全国の河川や水路で停泊許可を取っていない、いわゆる水上の駐車違反が増えています。横倒しになった船や、朽ち果てた船が放置され「船の墓場」と化した現場を取材しました。
災害時の二次災害、火災リスクも
旧江戸川に放置された無数の船。ガラスが割れた船舶や船体の大半が沈んだものもあります。
今、全国の河川や用水路で船舶の不法係留が問題になっています。
船舶の免許スクールを運営する、関東小型船安全協会・榎本茂理事と共に、旧江戸川を遡ってみると、航路の真ん中に陣取る不法係留船がありました。
航行する船と衝突する恐れもある一方、問題は他にもあります。
災害時に船が流されることで二次災害が起きる危険性もあると話す榎本理事。
実際、東日本大震災の時には、不法係留船が町中まで押し流されました。
さらに、懸念されるのが…。
生態系への影響はもちろん、火災が起きる可能性もあります。実際に沖縄では去年に、不法係留船で火災が起きたことも。
水産庁によると、全国で確認できた船14.5万隻のうち、およそ4割が河川の占用許可を得ていない不法係留船というデータも公表されています。
さらに進むと、船以外のものも…。
崩壊寸前の手作りの桟橋。なかにはさびているものもあります。桟橋の上には倉庫があり、崩れると新たな被害を生みかねません。なぜ、不法係留船が増えているのでしょうか?
「桟橋も自分たちの手作りで作って。パイプで勝手に作っていると崩れちゃう。墓場ができちゃう。(行政が)管理しないでほったらかしているから、こういうことになっちゃう。本当に負のスパイラルです」
所有者と連絡取れず…
行政の対応も異なります。東京都と千葉の間を流れる旧江戸川。東京都側はきれいに整備されていますが、千葉県側は不法係留船であふれています。
こうした現状を受け、千葉県側も動き出しました。今年7月、船橋市を流れる日の出水路で行政代執行が行われました。
不法係留船を一時的に県の税金で撤去。後日、撤去費用は持ち主に請求します。しかし、ほとんどの船の所有者と連絡を取れていないのが現状です。
「税金で支払われているわけですので。所有者を調べて指導等を積極的にしていきたいと思います」
撤去された不法係留船は17隻。許可なく建てられた桟橋も撤去されました。かかった費用の総額は、およそ7300万円に上ります。周辺住民はこのように話します。
「何億、何十億ってお金がかかっていっちゃうけど、リセットボタン押すにはやむを得ないと思う。安全にも直結する問題だから、一度ここは税金投入して、きれいにして、今後の仕組みをきちんと作って。そこから税収を得て、それで補填(ほてん)していくというプランを立てるのが一番いいんじゃないかな」
(「グッド!モーニング」2025年10月15日放送分より)