社会

報道ステーション

2025年10月9日 02:06

散歩中の女性に飛びかかる…襲われる瞬間の映像 クマが人の顔を狙う理由

散歩中の女性に飛びかかる…襲われる瞬間の映像 クマが人の顔を狙う理由
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8日午前7時前、秋田県大仙市で、散歩中だった82歳の女性が、突然、背後からクマに襲われました。

場所は、JR田沢湖線『羽後長野駅』のすぐそばです。

クマは、一度、離れたものの、再度、女性に向かっていきます。女性が叫び声をあげると逃げていきました。

襲われた女性

女性は、その直後に通りかかった車に乗せてもらい、近くのコンビニへ避難。消防へ通報しました。

4針を縫うけが

女性によりますと、4針を縫うけがをしたそうです。

クマに襲われた女性
クマに襲われた女性
「顔を爪でやられた。普通に毎日、散歩をしていて、私は、いつも左側の歩道を歩いている。鉄道の方、右側から(クマが)来て、うわっと思ってるうちに、ガッとやられちゃって。『うわぁクマだ』って言ったら、逃げて、鉄道の方に行った」

その後、クマの行方はわかっていません。

女性は、なぜ、襲われたのでしょうか。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長
日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長
「普通であれば、攻撃のときは、もっと激しく襲うものだが、今回は、私から見ると、じゃれているような排除の仕方かと。緑地帯に移動する導線上に人が現れたので、排除しようとした。クマの手の裏は、非常にやわらかくて、走るも歩くも音がしない。すぐ襲われる形になる」

顔を狙ってきたことについては、こう話します。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長
日本ツキノワグマ研究所 米田一彦所長
「クマ同士では、お互い(攻撃で)相手の鼻をかむ動作をする。だから顔を狙って、引っかき寄せて、鼻にかみつこうとするのが基本。顔を守ることが非常に重要になってくる」
50代の男性

また、午前11時半ごろ、大館市でも50代の男性がクマに襲われました。

顔面をかまれ、腕を引っかかれる被害が発生しています。

照井千代美さん(73)

岩手県北上市では、キノコ採りに出かけていた照井千代美さん(73)と、7日夜から連絡が取れなくなっていました。

8日午前10時ごろ、山中で、男性の遺体が見つかりました。
頭部などにかまれたり、引っかかれたりしたような跡があり、遺体の隣には、クマがいたということです。遺体は、照井さんの可能性が高いとみられています。

対策本部を設置

北上市では、今月に入ってから、住宅街でのクマの目撃情報が相次いでいて、市は7日、対策本部を設置していました。

もともと山に囲まれ、クマはよく出る地域です。

住民
住民
「これだけ出ると、(クマを)殺すのは気の毒かもしれないけど、やっぱり怖いなって。山に逃がしてあげるのはいいけど、増える一方じゃないですか。それを思うとちょっと…」

秋も深まる10月。クマの遭遇リスクは、これから、さらに上がります。

大きなクマが2頭、

岩手県屈指の人気観光スポット『八幡平』。
その散策道にも、大きなクマが2頭、確認されています。

周囲には、カメラ8台設置し、SNSなどを通じて注意喚起を行っていますが、訪れる側も複雑な心境です。

観光客
観光客
「本当は1周したいとこだが、クマさんが怖い。いて当然だが、やっぱり怖い」
ツキノワグマ 推定個体数

環境省によりますと、山にいるクマの数は、ここ5年の調査で、推定約4万2000頭。調査方法の技術の進歩などにより、単純比較はできないものの、15年前と比較して、約2.5倍に増加しています。

兵庫県立大学 横山真弓教授
兵庫県立大学 横山真弓教授
「激増していると山の中にクマがパンパンにいる状態なって、(エサが)凶作になると、あふれ出ている状態になっている」

横山教授は、兵庫県の調査データをもとに、全国のクマの増加率をシミュレーションしています。

兵庫県立大学 横山真弓教授
兵庫県立大学 横山真弓教授
「計算して増加傾向にあるのと、今後もかなり増えていく。いまの状態だと、東北地方のほうが繁殖率が高いと思う。(東北地方の)増加率は20%、もう少し高い地域もあるのではないか」

喫緊の課題は、現場で捕獲作業と向き合う作業員の高齢化対策など、地域での体制作りだと指摘します。

兵庫県立大学 横山真弓教授
兵庫県立大学 横山真弓教授
「個体数管理と被害管理の2つの対策をしっかりしていかないといけない。この両輪を回していく専門家が必要。そういう人材を、中山間地域に配置しないと、農業生産などができなくなる」
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