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ABEMA NEWS

2025年10月18日 11:01

カロリーだけ計算していたら間違い?最新ダイエット理論「脂質起動」とは 専門医「脂質とたんぱく質で満腹になっていい」理由

カロリーだけ計算していたら間違い?最新ダイエット理論「脂質起動」とは 専門医「脂質とたんぱく質で満腹になっていい」理由
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 「食欲の秋」とも言われるように、いろいろな食べ物がおいしく感じられる季節に入った。反面、体重・体型を気にする人からすれば、食べ過ぎに注意したい時期でもある。ダイエットする人には「カロリー信仰」が根強く、20代女性の1日あたりの摂取カロリーが、終戦直後の日本人の平均を下回ってしまうということもある。

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 ところが最新のダイエット理論では「脂質起動」と呼ばれるものがあり、糖質はセーブするものの「脂質・たんぱく質においては、満腹になるまで食べてOK」という専門医もいる。「ABEMA Prime」では、ゆるやかな糖質コントロール「ロカボ」の生みの親でもある北里大学・北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏に、最新のダイエット理論を聞いた。

■大事なのはカロリー計算よりも栄養素の種類

カロリー計算は間違いだらけ?

 まず山田氏が「カロリー信仰」を疑問視するのは、そもそも正確なカロリー計算自体が困難だからだ。「消費者庁が栄養成分表示のルールを定めて、表示の義務を企業が負っているが、そのレベルでも±20%の誤差が許されている。1日トータル2000キロカロリーだと計算しても、実際には1600〜2400キロカロリーのどこかに入っているというだけ」だと指摘した。

 またカロリー制限によるダイエットはリバウンドの可能性が高いとし「データでは3年で50%、9年ではほぼ100%リバウンドする。動物実験では1カ月だ。人間は根性である程度リバウンドまでの期間を伸ばせるが、ほぼ必発といえる」と加えた。

 理由は動物本来の生存本能だとする。「体重は、ほぼ生存本能で規定されていると考えられている。体重がその人があるべき体重より落ちていると『食べろ、食べろ』という指令が、生存本能から出てくる。意思の力で抑えられることは頑張っていてすごいと思うが、いずれ元には戻る」。

 その上で、体重管理として重要とされているのが「脂質起動」という考え方だ。「糖質を控えて、油とタンパク質を食べている方が、圧倒的に体重管理が楽になる。その人が十分にエネルギーを摂取できていると思ったら、必ず満腹にはなる。ただし糖質が多いと、『この人は太った方が生存に有利だ』となり、太りやすくなる」とも説明した。体内にはある程度、脂肪を蓄えることも必要だ。「体脂肪をつけること自体、一定程度必要だ。それは飢餓に備えるためや、寒さに備えるためのもの。男性なら体脂肪10〜15%、女性なら15〜20%は全然問題がないレベルで、そのレベルに収束していくはず」。

 脂質の摂取は、ダイエットする人から避けられる傾向も強い。「食べる油を控えると痩せると思っている人は多いが、そうするとエネルギー消費が勝手に落ちる。一時的にエネルギー摂取が落ちることで体重は減るが、おそらくは飢餓感が増してきて、あるいは満腹感が全く感じられなくなり、長い目で見ると確実にリバウンドする」と注意喚起した。

■サラダチキンよりから揚げ、とろろそばよりラーメンがいい!?

糖質起動

 カロリーに対する考え方が、大きく変わってきた流れはどんなものがあったのか。「20世紀の頃はカロリー制限が減量法であり、糖尿病の治療法であると、医者も含めて教わっていた。ところがこの15年で、実はカロリーを計算してカロリー制限するよりも、たんぱく質と油は、いつ何時食べてもいいから糖質だけ控えたという方が、体重も糖尿病も高脂血症もよくできるというのが、2008年に論文で出てきてひっくり返った。その栄養学の大転換に、まだついていけていない病院もある」と、まだ歴史が浅いという。

 さらに「日本糖尿病学会でさえ、カロリー制限は太った人の限定的なもので、太っていない人にはエビデンスがなく、糖質制限は体重に関係なく血糖の改善に有効だとガイドラインを改定したのも、去年の話。施設がついていけないのも仕方ない」と紹介した。

 日常生活において、糖質を控えてタンパク質・脂質を多く摂取するには、どんな食べ物を選んでいくべきか。番組では、サラダチキンよりもから揚げ、おにぎりよりもハンバーガー、とろろそばより二郎系のラーメンがよいと紹介した。「とろろそばは、山かけのところも糖質で、そばとのダブルで糖質になる。二郎系のラーメンについては、麺の上に野菜が乗って、肉が乗っているので食物繊維とタンパク質、脂質が入る。さらに二郎系だと店によっては麺半分という選択ができる」と、ダイエットには正反対に位置していそうなラーメンも、種類や食べ方によって理想的なものになるという。

 また、血糖値の上昇については、アルコールの摂取も有効だと語る。「血糖の安定化には酒が有利になる。酒を飲んでおくと、食後の血糖の上昇が緩やかになる。蒸留酒は糖質がほぼないのでハイボールや焼酎は最高。ビールとから揚げの組み合わせも悪くないが、糖質ゼロビールなら完璧」とも紹介した。

 例としてはフランス料理、京料理の懐石なども理に適ったものだという。「フランス料理も、体を動かさないフランスの貴族たちがあれを食べて、そんなに体を害さないように出来上がっている。京都の懐石も、先付けから食べていって、最後の締めでお米を少量という食べ方は、まさに京都の貴族たちが健康を害さないように食べていたということ」。 (『ABEMA Prime』より)

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