配当が遅れるといった投資トラブルが起きている「みんなで大家さん」に対し、今週、大阪府と東京都が新たな行政指導を行いました。さらに原告は1000人を超え、100億円規模の訴訟になることが分かりました。
新たな行政指導に「遺憾」
「みんなで大家さん」の主力プロジェクトである成田の大規模開発事業。ホームページでは14日も着々と開発が進んでいると動画を公開していますが、17日にゲートウェイ成田の工事現場に向かうと、作業員の姿はなく人の出入りはほとんど見られません。作業が進んでいる様子は確認できませんでした。
投資家およそ4万人から集めた資金は総額2000億円以上。利回り7%という高い配当をウリにしていましたが、成田で配当が止まったのを皮切りに、他のプロジェクトにも影響が波及しています。
大阪府と東京都は14日、「みんなで大家さん」側が投資家に提示した新たなスキーム「第三者譲渡」について、行政指導をしたと公表しました。
「投資家に対しては具体的にかつ分かりやすく説明をするように改めて指導したというのが今回中身になっております。都としては引き続き事業者において投資家に対して適切な対応がなされるように法律に基づいて適切に対応していくということであります」
大家さん側が「最善策」だと示した「第三者譲渡契約」。投資家が出資した持ち分(1口100万円)を大家さん側が第三者に譲渡。第三者は「保険付き債券」を発行し、保険会社が出資金を全額保証し、年率7%の利息まで支払うというのです。
しかし、大家さん側が示す「第三者」は100%子会社のこと。出資者側の弁護士は猛反発します。
「『訴訟回避のための甘いエサ』『時間稼ぎ』にしか見えません」
投資家が持ち分を譲渡してしまえば、出資金への権利を失い、裁判に打って出られなくなる懸念があるといいます。
大阪府は、保険会社の社名やなぜ譲渡後も年率7%の利息が受け取れるのか、といった8項目の開示を求めています。
大家さん側は行政指導に強く反発しています。
「行政指導は本来、事業者の自主的な改善・協力を促す任意の働きかけであり、法的拘束力を伴う処分ではありません。行政指導の段階で名指し公表を先行させる運用は社会的制裁に近い外形効果をもたらすおそれがあります。当社の社会的信用を不当に害し得るものと考えており、遺憾の意を表明いたします」
集団訴訟を進める弁護団によると、第1次の訴訟に加わる投資家は1000人を超え、損害賠償請求額は100億円規模に達する見通しであることが分かりました。1人あたりの最高額は2億1400万円です。相談者は高齢者が多く、今月末から来月上旬の提訴を目指しています。
土地を貸し出す会社はどう受け止め?
大家さん側に借地契約で土地を貸し出す「成田国際空港株式会社」は投資トラブルをどう受け止めているのでしょうか?
「投資商品の分配金支払い遅延が発生していることは承知している」
「(Q.土地の造成の中で投資家からお金を集めるという話は現時点のものでも入っていないのか?)土地の造成に(投資の)お金を当てられないということだと聞いている」
「(Q.今回のトラブルはあくまで投資家の自己責任とするのか?)私どもは共生バンクが土地の造成をするということについて、それを前提として土地を貸し付けたという立場であります」
「(Q.投資に関しては自己責任ということか?)私どもの立場はそういう立場でございます」
(「グッド!モーニング」2025年10月18日放送分より)