早くも紅葉がピークを迎える観光地では、相次ぐクマの出没に厳戒態勢が敷かれています。知床では番組の取材中、同時に5頭のクマが現れました。
クマ出没で厳戒 登山道が閉鎖
秋の訪れを告げるかのように、少しずつ色づき始めた栃木県日光市。紅葉と竜頭滝を一望できる龍頭之茶屋は18日、観光客で埋め尽くされていました。
「いろいろな色があって、お天気も良くてきれいですね」
「黄色と赤の間のオレンジがすごくきれい」
20日以降、さらに色づき見頃を迎えるという奥日光には、外国人観光客の姿も多くみられます。
「いろいろな色が見える。私の国には秋がないので、日本の秋を楽しんでいます」
毎年、美しい景色を目当てに、観光客が訪れる奥日光。雄大な山々が色づくさまを間近に見られるロープウェーには朝から長い列ができています。
茨城県からやってきた家族。子どもたちにとっては初めてのロープウェーです。
「きれい?」
子ども
「きれい!」
展望台に到着すると、これまた初めての望遠鏡に興味津々。
「滝見えますか?」
子ども
「見える」
母
「きれい?」
子ども
「うん。滝だ、滝!」
毎年、多くの人に秋の思い出を残すロープウェー。しかし、今年はある異変が。ロープウェーが到着する展望台の先にある登山道でクマが目撃されたのです。
「登山道の方に約150メートル離れたところに2週間前に(クマが)出てしまって。しばらくの間は登山道は閉鎖という形になっています」
竜頭滝近くでも、過去にクマの目撃情報がありました。
「ここですね。ここにきっと実が落ちたんでしょう」
人や車通りが多いエリアですが、去年おととしと相次いでクマの姿が見られたといいます。
「やはり、よその人的被害を聞いて、あんまり油断はできないのかなと思う」
今月も各地でクマの出没が相次いでいます。秋田県では散歩中の女性をクマが襲う瞬間が捉えられていました。
頻発するクマに人が襲われる被害に奥日光でハイキングを楽しむ観光客も警戒を強めます。
「鈴ですね。ちょっとクマが心配ですね。前に見たことがあるので…」
「パーンと(手を)たたいて音を出して対策している」
18日は、群馬県や秋田県でクマに人が襲われる被害が相次ぎました。
知床でも… 取材中に5頭のクマ集結
紅葉が進む、世界自然遺産の北海道・知床半島でもクマの被害が報告されています。
「クマには会いたくないです。とても怖いです」
「鈴やクマスプレーを持って対策しました。人がクマに襲われたニュースを見たし、行こうと思っていた登山道は、恐ろしいクマ被害があったと閉鎖されていました」
知床半島の羅臼岳では、8月に東京から来た26歳の男性がヒグマに襲われ、遺体で発見されました。
羅臼岳の登山道は今も閉鎖されたままですが、17日、登山口から離れた高台から川をのぞくと、口を動かすクマの姿がありました。
合流した子グマ。威嚇なのか?前足を上げるそぶりを見せます。そして、画面左をじっと見つめる2頭…新たな親子グマの姿が。さらにもう1頭も現れ、合わせて5頭のクマが河口付近に集まりました。
海のすぐそばのこの場所には、産卵のため川を遡上(そじょう)してくるサケがいます。子グマがサケに狙いを定めると勢いよく手を伸ばしました。しばらくすると親グマがサケをくわえて陸に上がり、子グマが追いかけていきます。
観光客がクマに“つきまとい”
知床では、クマを巡り困った問題が起きていました。川の辺り一帯は立ち入り禁止エリアですが、ヒグマに接近する人の姿が見られました。
クマと適度な距離感を保ち、長くクマと共生してきた知床。対策を行う「知床財団」は、パトロールをしてクマとの距離が近い観光客に注意を促します。
「クマがそこにいて、つきまとう人がいる」
橋の下には大きなヒグマが。そこへ、望遠レンズのカメラを持った男性たちが。ハンターの注意を聞かず、ヒグマに近づきます。この知床国立公園内では、ヒグマとの距離が50メートル未満だと「つきまとい」となり、規制の対象になります。
「距離は超えているはず。指示しても聞かない」
同じく北海道の大雪山系白雲岳でも、クマに自ら近付く男性がいました。すると、クマに向かってクマよけスプレーとみられるものを噴射。男性の様子をうかがうクマに合わせて3回スプレーを使いました。さらに別の登山客がクマの近くに立ち止まって、何度も写真撮影する様子も見られました。
白雲岳の管理事務所は、クマに近づくなどして刺激を与えないよう注意を呼び掛けています。
(「グッド!モーニング」2025年10月19日放送分より)