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DNA鑑定で血縁関係が証明された弟と80年越しの対面を果たしたフィリピン残留2世の男性が申し立てていた、日本国籍の回復申請が却下されたことがわかりました。
日本人の父親と生き別れに DNA鑑定で血縁関係証明も
フィリピン残留日本人2世のタケイ・ホセさん(82)は、太平洋戦争の混乱期に父親と生き別れたため、父子関係を証明する書類などがなく日本国籍の回復ができていません。
残留2世の支援団体によりますと、その後の調査で、タケイさんの父親は竹井銀次郎さんと判明し、日本に住む異母弟とのDNA鑑定で血縁関係は証明されました。
そうした証拠などをもとに、東京家庭裁判所に対し、日本国籍回復の申し立てを行いましたが、9月、却下の通知が弁護団に届いたということです。
戦前の国籍法では、日本人の父親の子どもは日本国籍となりました。
しかし、東京家裁は、父親との親子関係を証明する資料がないなどと指摘しています。
支援団体は、「DNA鑑定の結果を無視している。戦時中という特殊な環境であったことを考慮し、生物学的な親子関係に基づくなどして判断するべきだ」として、弁護団は、東京高裁に即時抗告しました。
「あと何年かかれば日本人として認めてくれるのか」
タケイさんは、戦後80年の今年8月、フィリピン残留2世への外務省による初めての一時帰国事業を利用し、大阪で暮らす弟との対面を果たしました。
タケイさんは「日本の弟は、家族として認めてくれている。DNA鑑定という強い証拠があるのに日本国籍が認められないことがとても悲しい。あと何年かかれば、日本人として認めてくれるのでしょうか。もう高齢なので、時間がありません」と話しています。
タケイさんと同様に、今も日本国籍回復を希望する残留2世は49人いて、その平均年齢は83歳を超えています。
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