21日、臨時国会で首班指名選挙が行われ、自民党・高市早苗総裁が、衆議院は1回目の投票で、参議院では決選投票の末に選出された。皇居での親任式を経て第104代内閣総理大臣となる。日本での女性総理は高市氏が初。公明党との連立解消、その後に日本維新の会との連立によって誕生した高市総理、さらに今後の流れについて担当記者が解説した。
―新総理への期待は
テレビ朝日・大石真依子記者(以下、大石記者) 日本をどんな国にしていきたいか、というビジョンを語ってもらって、ぜひそれを政策に落とし込んで、どんどん実現していってほしい。
―今回の連立によって自民党、日本維新の会から造反の出る可能性はない?
大石記者 可能性は低いと思う。昨日、自民党・高市早苗総裁、日本維新の会・吉村洋文代表、藤田文武共同代表が連立政権合意書に署名をして、まさにこれから一緒に国のかじ取りを頑張っていこうというタイミング。ここで造反すれば水を差すことになる。自民党内からは、ついこの間、フルスペックの総裁選をした上で選んだ総裁であって、造反は出ないのではないか、といった声がある。
ー自民党・麻生副総裁は大きな支えになったのか。
大石記者 水面下での交渉など、高市総理誕生に向けて尽力している。
―高市総理誕生までの流れをどう受け止めるか。
大石記者 公明党の離脱から始まって、一時は野党がまとまっての国民民主党・玉木雄一郎代表を総理にという機運が高まったものの、自民党と日本維新の会の急接近でその機運が急激にしぼんだ。もともと小泉進次郎氏が総裁に選ばれていたら、という前提で自民党と日本維新の会の間では水面下での協議が進んでいたが、高市氏であっても維新はこの道を選んだんだなと、最初この急接近を聞いたときは少し意外だった。
―自民党内の団結はできているのか。
大石記者 今の段階では、「細かい話はまずは首班を取れてからだ」という論調があり、とにかく首班指名で総理大臣ポストを取るという大きな共通目標に向かって結束できている。ただ、問題はここから先。合意書はかなり維新の要求をのんだ内容になっているので、議員定数の削減などどう党内の理解も得ながら進めていくのか手腕が問われる
―女性総理への期待感は。
大石記者 高市氏自身はあまり自分から「女性初の総理」という部分を積極的にアピールはしていないが、党内からは期待の声もある。同性としては、自分から女性であることをアピールしたりしない姿に個人的には好感を持っている。
―国民・玉木代表の動きはどうだったか。
大石記者 自民党内からは、結局「玉木さんは売り時を逃した」との声がある。立憲民主党のあるベテラン議員は「今回、政治的に勝ったのは日本維新の会で、負けたのは国民民主党だ。与野党どちらに乗るにしても判断できなかった」と話していた。
―支持母体の連合の意向もあったのか。
大石記者 取材の中では、国民民主党と近い旧同盟系の労組は与党入りをよしとしていたという話を聞いた。支持母体の意向ももちろん大事だとは思うが、数十年に一度あるかないかの与野党またがった大政局のタイミングだったので、玉木代表が決断をしたらそれは支持母体も完全に止めはしなかったんじゃないかと想像する。
―国民民主党と立憲民主党はどうしても折り合えなかったのか。
大石記者 安全保障やエネルギー政策といった重要政策で隔たりがあった。
―自民党との連携、野党でまとまること、なぜいずれもうまくいかなかったのか
大石記者 決断できなかったから、ということだと思う。ただ、もちろんこうなったからには、国民民主党としては今のポジションで政策実現を目指していくと思う。
―公明党議員の受け止めは。
大石記者 自民党と連立を組んでいるという理由だけで、衆院選も参院選も「政治とカネ」の煽りを受けた。我慢の限界が近づいていた中で、自民党が公明党への配慮が感じられない党役員人事をして、我慢の限界にきた。離脱決定の数日前には「さすがに離脱はない、この26年間の苦労が無駄になる」と話していた人も、離脱を決断した後は、「しょうがない」と気持ちを切り替えていた
―議員定数削減について危機感は?
大石記者 公明党としては比例での獲得議席数が多いので危機感がある。公明党幹部は、議員定数削減をやると「完全に敵になってしまう」と話していて、他の幹部も、「国民の参政権を阻害する話だ」と怒りをあらわにしている。 (ABEMA NEWS)