今、全国の公園や住宅街で木が突然倒れる被害が増えていて、東京では死亡事故も発生しています。台風22号が列島に接近するなか、対応に追われる自治体を取材しました。
「等々力渓谷公園」立ち入り禁止
バリケードの奥で行われていたのは、作業員による伐採作業です。
東京23区唯一の渓谷として知られる「等々力渓谷公園」。おととし、倒木が発生し、遊歩道が立ち入り禁止となりました。
調査の結果、園内にある木708本のうち、伐採や剪定(せんてい)が必要な「危険木」が52本もあることが判明。現在、伐採作業が進められています。
「(立ち入り禁止のこと)知らなかった。散策したかった」
「それが目的で来たけど全然できなかった。残念です」
倒木は、別の場所でも起きています。
神奈川県川崎市にある「生田緑地」。今年3月、「コナラ」の木が2本倒れ、屋根を直撃しました。さらに、先月にも2カ所で倒木を確認。倒木の危険があるエリアを立ち入り禁止にするなど、対応に追われています。
普段から緑地を利用している親子はこう話しました。
「散歩していてそういうこと(倒木が)あったらちょっと怖いなと。(倒れた木が)直撃とかしたら死んじゃいますもんね」
接近中「台風22号」倒木の危険高まる恐れも
公園での倒木は2023年度から全国的に急増。昨年度には、倒木による死亡事故が1件起きています。なぜ、倒木が増えているのでしょうか?
「1950年代以降多くの木が植えられた。これが50年、60年、70年経つと、傷む木が増えてきている。それが倒木や落枝につながっていると考えられます」
もう一つ、倒木の原因として多いのが…。
「ナラ枯れって言って、小さい虫が入り込んで菌を感染させて、(木が)水を吸い上げなくして枯らしてしまう」
「ナラ枯れ」とは、害虫が持ち込む病原菌によってコナラなどの広葉樹が枯れてしまう、木の伝染病です。
「ナラ枯れの影響は本当に大きくて、1900本以上の木が被害を受けて、1000本以上伐採しています」
伐採作業も一筋縄ではいきません。
運搬用の車が入れないため、伐採した木の運び出しを手作業で行うこともあり、労力と時間がかかります。
一時的に積まれたこちらは、1000本以上伐採したうちのわずか4本分です。
「いっぺんには切れないから、優先順位をつけて少しずつ伐採している。だんだん枯れも進んできて、作業員が乗ったりすると木が折れたりする。危ない状態になってきている。作業も慎重にやらないと。作業に時間がかかっている」
そうしたなか、非常に強い勢力で伊豆諸島に接近中の台風22号。倒木の危険が高まる恐れがあることから、職員は警戒を強めています。
「風があまり強いようだったら、園内の入り口に本日休園という形で、立ち行きを減らすように注意喚起をしたいと考えています」
全国の公園などで倒木が相次ぎます。
「(今後も)倒木や落枝による事故が増えるというのは、もっともなことだと思われます」
(「グッド!モーニング」2025年10月8日放送分より)