社会

ABEMA NEWS

2025年10月29日 11:30

クロスズメバチに刺され小学生ら22人が搬送 「住宅地で巣作り…クマと同じで何かがおかしい」スズメバチ駆除業者が感じる“異変”

クロスズメバチに刺され小学生ら22人が搬送 「住宅地で巣作り…クマと同じで何かがおかしい」スズメバチ駆除業者が感じる“異変”
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 各地でクマによる被害が過去最多となっているが、ハチの被害も深刻だ。            

【映像】土の中に作る…!? クロスズメバチの巣(実際の映像)

 東京・青梅市の小学校で、1年生の児童20人と教師2人がクロスズメバチに刺され、病院へ搬送された。全員意識はあるという。

 青梅市教育委員会によると、授業の一環で「落ち葉拾い」を実施していたところ、土の中にあった巣からクロスズメバチが出てきて、次々と刺されたそうだ。

 クロスズメバチは体が黒く、体長10〜15mm程度と小さい。特徴は巣の作り方で、近畿中央病院皮膚科の夏秋優氏は、「クロスズメバチは土の中で巣を作るため、外から見ても巣の存在が分かりづらい」と解説する。

 クロスズメバチの巣は、深さ約20cm、直径約20〜45cmで、地表には500円玉くらいの巣穴があるという。「(巣には)何百匹や何千匹のハチがいる場合がある。多数のハチが一気に襲ってきて、10〜20匹にいきなり襲われることもある。ただ、たくさん(のハチ)に襲われると危ないのではなく、たった1匹でも危ない。ハチに刺されて一番危ないのは、過去に刺されたことによって、ハチ毒に対するアレルギー体質を獲得している人だ」(夏秋氏)。

 アレルギー体質を獲得している人が、再び刺されると、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性を夏秋氏は指摘する。最悪の場合、15〜30分で命を落とすこともあるという。「ハチの被害は夏の終わり頃から秋口、この時期に非常に多くなる。(秋頃に)巣の中で新しい世代の女王蜂が誕生する。そうなるとハチは巣を守ろうとする意欲がより強くなり、巣に危害を加えるものに対する攻撃性も一番高まる」と話す。

 夏秋氏によると、今年のハチは例年よりも活発だという。「今年の特徴としては、6月に梅雨がかなり早く明けた。その後、雨があまり降らずに、いい天気がずっと続いた。ハチは天気のいい時に活動する。好天が続いたことで、ハチの巣が例年よりも発達しやすかったのではないか」。

 スズメバチの駆除業者も、変化を感じていた。みどり産業の田迎真人氏は「(巣が)大きい。エサ資源の多い場所にできたものは特大。1000匹を超えるような巨大巣だ」と語る。

 巣のありかにも異変があるようだ。田迎氏は「巣作りする場所が、今年は山地ではなく、住宅地に近い、ちょっとした緑地や、公園の植え込みの地中で目立っている。だから何かおかしい。クマが出没するのと同じように」とコメントする。

 田迎氏によると、今年は越冬した女王蜂が多く、後から来た女王蜂が、他の巣を奪う“乗っ取り”が勃発したのではないかという。そして、その戦いに負けた女王蜂が、餌場を求めて市街地に来ていると予測する。「山林の多い農村地帯から、町場の緑の残っているところに(巣を)作らざるを得なかった」。

 ハチは本来、気温が下がると、活動をやめると言われているが、「クロスズメバチも11月以降、1月近くまでいる。寒さには強いハチだ」と、田迎氏は言う。

 これからのシーズンは、クマへの警戒はもちろん、足元にも注意が必要となる。夏秋氏は「栗拾いやハイキング、キノコ採りといった秋の野外レジャーで、全く巣に気がつかず、たまたまそこを踏んづけたり、通ったり、走り回ったりしているうちに、急速に襲ってきて刺される被害が出る」と、その危険性を紹介する。

「ハチによる被害は、だいたい例年20人前後が命を亡くしている。クマよりはるかに被害の多い衛生害虫だ。11月であっても、ハチの巣があれば刺されるリスクはあるので、注意が必要だ。30分程度で命を亡くす可能性がある」(夏秋氏)

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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