福島市で13日夜、ホテルの駐車場にクマが出没し、その後、約7時間にわたって居座り続けました。東北では連日、クマの被害が相次いでいて、秋田県では保育園のすぐ近くで目撃されるなど、クマへの危機感が高まっています。
保育園のそばに“黒い影”
クマの目撃情報が絶えない秋田県横手市。ANNのカメラは茂みに潜む姿を捉えました。茂みの中でモゾモゾと動く黒い影。最初の目撃者は14日朝、保育園へ子どもを預けにきた保護者でした。
「子グマが園庭の子どもたちが遊ぶ方に走っていったので、すぐ園に通報しました。もし近くに親グマがいたらと思うと怖くて」
この保育園の道路を挟んで反対側は山。通りがかった送迎バスのドライブレコーダーにも、その姿はハッキリと映っていました。午後3時40分、山から姿を現した小柄なクマ。一度、車道に出ようとしますが、すぐに山へと引き返します。
「保護者さんが電話で教えてくれたんですけど、思わず『嘘?』と言ってしまった。それぐらいビックリしました」
園では外遊びを中止。そして、クマ対策として急きょ使ったのが、運動会などで使うピストル。音でクマを追い払います。
「まずはできることをやっていきたい。クマよけのスプレーって強力なものの導入も考えたが、園児が近くにいる時には使えないことを考えた時に、音なのかなと」
秋田県では、今年に入ってクマによる人的被害は31件。目撃情報に至っては5500件以上、地図にするとほぼ全域にわたっています。
「現時点で1000頭を超えるクマの有害駆除をしております。8月末現在までしか比較できないが、一昨年より速いペースで駆除している。危機的かつ緊急事態と認識」
しかし、対応にあたるマンパワーはすでに限界に達していて、今後、対策にかかる予算の拡大などを検討していくとしています。
ホテル駐車場に7時間居座り
クマから子どもの身を守る取り組みは、福島市内の小学校でも。
「捕まるかなと思ったんですけど、捕まっていない感じだったので」
いまだ行方が分かっていないのは、13日午後6時過ぎ、市内に突如現れた体長1メートルほどのクマです。場所は、付近に川が流れる飯坂温泉の中心部。クマは立体駐車場の建物と、隣接するグループホームの屋上を行ったり来たり。約7時間居座った後、午前4時半ごろ、川沿いに移動したとみられています。
「立体駐車場に入った段階でクマは休んでいる。そのうち騒ぎになり、脱出できなくなった。だから建物を行き来するということが起こった。麻酔銃を使えれば良いが、事故につながるというのは当事者としては大変判断が難しいでしょう」
市によると、クマ対策の基本方針は罠を使うこと。今回、立体駐車場の入り口にネットを張り、閉じ込めていました。つまり、罠を使える状況にあったため『緊急銃猟』の条件には当てはまらなかったといいます。
また、居座っていたのとほぼ同じ時間、別の場所を歩いていたのは2頭のクマです。赤色灯に反応したのか、光を見ると動きがやや早くなるのが分かります。
「大音量で走り回るとか、夜であればライトで照らすとなると(クマは)逃げ場を失う。1方向からサイレン鳴らし、ライトを当てるなりして、どこか暗い場所、音がしない場所を作ってやるのが大切。秋の事故は“山の事故”が2割くらい。他8割くらいは集落周辺で起こっている。もう50日くらい出没もあるし、騒ぎが続くだろう」