株式市場に華々しくデビューしたAI開発企業は、売上のおよそ9割を粉飾していました。疑惑発覚から半年で、元社長らがスピード逮捕される事態となりました。
売り上げを過大に計上した疑い
「僕らが考えているのは1人が1クローンを持っている世界になると思っていて、その中で自分がやるべきなのか、クローンにやらせるべきなのか、皆が選択できる世界になるのかなと思っている。僕らは“完全一致”を目指しているので(人間とクローンが)完全に一体の考え・反応というものを目指している。(空いた時間で)人間はもっと稼ぐこともでき、クローンにも働かせることができるようになる」
番組の取材に夢のような未来について語ったのは、9日に逮捕されたAI開発企業「オルツ」の創業者で元社長の米倉千貴容疑者です。
前社長の日置友輔容疑者(34)ら旧経営陣3人も逮捕されました。
4人は2022年から去年にかけて、実際の売り上げが合わせて17億円余りだったにもかかわらず、111億円余りの架空の売り上げを計上し、嘘の有価証券報告書を提出した疑いが持たれています。
特捜部は4人の認否を明らかにしていません。
「このような事態に至りましたことは誠に遺憾であり、弊社関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを、深くおわび申し上げます」
2014年に創業したオルツは、AIを使った議事録作成サービスを2020年に開始。去年10月には、東証グロース市場に上場を果たしました。
記者会見では、本人そっくりに作られたAIクローンが会社説明を行うパフォーマンスを披露していました。
「技術開発、プロダクト開発事業、事業開発に取り組んでいる」
しかし、上場からわずか半年後の今年4月、売り上げを過大に計上した疑いが浮上。
7月に第三者委員会が公表した調査結果では、上場前の2021年から4年間で、オレンジ色で示した売上高のおよそ9割にあたる合わせて119億円余りを水増ししていたことが明らかになりました。
上場時は1株540円で売り出され、一時820円台まで上昇した株価は疑惑をきっかけに急落。わずか10カ月余りで100分の1以下に暴落すると、8月31日には上場廃止となり、株式市場から退場しました。
専門家「相当悪質なもの」
疑惑発覚から半年ほどの“スピード逮捕”になったことについて、専門家は次のように話します。
「粉飾の事件はいろいろと調べることがあるので、そもそも時間がかかる類の事件。約1年かかっても不思議ではない。全くの推測だが(去年10月に)上場するころには、すでに誰かから、いろいろな内部通報などがあった可能性」
株高に沸く株式市場への影響も見逃せないといいます。
「今、審査が厳しくなっているので、上場は簡単にはできない。それをくぐり抜けて粉飾をして上場して、一般投資家を裏切るので、あってはならない相当悪質なもの」
(「グッド!モーニング」2025年10月10日放送分より)