インフルエンザが、例年より1カ月以上早く流行入りしています。
異例の早期流行で、患者数が倍増しています。
早期流行の理由や、痛くない最新のAI検査についてみていきます。
■異例の早期流行 ワクチン“激混み” ピーク1カ月前倒しも?
インフルエンザの新規感染者数です。
10月20日〜26日の1週間で、2万4276人。
前週比1. 93倍でほぼ倍増しています。
注意報レベルの地域です。
注意報レベルは、1医療機関あたり10人以上の感染者がいることが基準となっています。現在は、神奈川・千葉・埼玉・東京。
最多となっているのが沖縄で19.40人となっています。
インフルエンザの2025年の特徴です。
異例の早期流行入りをしています。
昨シーズンの2024年は、流行入り発表が11月8日でしたが、今シーズンは10月3日です。
2024年より、1カ月以上も早いです。
これは、1年を通して流行した2023年を除いて、過去2番目の早さだということです。
学校や保育所などでは、全国の休校や学級閉鎖が1015施設にのぼっていて、これは前年同期比9倍近くとなっています。
番組スタッフの40代男性のケースです。
8歳の小学校2年生の息子が、インフルエンザにかかりました。
例年は、10月末に1回目のワクチンを接種しますが、2025年は接種する前に感染してしまいました。
男性は、「まさかこんなに早く流行するとは」と驚いたといいます。
また、男性の息子の小学校でも、先週の運動会では、クラスの半分くらいの子どもが欠席していたといいます。
このクラスはその後、学級閉鎖になりました。
30代女性のケースです。
娘の幼稚園で、インフルエンザの流行が始まりました。
女性は、友人に「ワクチンを子どもに打たせたい」と話しました。
すると友人は、
「(候補の病院は)1回目は予約できても、2回目は混んでいてできない」と伝えてきたといいます。
「2回目まで接種できないと、効果も不十分かもしれないので、娘にワクチンを打たせるか悩んでいる」と話しています。
流行が早まったことで患者の勘違いも出ています。
池袋大谷クリニックの患者です。
70代男性は、倦怠感、37度程度の微熱、せきが続いていました。
インフルエンザの時期ではないと思い込んでいて、高熱も出なかったため、1週間ほど自宅で様子見をしていたといいます。
しかし、その後検査をしてみると、A型のインフルエンザでした。
受診が遅れたため、自宅で一緒に過ごしていた妻も感染してしまったそうです。
「高齢になればなるほど、熱が出にくくなるので注意」だといいます。
「例年ピークは、12月末から1月だが、今年は1カ月前倒しになる恐れも。ワクチン接種は早いほうがいいが、クリニックによっては準備ができておらず、対応できない可能性も。症状が出た場合は、薬局で抗原検査キットを買って自分で検査するなど、感染拡大防止のため、各自でできることはやってほしい」
同じ感染症の新型コロナの状況は、どうなっているのでしょうか。
新型コロナの新規感染者数は、10月20日〜26日の1週間で、8665人、前週比で1235人減っています。
また、2023年8月からの推移をみると、ピーク時の感染者数が減っていることがわかります。
「感染者数が減っているように見えるが、5類になって医療費負担が生じ、若者中心に医療機関を受診しなくなった要因も。高齢者は、相変わらず重症化リスクが高いので注意が必要」ということです。
■インフルなぜ早期流行?2025年ならではの事情
なぜ、インフルエンザの流行が早まったのか、2025年ならではの事情があるといいます。
東京歯科大学市川総合病院の寺嶋穀医師によると、理由の一つは、長く続いた厳しい暑さです。
長時間のエアコンのつけっぱなしで、乾燥と温度低下によって、インフルエンザウイルスが活発化したといいます。
また、エアコンの効果を保つために部屋を閉め切るため、換気不足で、同じ部屋で過ごす人の感染リスクが増えたといいます。
インフルエンザの早期流行の理由二つ目です。
インバウンドの増加です。
2025年は、大阪・関西万博がありました。
一年中流行している東南アジアや、日本が夏の時に流行している南半球からも多くの旅行者が日本に来ました。
同じように流行が早かった2019年は、日本でラグビーW杯開催があったということです。
■インフル“痛くない”AI検査とは 早期診断で悪化抑える?
インフルエンザの検査についてです。
一般的な検査は、綿棒で鼻の奥をグリグリ…、苦手な方も多いのではないでしょうか。
最近、増加している新たな検査が、AIを使った検査です。
専用の機器でのどの奥を撮影し、AIが腫れなどを判定します。
AI搭載検査機器『nodoca』(ノドカ)は、痛みがほぼなく患者の負担が少ないため、全国1000以上の医療機関で導入されています。
(※導入されている病院・クリニックは、HPや電話などで確認をお願いします)
AI検査では、どのようにしてインフルエンザだと判定しているのでしょうか。
インフルエンザに感染すると、初期段階で咽頭に特徴的な変化があります。
肉眼で判断が難しいその変化を、AIが判定します。
従来の検査では、高熱の場合でも、発症から12時間経たないと、正しい診断は難しいとされています。
AI検査では、発症後すぐに診断が可能です。
数秒〜数十秒で判定結果が出て、検査費用は、3割負担の場合、通常の検査と同じ約900円です。
「インフルエンザは、発症早期に診断できれば、ウイルス量が少ないうちに治療が開始できる。AI検査で早期診断ができれば、早く症状を軽くして、悪化を抑えられることも」と話しています。
AI検査の特徴です。
●発症12時間以内なら、従来の検査より感度が高い。
●発症後時間が経過すると、感度がやや落ちる。
●インフルエンザウイルスのA型かB型の区別はできません。
■痛くないワクチン 子どもに人気 接種方法と値段は?
痛くないワクチンも出ています。
鼻の中へ噴霧するワクチン『フルミスト』です。
注射と違い、痛くないので、子どもに人気です。
フルミストの対象年齢は、2歳〜18歳です。
鼻の粘膜に、フルミストを噴射することで免疫を獲得します。
フルミストの費用は、約7000円〜1万円です。
注射によるワクチン接種の全国平均額は、3631円で、12歳以下の子どもは2回接種が必要です。
■インフル感染予防 ポイントは“歯磨き”と“手の保湿”
池袋大谷クリニックの大谷院長に、インフルエンザ予防法を聞きました。
インフルエンザ対策には、
●人込みでのマスク
●換気
●アルコール消毒
●うがい
●手洗い
などが有効です。
しかし、口の中に細菌が多いと、インフルエンザウイルスが気道に入って増殖するのを促進してしまいます。
歯磨きで、口の中をきれいに保つことで、感染予防になります。
乾燥して手荒れしている状態では、ウイルスや細菌が手に付着しやすく、洗っても落ちにくいです。
対策として、手に刺激を与えないように、ぬるま湯で手洗いをします。
さらに、ハンドクリームを使うと、手が保湿され、感染予防になるということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年11月5日放送分より)



















