台湾半導体大手「TSMC」がAI需要の高まりで過去最高益を記録し、飛ぶ鳥を落とす勢いを見せています。熊本では第2工場の建設も始まり、特需に沸く一方で、通勤時間を中心に慢性的な大渋滞が続き、住民からは困惑する声も上がっています。
熊本 TSMC特需恩恵も大渋滞
ずらりと並んだ車の列。台湾の半導体メーカー「TSMC」が進出した、熊本県菊陽町の通勤時間帯の様子です。
去年2月に第1工場が始動し、現在の従業員はおよそ2400人。TSMCの他にも、半導体関連企業が集まるセミコンテクノパーク周辺は慢性的な渋滞が続いています。
工場近くの交差点では、3車線に向かって車の長い列ができています。奥が見えません。
工場最寄りの無人駅では、東京並みの通勤ラッシュの光景が見られます。
TSMCは先週、7〜9月期決算で純利益が四半期として過去最高となる、およそ2兆2290億円(前年同期比39.1%増)になったと発表。着工が延期されていた第2工場についても「建設を始めた」ことを明らかにしています。
TSMCが進出したことで、町には恩恵が…。
今年4月から菊陽町では、町立の小中学校の給食費が無償に。年間およそ3億6000万円かかる給食の費用は、TSMCの固定資産税などで増えた歳入およそ12億円から充てています。主食のパンにおかずが3品と、ボリューム満点の内容。
町は他にも在宅の要介護者向けに介護用品の助成や、高齢者向けに防災行政無線の戸別受信機の無償貸与など、様々な取り組みを行っています。
一方で、住民からは今後、TSMCの第2工場が完成すれば「交通渋滞がさらにひどくなるのでは」と懸念する声が上がっています。
「もっと渋滞がひどくなる。皆さん感じているんじゃないかな」
「(Q.子どもが危ないと感じるか?)感じますね。抜け道が当たり前になってたりする」
混み合う幹線道路を避け、地元の人が使う生活道路を抜け道として利用する通勤者も見られます。そのため、近くの小学校では通学路の見守りを始めています。
「子どもたちが歩けない状態も相当あったんですけど、まだまだ解消はされてないです」
児童からはこのような声が聞かれました。
「(Q.通学路を車が通る?)はい、バンバン通ります」
「横断歩道を渡る時に車にひかれないよう頑張ってます」
「できるだけ固まって歩くように頑張ってます」
行政も新道路整備急ぐ
渋滞を緩和するため、町も対策を加速しています。
「こちらが熊本県の施工区間。こちらが菊陽町の施工区間」
県と町は、熊本空港方面から北に延びている道路・菊陽空港線を、1.3キロ延伸する工事を行っています。
来年度に開通する予定で、空港からTSMC周辺を直線的につなぐ新たなルートとして渋滞緩和が期待されています。
「今後も企業立地や人口増加は進んでいくと思います。現在、道路ネットワークの整備は進んでおりますけども、渋滞問題というのは引き続き対策をしていかないといけない。先を見据えた道路整備が課題の一つとして捉えてます」
(「グッド!モーニング」2025年10月21日放送分より)