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2025年10月16日 17:24

クマ出没に厳戒 世界遺産や観光地でも… 岐阜・白川郷 今年はすでに99件の目撃情報

クマ出没に厳戒 世界遺産や観光地でも… 岐阜・白川郷 今年はすでに99件の目撃情報
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 各地でクマによる被害が相次いでいて、市街地の保育園や観光地にも出没しています。仙台市では15日、全国で初めて自治体の判断で猟銃が使える「緊急銃猟」でクマを駆除しました。

保育園に出没 ガラスたたくクマ

 ドアのガラス越しに中をのぞき込む1頭のクマ。においをかいでいるようにも見えます。14日、岩手県花巻市の保育園で裏口から敷地にクマが侵入。防犯カメラがその瞬間を捉えていました。

フェンス沿いを歩くクマ
フェンス沿いを歩くクマ

 フェンス沿いを歩くクマ。開いたままの裏口を抜け、園内へ。その後、奥へと進んでいきます。このクマを目撃した人は、慌てて車から飛び出し、急いでクマが侵入してきたことを園内に知らせます。

撮影した職員
「クマが入ったっていう情報を得て、まず一番に先生たちと『鍵閉めて』『窓は閉めて』と」

 室内をのぞき込んでいたクマは諦めたのか庭を5分ほどうろついた後、敷地の外へ出ていきました。

 当時、保育園にはおよそ40人の園児がいましたが、けが人はいませんでした。

「近所で出てるのは、情報は結構毎日のように入るんですけど、まさかって感じですよね」

 なぜクマは人がたくさんいる保育園の周辺に現れたのでしょうか?クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授はこう分析します。

学習してしまった成功体験があるので
学習してしまった成功体験があるので
「2年前の秋にどんぐりが大凶作だった。その年、ものすごい数の個体が街中まで出てきて、ここに来ればおいしいものが食べられるって学習してしまった成功体験があるので。そういったものを経験したクマが、その翌年とか翌々年に頻繁に出没してるんじゃないかな」

 また、山内准教授は、クマが現れる場所には“ある共通点”が存在すると指摘します。

「川が野生動物の通行路になっている可能性が非常に高くて、そこを経由して、ちょっと今まででは考えられなかった街中とか学校とか、そういった所にいきなり出没する」
クマが現れた保育園の地図
クマが現れた保育園と川の位置関係

 今回、クマが現れた保育園の目の前にも川が流れています。保育園に侵入したクマは、この川沿いを歩いてきた可能性があると、山内准教授はいいます。

夜の温泉街 クマ居座り7時間

 13日、福島市では夜の住宅街に突如クマが出没。場所は、JR福島駅からおよそ9キロの温泉街にあるホテルの立体駐車場です。クマが現れた現場のすぐ近くには、やはり川がありました。

ホテルの従業員
「怖いよね。上から見ていたんだけど、午後6時ごろからずっとね、捕獲しようとしているんだけどね、まだ捕まっていないからね」
体長1メートルほどのクマ
体長1メートルほどのクマ

 クマは体長1メートルほどで、立体駐車場と隣の建物の屋上を行ったり来たりしながら、およそ7時間居座りました。

 その後、クマは屋上から下りて、姿を消しました。周辺では警察と市が警戒を続けています。

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背後からクマ 82歳女性「ガッてやられた」

 秋田県大仙市では82歳の女性がクマに襲われました。現場は、大小の川に挟まれた中間地点にあります。

82歳の女性とクマ
82歳の女性とクマ

 防犯カメラに記録された映像を見てみると、クマは画面の左に向かって走り、その後、女性に勢いよく飛び掛かりました。

 女性は顔に4針を縫うけがをしました。

「右側から(クマが)来て、あって思っているうちにガッてやられちゃって。爪でこう…やられた。この辺りは(クマが)いないと思って歩いていたから」

冬眠前のクマ 鋭い爪でうなり声

 冬眠を前にエサを求めて行動が活発化しているのか、クマの目撃が全国で相次いでいます。

うなり声を上げて威嚇するヒグマ
うなり声を上げて威嚇するヒグマ

 北海道砂川市の猟友会は、箱わなの中で鋭い爪を立てて暴れ、うなり声を上げて威嚇するヒグマの映像を撮影しました。

 このクマの捕獲が確認された、わずか2時間後…。ヒグマは箱わなのドアを壊そうとしました。

「緊急銃猟」で駆除 仙台市市街地

 市内の別の場所でも、クマが捕獲されました。

 砂川市の市街地ではクマの目撃情報が数多く寄せられていて、この2カ月半ほどで、9頭捕まえたといいます。

全国初となる「緊急銃猟」を実施した仙台市
全国初となる「緊急銃猟」を実施した仙台市

 仙台市では、15日、全国初となる「緊急銃猟」が行われました。住宅地に近い雑木林でクマが目撃されたのを受け、仙台市は住民に危険が及ぶ可能性があるとして15日午前6時前、安全を確保したうえで猟銃でクマ1頭を駆除しました。

