秋田では、今もクマが建物に居座り続けるなど、21日も市街地での被害が相次いでいます。なぜ凶暴化したクマが増えているのか。最新映像を分析すると原因が見えてきました。
住宅敷地にツキノワグマ 「ただではすまない」
住宅の敷地に仕掛けたワナを、脂肪をたっぷりと蓄えた巨大なツキノワグマが壊そうとしています。監視カメラが捉えたのは5日午後8時ごろ。
その14時間前、午前6時ごろにも、クマは同じ場所に現れていました。
この映像を撮影した、住民の櫻井良さんは…。
クマは今月に入ってから連日、住宅のすぐ目の前に出没。
専門家の推定では、オスであれば、体長およそ1.5メートル。体重は100キロほどです。
捕獲するためのワナには、クマの好物、ハチミツが仕掛けられています。ところが。
こちらの映像。何かの拍子で閉まったワナをクマが壊そうとしているのでしょうか。専門家の分析は。
「入りたくないがエサが食べたい。ゴロゴロして何とかしたい様子。力はめちゃめちゃ強い。生身の人間が接触したら、ただではすまない」
「アーバンベア」特に警戒が必要
秋田県では雨が降りしきるなか、道路脇の草むらに脂肪を蓄えたクマが現れます。じっと、人がいるほうを見ています。専門家の推定では、体重は80キロほど。
「電柱もあるから人里だと分かって(クマは)出てきているのでは。人の気配は全く気にせず、人がいるのを見て分かっているので」
周辺では今月、住宅の近くに出没するクマを近隣住民が何度も目撃しています。
親子のクマも度々出没。子グマが何かを食べている姿をカメラが捉えていました。
各地で、連日、目撃される太ったクマ。
市街地近くに生息する「アーバンベア」には、今年は特に警戒が必要だと、専門家は警鐘を鳴らします。
現場に緊張 クマ捕獲作戦
今、市街地に侵入してくるクマを捕獲する動きが相次いでいます。
21日午前10時すぎ、市街地で捕獲された子グマです。
「こっちに来ているから(捕獲)やりますよ。皆さん集まってください。だんだんと(クマが)こっちに来るから」
岩手県奥州市の市街地では午前7時ごろから、警察や市の職員、猟友会がワナを設置。
20日、こちらの会社の車庫に、子グマが侵入。シャッターが開いていたため、中に入ったとみられます。
子グマが車庫にいるため、一夜明けた21日朝、捕獲に動きます。おびき寄せるためのエサであるリンゴを追加しました。
シャッターの一部を少しだけ開け、クマを捕まえる作戦です。
「何も食べるものがないからリンゴでおびき寄せようかと」
現場に緊張が走るなか、クマが居座る車庫の近くを小学生たちが登校していきます。
クマが市街地に逃げてしまうと住民に危険が及ぶ恐れもあり、不安の声が。
「怖い。さっき聞いた時にもう嫌だと思って。怖い。今までニュースで聞いていた。まさかここに出るとは思わなかった。まだ(車庫から)出てないんですか?」
現場は、JR水沢駅からおよそ2キロ。周囲には住宅が建ち並び、中学校やスーパーもあります。
ワナの設置から3時間後の午前10時すぎ、車庫に居座っていたクマの捕獲に成功。おりの中に子グマの姿が。
子グマは、おりから逃れようとして暴れています。
おりにかけた足には鋭い爪が。子グマといえども、人を傷つける脅威があることが分かります。
母グマとはぐれたのか。それとも親離れしたばかりなのでしょうか。車庫に居座っていたのは、この1頭のみでした。
他にクマがいないことを確認した後、カメラが車庫の中へ。
複数の車が止まっているなか、クマによる被害と思われる痕跡が残っていました。
「ここら辺クマに…ワイパーを落とされている」
「ここ全部ガリガリしていた」
通気口の格子が曲がっているのが分かります。クマが、ここから出ようとしたのでしょうか。
他にも、クマが荒らしたと見られる痕跡が所々に。
壁の近くにはスプレー缶が散乱しています。
警察と市は、付近の住民に対し、引き続きクマの出没に注意するよう呼び掛けています。
市街地にクマが1日以上“居座り”
今、市街地の中心部でクマの出没が続出しています。
親子のクマが歩いているのは、岩手県の県庁所在地、盛岡市の大通り。20日午前0時ごろ、岩手県庁の目の前で撮影されました。周辺では、親子グマの目撃が相次いでいました。
まさかの事態に、市民からは驚きの声が。
「どうやって身を守ったらいいかピンとこない」
「(Q.県庁前にクマが)えー、県庁前ですか、まずいですね。怖い本当に。こういう所まで来られると注意のしようがない」
さらに、秋田県でもクマの驚きの行動を防犯カメラが捉えました。
駐車場を猛スピードで走り抜けるクマ。その4分後、消防本部の出入り口に設置された防犯カメラには、なんと、クマが自動ドアを開けて中に侵入。飛び掛かった拍子に自動ドアが開きます。
クマはその後、付近でうろうろ。防犯カメラの画面から消えたと思ったら、再び自動ドアを開け、走り去っていきました。
高橋敦志消防指令長
「敷地内にクマが出たのは初めて。戻る時に立ち上がってマークより高いところに前足がいっているので、多分(体長)1メートル50センチくらいはあるのかなと。クマ対策を何かしら考えていかないといけない」
このクマが出没した秋田県湯沢市では20日から、市街地の住宅にクマが居座っています。
同じクマかは分かっていませんが、周辺では4人がクマに襲われ、けがをしています。
「こちらは湯沢市広報車です。きのう、この付近で複数のツキノワグマの出没がありました。クマを目撃した際は安全を最優先に行動してください」
「まさかこんな身近に起きると思っていなかった。寝床から100メートルくらいなのでドキドキした」
クマが居座っている住宅近くの防犯カメラの映像です。人が襲われた時間と重なる午前6時ごろ、クマはあちこちと方向を変えて走り去っていきました。
別の防犯カメラにも。クマが市街地をうろついている可能性もあり、警戒が続いています。
クマに襲われた時の対応は?
クマに襲われそうになった時は、どうすれば良いのでしょうか?
クマは人間の体のどの部分を狙ってくるのか、最新の調査から分かってきました。
中永士師明教授
「秋田大学の高度救命救急センターに運ばれた患者20人について調べたところ、顔面外傷が90%。ほとんど上半身、特に顔面中心にけがをしている」
秋田大学の中永教授によりますと、患者20人のうち、被害が一番多いのは「顔」で、襲われた人の実に90%に及びます。
クマが襲ってきた時には、顔や首を守ることが最優先で、うつぶせの体勢で防御する必要があるといいます。