは、頻繁に出没するサメの存在です。宮古島の近海では、サメによる被害が続出しているということです。
沖縄県では、漁師が釣り上げている最中の魚をサメが奪う“横取り被害”が多発。被害は年々、増加傾向にあるといいます。
「この近海はサメの被害で、ひどい時は(魚が)1匹も上がってこない。漁師の島に、サメは百害あっても一利もない」
サメが増え続ければ、観光客が襲われる恐れもあります。そうした事態を避けるために活動しているのが、DIVE宮古島オーナーの砂川博一さん(70)です。
漁師とダイビングショップ経営の“二刀流”をこなしつつ、40年にわたってサメの駆除も行っています。
人望が厚い砂川さんの元には、県外から来た多くの常連客の姿がありました。
「(宮古島にいる時は)絶対毎日来る。たまり場みたい」
「(みんな)ヒロさんに集まっている。ダイビングとは別で。だいたい月1回、1週間(砂川さんに)会いに。会いにだけ」
常連客の協力を得て、サメの駆除に臨みます。今回のターゲットは3メートル以上の大型のサメで、釣り針の大きさも通常の倍以上です。
仕掛けを海中に沈めると、いったんそのまま陸に戻ります。翌日、決戦の日を迎えます。
「大きい(サメ)が掛かっているように、お祈りしようか」
「じゃあ、行こうか」
仕掛けを沈めた場所まで向かいます。果たして、サメは掛かっているのでしょうか?
「ほら、掛かってるでしょ!しっかりつかんでおけよ!」
ハンター1時間命がけ対決
すぐさまロープを手繰り寄せると、現れたのは体長5メートルはゆうに超える「ジョーズ」級のイタチザメ。雑食で攻撃性が高く、人を襲うことでも知られています。
大人数で協力してサメを引き上げようとしますが、激しく抵抗する巨大ザメとの戦い。砂川さんはサメが海面上に姿を見せる一瞬を狙って、モリを打ち込もうとします。
「頭狙え!今だ今!早く抜け!」
そして激闘の末、ようやく仕留めることができた巨大なサメ。発見から駆除までに1時間近くかかりました。砂川さんが手にした折れかけのモリが、サメの力の強さを物語っています。
観光客恐怖「泳ぐの怖い」
この日は合計4匹のサメを駆除。その中には仕掛けに引っ掛かり、海の中ですでに死んでいた個体もいました。
遠目にはあまり大きくないように見えますが、実際に引き揚げてみると巨大です。腹がパンパンに膨らんだメスです。腹の中には、数十匹の赤ちゃんがいるといいます。
港に戻ると、すぐさまクレーン車を使って引き揚げ。改めてサメの大きさが伝わってきます。トラックの荷台に載せますが、はみ出すほどです。
「これが海にいると思うと、泳ぐのが怖くなります。マジでこれ怖い」
地元の高校では解体したサメの肉を料理として提供したり、それらを体験するツアーを企画したりするなど、地域の活性化につなげる新たな試みが始まっています。
「駿河湾にも」温暖化異変
しかし、なぜ宮古島近海でサメが増えているのでしょうか?
堀江琢准教授
「地球温暖化などで魚種が今までいた生息域とちょっと変わっている。そういった影響もあるのかもしれない」
今後、本州近海でもサメの出没が増える可能性があるといいます。
そうしたなか、サメに立ち向かい続ける砂川さん。胸に秘める思いを聞きました。
(「グッド!モーニング」2025年10月8日放送分より)