特定外来生物「ヌートリア」が各地で急激に増加しています。コメや野菜などの農作物が食い荒らされる被害が増えるなか、驚きの方法で対策に乗り出した自治体を取材しました。
コメ食い荒らすヌートリア
かごの中で、じっと動かない茶色い生き物。特定外来生物のヌートリアです。
南米原産の大型のネズミの仲間で、明治時代に毛皮の採取に利用するため日本に持ち込まれました。その後、野生化し、西日本を中心に生息域が広がっていましたが、近年は静岡県浜松市内でも確認されるようになったといいます。
「田んぼやレンコン、あと野菜の類いは食害。すべて食べてしまう。農業被害が出ていると聞いている」
去年、浜松市で確認されたヌートリアの目撃情報は619件で、年々増加。被害通報件数は18件ありました。
番組は目撃情報をもとに、ヌートリア捕獲に取り組んでいる岡本さんに密着しました。
ニンジンを入れたわなの中には、捕らえられたヌートリアがいました。この日は次から次へ捕まえることができました。
大きいもので体長70センチほどにまで成長し、オレンジ色の前歯や長いしっぽが特徴のヌートリア。基本的には草食で、水辺近くの植物を食べます。驚くべきは、その繁殖力です。
市内でコメ農家を営む二橋さんからは不安の声が上がります。
田んぼの真ん中付近には、ぽっかりと稲がない部分がありました。柔らかい葉の部分だけを食べるのがヌートリアの特徴です。
「(Q.全体の収穫量のどのくらい被害を受けているか)取ってみないと分かんないけど(全体の)2割ぐらいいくかな」
被害は稲だけではありません。
農作業中、ヌートリアにかまれてしまいました。幸い軽傷で済んだといいます。
「水路伝いで移動しているから(人の)生活圏内に普通に入り込んじゃう。攻撃的な面も多少はある。近付かない方がいい」
泳ぎが得意で潜水もこなすヌートリア。この日は川の中でも捕獲しました。7カ所に仕掛けられたわなのうち、4匹のヌートリアが捕獲されました。
ペットフードや座布団にも
捕獲したヌートリアは様々な方法で活用されています。静岡県菊川市にある店のメニュー表には、なんと「ヌートリア」の文字が。
「おいしいと噂を聞いていた。実際にすごくおいしかったので(使用している)」
ジビエ料理の食材の一つとして数年前からヌートリアを扱っています。
トマトソースと煮込んで絡めたパスタ。麺の上には、ローストしたヌートリアの肉がたっぷりと乗っています。
気になる、そのお味は…。
「柔らかいです。すごく臭いがあると思いきや、癖がなくて食べやすいです」
「ヌートリアはほとんど個体差がなくて、どれも柔らかくておいしいのが特徴。鶏肉にすごく近い。淡泊ですけども旨味はしっかりとある」
食用以外にも、ペットフードや、毛皮を使った座布団、教材用のはく製など、再利用する取り組みが広がっています。
「今後は恐らく浜松市も越えて、さらに東(関東)に向かうことは明らか。スピード感を持って早急に捕獲するのが一番。早めの対策・対応が必要だと思う」
(「グッド!モーニング」2025年10月22日放送分より)