社会

ABEMA NEWS

2025年11月1日 07:30

各地でクマ出没増加「メガソーラーによる森林伐採のせい」論を有識者に聞いてみた

各地でクマ出没増加「メガソーラーによる森林伐採のせい」論を有識者に聞いてみた
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 日本国内でクマによる人身被害が続出している。2025年度の死者は過去最多の倍以上にまで増加。各地では、法改正により自治体の指示によりハンターが出動できるようになった「緊急銃猟」も相次いでいる。

【映像】大量の樹木が伐採された鴨川市の山

 被害増加については、クマが住んでいる森林の伐採なども理由に挙げられ、中でも大型太陽光発電「メガソーラー」も原因の一つではという説も出ている。「ABEMA Prime」では度々クマ、太陽光発電について取り上げている中で、この2つの因果関係について専門家とともに議論した。

 日本に約7000件あるといわれるメガソーラー。定義としては、出力が1MW(1000kW)以上の大型太陽光発電施設を指す。約300世帯の年間消費量を補え、建設には2〜3ヘクタール、サッカー場のフィールド1.5面分以上の敷地が必要だ。中でも、東京ドーム何十個分の広さを持つ「大規模メガソーラー」は、環境を破壊していると指摘を受けるものもあり、社会問題化している。。近年、クマが市街地に多く出没するようになっているが、メガソーラーの開発による森林伐採が影響しているのではないか、と語られるケースも増えている。

 では実際、クマ出没とメガソーラー建設に相関はあるのか。エネルギーアナリストの大場紀章氏は「私が調べた限りにおいて、全く影響がないとも言い切れないが、クマが出没している地域の近隣でメガソーラー開発が確認されている例はほぼない。あるとしても、かなり昔に作ったもので最近の(クマ出没の)増加との因果関係を示すことは難しい。メガソーラー開発がされた森林あたりでクマ出没が増えたという例がない」と述べた。

 山に関する著書もある情報キュレーターの佐々木俊尚氏も、2つの因果関係は見えないという。「エビデンスが出ている話は1つもない。少なくとも言えるのは、メガソーラーが作られているところは杉林が多い。要するに林道がちゃんとあって、そこからソーラーパネルを設置する。杉林にはクマは住んでいない。クマはブナ林や日本古来の広葉樹林帯に住んでいる。そこにメガソーラーが設置されているケースは少ないはず」と否定的だった。

 また政策アナリストで元経産官僚の石川和男氏も「今はたまたま『太陽光反対』となっている。これは太陽光が問題になっていなければ、誰も(クマの出没原因だと)言わない。ゴルフ場を開発しても、それによってクマが出るとは誰も言わないようなもの。ゴルフ場のせいで人が食われたなんて聞いたことがない。原子力発電所が反対された時と同じだ」と述べていた。 (『ABEMA Prime』より)

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