クマによる被害が全国で相次ぐなか、紅葉がピークを迎え、多くの観光客が集まる北海道でも警戒が強まっています。
観光地クマ警戒 「クマ鈴」持参も
色づいた木々の奥にそびえるのは雪に覆われた大雪山系。美しいコントラストが北海道に秋の深まりを告げています。
美瑛町の「青い池」では、白く枯れた白樺と紅葉の競演に訪れた人もうっとり。
「紅葉と合うので、きれいだねと見ていました」
フィリピンから
「フィリピンにはない秋ならではの景色です。まるで絵画のようです」
ただ、この人気観光スポットで、影を落としているのがクマの出没です。
「さっき鈴を買った」
「(Q.どうして買おうと?)怖いので」
「青い池」から5分ほどの場所で2週間ほど前、クマが目撃され、急きょ、注意喚起の看板が設置されました。
「お客様がホテルに来た際に(クマを)『見た』と。(目撃された)午後1時半は観光客が多い時間なので、その時間に出るのはびっくり」
クマは街中にも出没。札幌市の公園で目撃されたのは体長1メートルほどのクマ2頭です。
北海道では、24日に初めてとなる緊急銃猟を行い、住民に被害が出る前に駆除しました。
「異常事態」 道路上に足跡
ヒグマの出没が相次ぐ北海道。番組は、最前線でヒグマに向き合う猟友会を密着取材しました。
「穴があいているでしょ。これヒグマが掘った。(箱わなから)出ようとして」
設置した箱わなにヒグマがかかっていないか確認するのは、北海道猟友会・砂川支部の池上支部長です。
砂川市から依頼を受け、箱わなの設置やヒグマ目撃地点での調査などを行っています。
今年はこれまで18頭のクマを箱わなで捕獲。例年の2倍以上に増加しています。
道路を横断するようにできた白い足跡。
1週間前、近くの畑では、捕らえたシカを埋める様子が目撃されていました。
ヒグマの痕跡を見逃さないように常に周囲に目を凝らす池上さん。すると…。
「午後3時30分、正面に雄ジカがこちらを黙って見ています。このあたりの縄張りのボスです」
シカの出没エリアからクマの行動範囲を推測できるため、これも貴重な情報です。
時には、地元の農家を訪れることもあります。
「(クマは)きょうは出てる?」
「きょうは出てる。コーン畑でヒグマがシカを追いかけて」
口をついて出たのは、やはりクマの話題です。
「だって相当いるんだもん」
「(Q.クマの話をするのはいつも?)一般の住民の人に安心感を与えるため話をする」
高級マスカットもクマ被害
贈答用の高級なシャインマスカットなどを生産する果樹園。実は、数日前にクマに食い荒らされる被害が出ていました。
「これ、軸でしょ」
「(Q.軸しかないのはクマが食べた?)うん」
地面には、ブドウの実に被せていた紙袋が散乱しています。
「母グマが落として子グマに食べさせてあげる。おそらくそうだと思う」
倉庫に保管していたシャインマスカットも被害に遭いました。
「ここに山積みしてあったやつが、全部ひっくり返された」
倉庫の扉には生々しい痕跡もありました。
「ここに足跡ある。これが爪の跡」
「(Q.サイズとしては?)親グマ。だいたい1メートル60センチくらい」
これは被害の翌日、近くに設置された箱わなにかかったヒグマの映像。体長はおよそ1.6メートルで、このヒグマがシャインマスカットを食べたとみられます。
「恐怖です、非常に。今年はどこも歩けないくらい。あそこにも、ここにもいる。早朝もあまり出ないようにして夕方も早めに仕事を引き上げる。おちおち仕事もできない」
(「グッド!モーニング」2025年10月26日放送分より)












