台風22号が直撃し、伊豆諸島・八丈島では甚大な被害が発生した。さらに、接近する台風23号の被害も懸念されている。
およそ6700人が住む八丈島に9日、台風22号が直撃。観測史上最大の大雨に見舞われた。八丈島の空港からおよそ200メートルほどの店舗では、暴風の影響で屋根が吹き飛び、外壁もほとんど剥がれてしまっている。
町中では何台もの車が横倒しに。これらの被害が確認されたのは、2つの山に挟まれ、風が吹き抜けやすい市街地。最大瞬間風速54.7メートル、時速に換算するとおよそ197キロという猛烈な暴風が吹き荒れた。島民は「この台風は、私77歳ですけど、一番強かった。やっぱり怖いですね。自然の地震や台風は……。久しぶりにこの年でビビった」と語る。
およそ350人が避難。東京電力パワーグリッドの調べでは、11日12時時点でおよそ3390軒が停電し、土石流も発生。土石流被害に遭った人は「本当にすごいスピードで水がダーッと流れてきた。出入口の方から扉を破る状態で土石流とともに入ってきた」と証言する。
スーパーには食料品がほとんどない状態で、さらには島内の多くの地域で断水が続いている。子どもがいる島民は「やっぱりこの子がいるのでお風呂が入れない……。洗濯もできない。でも、この子より小さい子がいる家庭はミルクがあると大変だなと」と心境を明かした。
11日朝、海上保安庁の船が到着。船には400トンの水が積まれていて、救援・支援が行われた。復旧のめどが立たないうちに、新たに発生した台風23号が、再び伊豆諸島を直撃する恐れがあり、さらなる被害が懸念されている。
八丈島を取材するテレビ朝日の屋比久就平記者は現地の様子を伝えた。「町が設置したゴミの仮置き場が11日に開設されて、12日朝も午前9時から運搬が始まり、続々と廃棄物が運び込まれている。家屋の木材や屋根が積まれていて、台風22号の被害の大きさを改めて実感する」。
「住民の方々は、徐々に復旧に向けて歩み始めているが、そんな中で懸念されるのが台風23号。こちらのゴミの仮置き場は、11日は午後4時まで受け入れを行っていたが、12日はこの後雨風が強くなる予想を受けて、正午を持って受け入れを終了した。住民の方からは、八丈島の人は台風に慣れているとはいえ、22号で大きなダメージを受けた中で、次の台風が来るのは不安だという心配の声が聞かれた」
島民が一番困っていることは「いろいろと困っていることはあるが、特に断水が続いていること」だという。「台風22号の影響で土砂崩れや倒木が発生してしまい、水道管が損傷したことで、島の広い範囲で今も断水が続いている。海上保安庁による給水支援も行われているが、まだまだ水が足りていない状況だ」とした。
また、台風23号への対応として「これまで避難所が3つ設置されているが、町によると、12日午後3時から新たに3つの避難所を開設して、住民の方々の受け入れを行うという。また、22号が直撃した際に大きな被害が出てしまった末吉地区では、11日に住民の避難指示という形で、安全な高校の体育館へ移動する対応を取っている」と伝えた。
そして、今回の被害は過去に例を見ないほどだという。「いろいろな街の方に取材させていただくと、特に高齢の方、何十年も島に住んでいるという方でも、今回の台風22号(ほどの被害)は『経験したことがない』と皆さん口を揃えておっしゃっていた。八丈島は、ある程度台風には慣れていて、停電などの経験をしたことがあるし、断水もなくはなかったが、『ここまで大きな被害になるのは初めてだ』と。そして、皆さん、次の台風への心配というのを口にしていた」(屋比久記者)
(『ABEMA的ニュースショー』より)