社会

グッド!モーニング

2025年10月17日 09:56

LINE舞台にニセ警官が次々と インフルエンサーが681万円だまし取られる【詳細版】

LINE舞台にニセ警官が次々と インフルエンサーが681万円だまし取られる【詳細版】
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 ニセ警察官による詐欺事件は今年上半期だけで被害額が390億円にも上っています。680万円余りをだまし取られたという女性が巧妙な手口を語りました。

SNSに詳しい女性もだます

 「びっくりしましたね。まさか私がみたいな」と話すのは、世界およそ130カ国を旅するヘア&メイクアップアーティストでインフルエンサーのYuh Kawasakiさん。きっかけは、8月にかかってきた一本の電話でした。

 「山梨県警の者です。未公開の事件について教えてください」と、末尾0110の番号からの着信がありました。

Yuhさんの住所と本名を告げる
Yuhさんの住所と本名を告げる

 山梨県警の警察官を名乗る男AはYuhさんの住所と本名を告げた後、「マネーロンダリング事件でYuhさん名義の銀行口座が犯罪に使われている」「被害者が数名いて、被害額はおよそ7000万円」と伝えました。

「(心当たりが)全くないので。初めて聞くことだったので、え?みたいな感じで。それが本当だったら、大変なことだなと」
ビデオ通話の条件
LINEビデオ通話の条件

 ニセ警察官は落ち着いた様子で「山梨県警まで来てください」と告げます。

 Yuhさんは「大阪にいるためすぐには行けない」と伝えると、男は「LINEのビデオ通話で事情聴取ができる」と話しました。条件として、部屋に一人でいることを求めたといいます。

「手口が巧妙で自然だったんです。すべてがスムーズというか、おかしいなと思う点がなかったです」
警察の紋章のようなものをアイコンにしたID
警察の紋章のようなものをアイコンにしたID

 男の指示通りLINEを検索すると、警察の紋章のようなものをアイコンにしたIDが出てきました。

「警察のこんなLINEがあるんやなみたいな感じで、本物っぽいなと思いました」
警察手帳のようなものを見せてきた
警察手帳のようなものを見せてきた

 ビデオ通話を開始すると、今度は警察官を名乗る女Bが登場。警察手帳のようなものを見せてきたといいます。

「素人が見たら、これが警察手帳ですと言われたら、そうなんやなと思ってしまうような感じでした」
相手を信用する決定打に
相手を信用する決定打に

 実際に警察官を名乗る男のビデオ通話の映像。男は所属・名前を名乗ると、Yuhさんに対しその後、女はスマートフォンに信号調査なるものを行い、犯行グループとのやり取りがあったかを調べると言って別室に移動。入れ替わる形で、3人目の新たな警察官を名乗る男が登場しました。

 少し違和感を覚えながらやり取りをしていましたが、警察官を名乗る男Cの「海外の通販を使ったことはありませんか。クレジットカードを不正利用されたことはありませんか」という質問が、相手を信用する決定打になったといいます。

「すべて当てはまってしまったので、それで個人情報が漏れて偽造されてしまったんだなって。身に覚えがありすぎて、それでちょっと信用してしまったってこともあります」
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3時間半通話「言われるがまま」

LINE通話はすでに3時間半…
LINEビデオ通話はすでに3時間半…

 Yuhさんが信じたと確信したのか、ここから男は金をだまし取る話を始めます。すでに通話は3時間半、午後7時半すぎになっていました。

 ニセ警察官は「身の潔白を証明しないと最大で20日勾留される」と話し、銀行口座の金が犯罪に使われていないかを調べると伝えました。

口座の現金を一つにまとめて送金するよう指示
口座の現金を一つにまとめて送金するよう指示

 Yuhさんから5つの口座を持っていることを聞き出した男は「すべてを調べるには3時間かかる」と言い、簡略化のために口座の現金を一つにまとめて、送金するよう指示してきました。

 Yuhさんは言われるがまま、現金を一つの口座にまとめましたが、送金するのはおかしいのではないかと思い、「振り込め詐欺じゃないですよね」と尋ねました。

銀行口座が偽造され巻き込まれた被害者
銀行口座が偽造され巻き込まれた被害者

 しかし、男は「潔白が証明されたら返金します」と断言。終始Yuhさんが「銀行口座を偽造され、巻き込まれた被害者」として扱われていたため納得してしまったといいます。

「秘密保持の何かがあるみたいで、家族であろうと第三者に言うと、秘密漏洩(ろうえい)罪みたいなのになると言われて、誰にも相談できないですし。スマホでこの事件について調べるのもダメと言われまして。なので、この事件が本当かどうかも調べることもできなかったので、もう言われるがままにするしかないような状況でした」
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「ニュース見ない」女性後悔

指定された都市銀行の個人口座に振り込んだ681万円
指定された都市銀行の個人口座に振り込んだ681万円

 指定された都市銀行の個人口座に681万円を振り込んだYuhさん。20分後、男から送られてきたのは、返金明細と書かれたスクリーンショットでした。681万円を返金したかのように記されています。振込予定日は翌日の日付になっていました。

特定重大秘密保持誓約書なるもの
特定重大秘密保持誓約書なるもの

 その明細の後には、特定重大秘密保持誓約書なるものも送られてきました。誓約書には「位置情報をリアルタイムで報告すること」「キーワード検索を禁止すること」などのほか、「無関係の人に話すことを禁止する」とも書かれていました。

「言われるがまま読んで、内容もすべてが初めてのことなので、それが正しいことなのか、だまされているのかも何も分からないので」
翌日だまされたことが分かる
翌日だまされたことが分かる

 電話を切った後も、逃走の恐れがあるとして「出かける時」「帰宅した時」「寝る時」「起きた時」に逐一LINEで報告するよう求められ、Yuhさんはその指示に従いました。そして翌日、だまされたことが分かります。

「翌日の朝9時には入金されていると思うのですが、振り込みがされていなかったので、そこで振り込め詐欺やって、やっと気づきまして」
「ニュースを見ていたら防げたかなと」
「ニュースを見ていたら防げたかなと」

 すぐに警察署に被害届を提出したといいます。インターネットやSNSに詳しいはずのインフルエンサーが、なぜ簡単にだまされてしまったのでしょうか?

「普段あまりニュースを見ていなかったんです。ここ最近、全然見ていなくて。でも、実際にネットで調べてみたら、同じような手口がいっぱい出てきたので。何で知らなかったんだろうってなったので、ニュースを見ていたら、防げたんじゃないかなと」

(「グッド!モーニング」2025年10月17日放送分より)

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