26年前、名古屋市西区で主婦を殺害したとして逮捕された安福久美子容疑者(69)。この26年間、毎日不安に駆られていたといった趣旨の供述をしていることが新たに分かりました。事件から逮捕までの26年の間に何があったのか。空白の時間が少しずつ見えてきました。
逮捕の女「26年間毎日不安」
「毎日不安だった。報道も見られなかった。事件発生日に近付くと悩んで、気持ちも落ち込んで沈んだ」
妻を奪われた夫は、この言葉をどう受け止めたのか。
「ビラ配りだとかテレビに訴えかけるのは『枕を高くして寝かせないから早く自首してくれ』と。想像したように、やっぱり悩んでいたんだと思うと、やってきたことは正しかったかなと」
刑事も執念「絶対に解決する」
26年前の1999年11月13日。高羽奈美子さんを殺害した疑いで逮捕された安福容疑者。残された家族は、犯人につながる手掛かりを求めて駅に立ち続けました。その執念に応えるように、警察もまた粘り強く捜査を重ねてきました。大きな転機となったのは担当の刑事が代わったこと。
「新しい担当刑事は最初から『絶対に解決します』と言って。『この資料の中に犯人は絶対います。あたれていないだけ』と一件一件あたって、やっとヒットした」
去年の見直し捜査で、これまで聴取した5000人以上の中から数百人にまで絞り込み、その中に安福容疑者がいました。今年8月以降、警察は複数回にわたり任意で事情聴取し、DNA型の提出を求めましたが、当初は応じなかったといいます。先月30日、一転して提出に応じると、その日のうちに出頭。現場に残された血痕と一致したことで翌日、逮捕に至りました。
「家族親戚がいるから迷惑はかけられないし、捕まるのは嫌だったが、警察が来たので覚悟した」
容疑者の女 被害者の夫に好意か
なぜ安福容疑者は奈美子さんを狙ったのか。2人の間に面識はありませんでしたが、悟さんとは高校の同級生で、同じ部活動に所属していました。密かに好意を寄せていたとみられています。
「バレンタインに手紙とかチョコレートをもらっていた。『あなたとは交際できません』と傷付けることは言わなかった」
思いを断ち切ることができなかったのか。悟さんが所属する大学の部活動の試合に、安福容疑者が友人を連れて応援に来たこともあったといいます。卒業から20数年が経ち、開かれた高校の部活動のOB会。40歳を過ぎた2人が再び顔を会わせました。
「『結婚してがんばっている』という感じだったので、高校時代とえらい雰囲気が変わったなと」
事件が起きたのは、そのOB会から5カ月後。当時、現場から10キロほど離れたマンションで夫と子どもと暮らしていた安福容疑者。マンションの近くにある公園では、安福容疑者が小さな子どもを遊ばせる姿がよく見かけられていました。容疑者を知る人によると、おとなしく物静かな印象だったといいます。
その一方で、思い込みの強い一面もあったといいます。
「うちの子どもが小さいころにトラブルがあって、おわびに伺った時にニコリともされなかったので。本当にささいなことだったのに、手土産を持って行っても許してもらえなかった」
空白の26年 事件後も付近で生活
事件から約20年が経ち、マンション近くの一軒家に移り住むと、大型スーパーで事務の仕事をしながらひっそりと暮らしていました。
「初老の男性が1人で住んでいるのかと思っていました。たまにゴミ出しとかしていたので」
(Q.その人しか見たことない)
「そうです」
警察の取り調べに容疑を認めている安福容疑者。奈美子さんに対しては「申し訳ないと思っている」と供述しているといいます。
「悪いと反省してくれるなら、裁判をスムーズに一審で終わらせて刑に服してもらいたい。早く裁判を終わらせることが、反省と共に遺族に対する誠意。最高裁までいかないようにしてもらいたい」
















