出版不況の時代に30周年を迎えた月刊誌『VERY』。ニュース番組『ABEMAヒルズ』が時代を超えて支持され続ける秘密を探った。
月刊誌『VERY』を発行する光文社を訪れた10カ月の赤ちゃんとママ。話し相手は『VERY』の羽城麻子編集長だ。この会話こそが『VERY』をつくる原動力になっているという。
出版不況の時代にもかかわらず、発行部数は約10.5万部の『VERY』。ファッション誌のイメージが強いが、“ママたちの肌感覚”を時代に合わせくみ取ってきた。
『VERY』編集長・羽城麻子氏は以下のように思いを語った。
「自分たちの頭の中で作った架空の読者像ではなく、実際に目の前にいらっしゃる方の声を拾って企画に反映していきたいという気持ちが非常にあるため、読者調査は欠かせない」(羽城麻子編集長、以下同)
たった1人の読者の声をもとに企画を練ることもあるという。その背景には…。
「会える方には限りがあり、お1人かもしれないが、『この1つの声を拾わないと』、『これは今の気持ちにぴったり合っている』と思った方の後ろには『何百人・何千人も同じ思いを抱えている方がいるのかな』と考えている」
“ママ友メディア”として変わりゆく価値観に合わせた企画を

VERYで人気を集めるのが特集の“読み物”。10月号の企画は「息子の背を伸ばしたくなるのはなんでだろう」というものだ。
身長に関してコンプレックスを抱いた経験があるモデルと文筆家が対談し、背が高いことが社会の中で“男らしさ”の象徴として扱われてきたことなどを専門家が解説。親が望む理想の姿・性的な記号を、知らず知らず子どもに押し付けてしまう可能性について示している。
「『男の子の背を伸ばしたい気持ちの中には、ママたちにある無意識のジェンダーバイアスがあるのでは』という視点が、今までやったことがないジェンダー企画だなと思い特集化した」(羽城麻子編集長、以下同)
時代に合わせ、“夫婦間のジェンダーギャップ”解消などにつながる企画も多く取り入れる『VERY』。読者の変わりゆく価値観に敏感でいられるのも、読者調査の賜物だという。
「子どもが寝た後に、『夜、紙面をめくるとホッとする』というお声を読者調査で頂くことが多い。ホッとできる存在というところで、見て楽しい気持ちやハッとするというところで、手に取っていただける部分でもあるのかなと思う」
「引き続き『ママ友メディア』だと私としては思っており、ママの気持ちに寄り添えるために、いろいろなママたちの日々の悩みをキャッチしていきたい。ファッションでもありライフスタイルにおいての課題に共感できるような切り口で提供していきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)