社会

モーニングショー

2025年10月10日 19:14

凶暴サル集団、幼稚園でやりたい放題 人気温泉街でも大暴れ なぜ人襲う?2つの背景

凶暴サル集団、幼稚園でやりたい放題 人気温泉街でも大暴れ なぜ人襲う?2つの背景
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 神奈川の温泉地・湯河原町のサルの群れが、人を傷付けたり、住宅に侵入して食べ物を奪ったりするなど、被害が深刻になっています。

幼稚園でやりたい放題 ナス食い荒らす

 神奈川県の温泉地・湯河原町で、今年特に問題となっている“凶暴ザルの集団”。それが、西湘地域最後の群れ「T1群」。サルが生息していた天照山の頭文字「T」を取り、「T1群」と呼ばれる集団。その数は現在19頭です。

 その行動範囲は、隣の静岡県熱海市にも広がっていました。

“リーダー格”に取り付ける
“リーダー格”に取り付ける

 突然、番組取材班の前を走り去っていくサルの親子の姿が。親ザルには首輪のようなものが着いています。これは、自治体側が「T1群」の居場所を把握するため2頭の“リーダー格”に取り付けたGPSの発信機。

ナスを食い荒らす
ナスを食い荒らす

 その後、サルが向かったほうへ先回り。すると、その7分後に音も立てず、いきなり接近してきた1頭のサル。幼稚園の敷地に進入したサルが、一目散に向かったのはナス。大きなサルから順番に、子どもたちが育てていたナスを食い荒らしていきます。

幼稚園の遊具に乗るサル
幼稚園の遊具に乗るサル

 幼稚園のすぐ隣にある住宅でも、別の子ザルが花を物色。さらに、ロープで逆さまになったり、遊具で遊んだり、縦横無尽に走り回る様子は、まるで“サルの幼稚園”です。

 サルたちは10分ほど園内を物色すると、急に木や塀を伝って一斉に移動。サルたちの後を追おうとすると、1頭のサルだけが戻ってきました。

 まだおなかが空いていたのか、園に戻り最後のナスを物色。茂みのほうへ姿を消しました。たわわに実っていたナスも、すべて食べつくされてしまいました。

イヌ散歩中の女性、手にはバット

 幼稚園で、やりたい放題だったサルの集団「T1群」。その後、一体どこへ向かったのでしょうか?

 取材班がサルを見失ってから15分後、住宅が立ち並ぶエリアへ向かうと、再び現れたサルたち。先頭のサルに続き、慣れた様子で次々屋根を降り、道路を渡っていきます。

空き家とみられる建物へ
空き家とみられる建物へ

 サルたちは、電線を渡り次々と空き家とみられる建物へ入っていきます。わずか3分間で少なくとも10頭のサルが、建物の中へと姿を消していきました。

 サルの生態に詳しい、野生鳥獣対策連携センター・阿部豪氏はこのように話します。

野生鳥獣対策連携センター 阿部豪氏
野生鳥獣対策連携センター 阿部豪氏
「サルにとって、人間の生活空間が自分のテリトリーになっていくような段階があって、家屋の中に侵入してその辺で遊んだり、いたずらしたり、ご飯食べたりしているのかなとは思いますね」

 湯河原町周辺で相次ぐ被害。

近隣住民
「(Q.傘を持ってらっしゃるのは?)サルが出た時に対応しようと思って」
「(Q.今年は特にひどい?)(サルに)入られたとか、そういう話を聞きますけど」

 イヌを散歩中の女性の手に握られていたのは…。

イヌ散歩中の女性の手にバット
イヌ散歩中の女性の手にバット
近隣住民
「(Q.お散歩にバットですか?)夕方も朝もすごいサルの群れが出てきますので、これを放さないで。逃げるだけでは、1頭2頭にやられる恐れがあるので。これを振り回して」
「(Q.バットを振り回して撃退?)そうそう」

 さらに、静岡・熱海市の土産物店では、音でサルを追い払おうと“おもちゃの拳銃”を用意。しかし、サルに向けてみても…。

まるや名産店 店主
「(サルは)もう慣れている、音だけで私に何もされないと平気で(商品を)取っていく。もうなかなか対策がないね」
町内16カ所にわなを設置
町内16カ所にわなを設置

 実際取材中にも、クラクションの音にもなかなかどこうとせず、まさにやりたい放題。湯河原町では、町内16カ所にわなを設置。「人間は怖いもの」と学習させてから山に放しています。

 さらに、近隣住民が毎日見回りを行い、花火などでサルの追い払いを続けていますが、いたちごっこが続いています。

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凶暴ザルにかまれ「まだ痕が…」

イヌを威嚇
イヌを威嚇

 人を恐れず、住民の生活を脅かす“凶暴ザルの集団”。部屋の中のイヌと対峙(たいじ)すると、威嚇。

宿泊施設にも…
宿泊施設にも…

 街中では、果物を次々と奪う凶暴ザル。宿泊施設にも“招かれザル客”が現れます。

シェアハウス湯河原 百武正人館長
「電柱のほうから2本線が来ています。Wi-Fi用の光ケーブルが2本来て、そこから下に垂れ下がっているんですけど、これもやっぱりサルにやられて」

 サルがぶら下がった光ケーブルは断線。さらに室内にも侵入され、スナックやミカンなどが奪われました。

 なかには、凶暴ザルに襲われたという人もいます。

「痛みもまだ全く消えてはなく」
「痛みもまだ全く消えてはなく」
今年5月サルに襲われた住民
「1頭がちょっと威嚇してきたと思ったら、襲ってきて。私も一瞬のことだったんで、すぐにバッと逃げて背中を向けたら、足のふくらはぎをかまれて。今も正直まだ痕があって、痛みもまだ全く消えてはなくて」

 湯河原町によると、住宅への侵入や家屋への被害などは1万件以上。そのうち人への危害は930件に上ると言います。

なぜ人襲う!?2つの背景

 人を恐れず、住民の生活を脅かすまで行動がエスカレートしている「T1群」の凶暴ザル。なぜ被害が相次いでいるのでしょうか。ニホンザルを研究している日本霊長類学会・清野未恵子理事はこのように話します。

「湯河原の事例については、観光目的にサルを餌(え)付けして、逃げないようにしてきたという他と違う歴史があります」
継続的な餌付けが行われていた
継続的な餌付けが行われていた

 湯河原町周辺では1950年代から約20年間にわたり、観光客が野生のサルに餌(えさ)を与えるなど、継続的な餌付けが行われていました。

 その結果、「人里のほうが栄養価の高い食べ物がある」とサルが学習し、頻繁に人里に降りてくるようになってしまったのではといいます。

 なぜサルが人を威嚇したり襲ったりするようになったのか。背景には、近年の猛暑が関係している可能性があるといいます。

近年の猛暑が関係している可能性も
近年の猛暑が関係している可能性も
清野理事
「(Q.猛暑で山に餌が少ない?)山の実りに関しても、すごく実っている時とそうでない時がありますので、そういったものを背景に人間が住んでいるエリアのものを選ぼうかということになっている」

 西湘地域最後の群れ「T1群」。湯河原町では、これまで追い払いなどの対策を進めてきたものの、被害は拡大。

 住民からも「凶暴化するサルを捕獲してほしい」という声が上がっていて、全頭捕獲を目標に、県へ要望書を提出しています。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月10日放送分より)

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