村役場の正面玄関にクマが侵入。秋田県では5日にも自衛隊が派遣される見通しです。
村役場にクマ“緊迫の20秒”
勢いよく入口の自動ドアに激突するクマ。4日午前10時ごろ、子グマが侵入したのは、青森県の西目屋村役場です。
「ドアに大きい物がぶつかるドンという音が聞こえて。最初、風かと思ったがクマだった。大きさはだいたい50センチ、子グマサイズ。本当にクマがいるんだなと驚いた。『クマだ』と叫んで皆さんに周知する目的もある。ビックリした感じ。村内巡回、放送による注意喚起はますます強化したい」
各地で相次ぐクマの被害。小泉防衛大臣は、5日にも秋田県で自衛隊による支援活動を始めると発表しました。
「あす以降、支援先の市町村の準備が整い次第、秋田県から示された地域で順次活動を開始する予定」
自衛隊は、クマの捕獲に伴い、箱わなの輸送支援などを行うとしています。
箱わなに親子クマ3頭かかる
今月に入ってからも、各地で次々とクマが捕獲されています。
箱わなの中で暴れるクマ。福島県で1日に撮影された映像です。おりにかけた前脚を見ると、鋭く長い爪が確認できます。この爪で襲われれば、命の危険にさらされる恐れが。
クマの出没が相次ぐなか、猟友会も驚く事態がありました。箱わなに、親子のクマ3頭が同時にかかっていました。
青森県で農作物被害が出ている畑に、自治体の依頼を受けた猟友会が箱わなを設置。親子のクマ3頭が、同時にかかるのは珍しいといいます。
「クマいる。ほら、ほら、危ない」
秋田県の住宅の目の前にある田んぼに、クマが出没。先月31日午前8時ごろの映像です。
クマは田んぼを疾走。撮影した人によりますと、飼い犬が吠えた後、クマが突然走り出したといいます。
猛スピードで30秒以上、走り続ける姿が捉えられました。
専門家は、クマの驚異的な身体能力に警鐘を鳴らしています。
山内貴義准教授
「瞬間的には時速40〜50キロくらい出る。持久力もかなりある。一晩で5〜10キロくらい動くこともある。街中に出ると車や人間の多さなどの刺激で興奮状態になり、パニックになる。捕獲しようと追い詰めるとパニックになり走り回ることもある。持久力もありパワーもある。大惨事につながる可能性が高い」
柿の木に登り さらに…
身体能力が高く、人を襲う力もあるクマが今、市街地に続々と現れています。
国道沿いの柿の木に、クマの姿がありました。
「木の枝をバキバキと折りながら、柿をおいしそうに食べていた。刺激しないように遠目から見ていた」
クマは、柿の木の上のほうまで、登っています。枝を折って、柿の実を食べているのが分かります。器用に、細い枝の上に乗っています。
「柿の木の上でグーッと背を伸ばして柿を食べていた。伸びた時に1メートル50センチぐらい、人間ぐらいの大きさはある。よく木の枝が重さで折れないなと」
クマが柿の実を食べていたのは、先月28日午後4時半ごろです。
実はこの時からさかのぼること、6時間以上。午前10時ごろにも、同じ場所で柿の木にいるクマを目撃していました。その時の様子は…。
「全く動いていなくて、寝ているのか休んでいるのか、全く動かなかった」
同一の個体かは分かっていませんが、これまでもクマが長時間にわたり、木に登っている姿が各地で目撃されています。
仙台市では、住宅近くのイチョウ並木に、クマが5時間以上も居座り、捕獲されました。
人を恐れず市街地に侵入してくるクマに、驚きの声が。
「車が通る所に平気でクマがいる。クマもだいぶ人間に慣れている。人間を怖がらないんだなと」
秋の行楽シーズン。紅葉の名所にも、人を恐れないクマが、出没しています。
日本百名山の一つ、福島県の安達太良山では、クマ鈴の音色が鳴り響くなか、登山客の目の前には、木に登っているクマの姿が。木があるのは、登山道のすぐ近くです。
秋田市で4日午前3時半ごろ、新聞配達中だった77歳の男性が、住宅脇のやぶから出てきたクマに襲われ、右目の近くと、右手にけがをしました。
「心配。年をとっているから、逃げるにも逃げられない。怖い」
需要増「クマ防護服」
クマに襲われ、命を落とす人が過去最多となるなか、クマから身を守る「防護服」の需要が今、急速に高まっています。
強盗や通り魔などの対策として「防刃ジャケット」を販売する会社が開発中なのが、クマの爪や牙に耐えられる防護服です。
「(クマに)顔を攻撃されると考えた時、この状態だと顔が開く。 顔もガードする素材を組み込む。そこが仕様としては難しい。自然な着用ができながらも、ある程度の衝撃を守る。クマの攻撃に耐えられるかのテストが一番難しい。猟師から『箱わなにかかったクマと(箱わなに)素材を巻き付けることで、テストができるのでは』と提案。ぜひ進めたいと話している」

