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北海道の世界遺産にヒグマ

親子とみられるヒグマ
親子とみられるヒグマ

 世界自然遺産の北海道・知床はヒグマの生息地です。親子とみられるヒグマが川を歩いています。産卵のために川を遡上(そじょう)してくるサケを狙っているようです。

 観光客が高台の安全な場所から野生のヒグマを撮影しています。ただ、中には親子のヒグマに接近して観察する人もいます。

 ヒグマ対策を行う「知床財団」はパトロールを行い、クマとの距離が近い観光客に注意を促しています。

ハンター
「クマがそこにいて、つきまとう人がいる」

 橋の下には、大きなヒグマがいます。そこへ、望遠レンズのカメラを持った男性たちが、ハンターが注意したにもかかわらずヒグマに近づきます。

クマにつきまとう人たち
クマにつきまとう人たち

 この知床国立公園内では、ヒグマとの距離が50メートル未満だと「つきまとい」となり、規制の対象になります。

知床財団 玉置創司事務局長
「距離は超えているはず。指示しても聞かない」

 この後、公園を管理する環境省の職員が注意したといいます。環境省は対策として、監視カメラや看板を設置。観光客のマナー向上を訴えています。

クマ堂々闊歩 善光寺周辺に出没

 クマは有名な観光地にも出没。警察が注意を呼び掛けています。

クマ出没エリア近くの仏壇店 山口剛史社長
「『クマに気を付けてください』と放送(防災無線)が流れていましたけど、あの放送で『クマですよ』というのは初めて聞きました」

 およそ1400年の歴史を持つ、長野県の善光寺。道が埋め尽くされるほど多くの人が訪れる、日本有数の観光地です。

宿坊に設置された防犯カメラに映る一頭のクマ
宿坊に設置された防犯カメラに映る一頭のクマ

 11日午前2時ごろ、善光寺の宿坊に設置された防犯カメラに映る一頭のクマ。周りを気にすることなくスタスタと歩いていきます。

 昼間は多くの人でにぎわう仲見世通りのすぐ近くでのクマ出没に東京から観光できた親子はこう話します。

「こんな市街地、人がたくさんいるところでも(クマが)出てくるのは怖いなと感じました」
「音が鳴ってると(クマが)近寄らないと聞いたので、ずっと口笛吹きながら鈴を鳴らしながら歩いてました」

岐阜・白川郷 観光客が被害

 世界遺産の合掌造りで知られる岐阜県白川村。毎年恒例の祭りが始まり、にぎわいを見せるものの、今年は少し様子が違っていました。

クマ出没注意の看板
クマ出没注意の看板

 白川郷では今月5日、スペイン人の観光客がクマに襲われる被害が発生。至る所にクマ出没注意の看板を設置しています。

 役場は警察などと協力して一日2回、朝と夕方のクマの活動が活発になる時間帯にパトロールを実施しています。

こちらから向こうは立ち入り禁止
こちらから向こうは立ち入り禁止
白川郷周辺をパトロール
白川村役場 高島一成さん
「かやとか草むらになってますので、クマが潜んでいる可能性、危険性があるということでこちらから向こうは立ち入り禁止」
クマの目撃情報が今年はすでに99件
クマの目撃情報が今年はすでに99件

 去年1年間で35件だったクマの目撃情報が今年はすでに99件報告されているといいます(10月11日取材時点)。山内准教授はこう指摘します。

「川沿いの草むら、いわゆる河畔林と呼ばれているような環境があると、やっぱりなかなか(クマの)出没を防ぐことができない。もう去年まで来なかったとか、そういった常識はちょっと捨てていただいて、あすは我が身になる可能性があるということを意識をちょっと変えていく必要があるかなと思います」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月16日放送分より)

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