温泉旅館の近くで見つかった遺体について市が緊急会見を開き、クマによる被害だったことを明らかにしました。
露天風呂で被害か 市が会見
「川を挟んだ地域で(遺体が)発見された。近くにクマがいた」
警察や猟友会は17日午前8時から、およそ40人体制で捜索を再開。岩手県北上市で、瀬美温泉の従業員、笹崎勝巳さん(60)が行方不明になっていました。
露天風呂の清掃中にクマに襲われ、連れ去られたとみられています。
捜索開始から2時間半がたった午前10時半すぎ、現場に動きがありました。
露天風呂から、北西に50メートルほど離れた雑木林で男性の遺体が見つかりました。警察によりますと、顔などの損傷が激しく身元は特定できずにいるといいます。
さらに40分後には、遺体があったすぐ近くにクマがいるのを警察と猟友会が発見。クマが山に逃げようとしたところで、猟銃を数発発砲し駆除したということです。クマの体長は1.5メートルでした。
17日午後4時半に北上市が会見を行い、午前9時すぎに露天風呂から50メートルの雑木林で遺体発見、直近3件で採取したクマのDNAの鑑定を依頼したと発表されました。
“人を襲うクマ”相次ぐ
今、各地の市街地では、人を襲うクマが相次いでいます。17日朝も、秋田市では住宅の近くにクマが現われています。
別の住宅では、飼い犬が激しくほえています。鳴き声に反応して動く物体が。茂みに潜んでいるのは、体長1メートルほどのクマ。
出没が相次ぐ秋田市の住宅街。16日午前9時ごろの映像です。庭にあるドッグランの柵のすぐ近くまで、クマが接近しています。
「フェンスがなかったら、家まで来ていたのでは。すごく怖かった。ドッグランの隣に家庭菜園をやっていて、野菜を植えているので、入ってくるのではと警戒をしたが、犬がすごくほえたのでその鳴き声で、クマが逃げていった。(今まで)子どもが帰ってきて、庭で遊んでいたが、しばらく子どもは出さないように夫と話している」
同じ秋田市では、市街地のクリニックから20メートルほどの距離に、子グマとみられる2頭が出没。
「親グマは見えなかったが、そのちょっと前にスタッフが親子グマ3頭を見ている。数日前も小学校のすぐ近くで、クマが出没している。『クマダス』にもいっぱいこの近辺に通知されているので、だんだんアーバンベアになってきている気がする」
市街地周辺に生息する「アーバンベア」が今、急増しています。
秋田県のマップ「クマダス」を見ると、出没情報を示す赤丸が県内全域でびっしり。クマの出没情報は、8月までで3089件。すでに去年のおよそ3.5倍です。
クマが出没したクリニックでは17日、出入り口に貼り紙を付け、注意を促しています。
「秋田県内ではクマによる人身被害がどんどん増えている。今まではクマが怖いと思ったことはないが、最近は何されるか分からないのでとても怖い」
ヒグマ警戒の最前線 猟友会密着
北海道でも、市街地に侵入してくる「アーバンベア」の目撃が相次いでいます。
番組の取材班は17日、ヒグマ対策の最前線にいる猟友会の支部長に同行させてもらいました。
設置した箱罠に、ヒグマがかかっていないか確認するのは、北海道猟友会砂川支部の池上治男支部長です。
大きなヒグマの足跡が、くっきりと残っています。
恐ろしいうなり声をあげるヒグマ。砂川市では人への被害を防ぐため、猟友会に箱罠の設置を依頼。この2カ月半ほどで、10頭のヒグマを捕獲しています。17日朝もパトロール中に…。
「はい、池上です。おはようございます。どうした?」
「家の前でクマを見たそうです」
「さっき通ったんだぞ、そこ」
「今、警察から電話がありました」
「現場に行くわ」
ヒグマの目撃情報があったため、現場へ急ぎます。住宅の近くに、赤色灯をつけたパトカーが止まっていました。
「ヒグマが歩いていると」
「親子グマが」
午前6時ごろに、親子のヒグマ2頭が歩いていたといいます。警察官は、クマスプレーを持って対応しています。
「どっちから来たって?」
ヒグマの痕跡が残っていないか、猟友会が調査します。
「この辺りにいたんだ」
「顔を出して、すぐに戻った」
「また戻ったの?」
「あっちのほうに戻った」
「まだ(ヒグマ)いるわ、そしたら」
近くに親子のヒグマが潜んでいる恐れがあり、緊張が走ります。
「川に戻ったんだ。ということは (草むらの)中にまだいる。親子2頭が山に戻れないんだ。だから中にまだ入っている。これだけ人がいたら中でうろうろしている」
その後、猟友会は別の場所に出没したヒグマの映像を入手しました。警察は警戒を続けています。