紅葉の見頃を迎えている栃木県日光の「いろは坂」。毎年渋滞が発生する人気スポットで、栃木県が渋滞を緩和する初の社会実験を行いました。
“自然のアート”長蛇の列も
赤や黄色に染まった葉がライトアップされた“幻想的な光景”。栃木県日光にある輪王寺「逍遥園」。ライトアップされた紅葉が水面に反射する“癒しの空間”が広がります。
日本一の標高を誇る湖「中禅寺湖」に突き出た「八丁出島」。湖面の青と、水彩画のような薄い青、そして赤や黄色に色づいた葉と緑の木々の美しいコントラストが織りなす絶景はまさに“自然のアート”です。
この絶景をみようと、遊覧船乗り場には長蛇の列ができています。
湖面から色づいた紅葉を間近で見ることができるため、多くの人が訪れる人気の観光スポットになっています。
今まさにピークを迎えている紅葉を昼夜問わずに楽しめる「日光」。そこで、問題となるのが…。
「日光から次のインターまで大渋滞で」
「いろは坂を通ってきたが、大渋滞していました。ロープウェーの待ち」
「いろは坂」大渋滞解消へ 駐車場閉鎖
去年11月。紅葉した山を縫うように続く車列。2車線の道路が、車で埋め尽くされていました。
毎年、秋の行楽シーズンに引き起こされるいろは坂での大渋滞。その先にあるのが「明智平ロープウェイ」です。中禅寺湖と華厳の滝を望む絶景を楽しめるビュースポットとして人気ですが、その駐車場に入るための渋滞が問題になってきました。
この場所は、道路を挟んで左右に駐車場があり、2車線とも駐車場待ちの車が並ぶことで大渋滞を引き起こしていました。また、中禅寺湖や華厳の滝へと続く道路でもあり、路線バスや車が動けなくなるなどの問題も起きていました。
そこで今年、栃木県が始めたのが、渋滞緩和に向けた“社会実験”です。今月1日から3日までの3連休に、明智平県営駐車場を閉鎖することで、左車線の渋滞緩和を狙う実験です。
果たして、渋滞は解消されたのでしょうか?
3連休2日目、日光へ向かうと、道路標示板には「県営駐車場閉鎖中」のメッセージ。さらに進んでいくと、「中禅寺湖」は左車線、「ロープウェー」は右車線という看板もありました。
順調に車を走らせていきますが…。午前7時25分、ロープウェー駐車場までおよそ1キロの地点で、右車線に渋滞が。一方で、左車線はスムーズに車が流れていました。
駐車場の先ではトイレ問題も
「明智平ロープウェイ」の駐車場入口を撮影してみると、中禅寺湖へと抜ける道はスムーズに流れています。
その後も、左車線は渋滞することなく車が流れていて、県営駐車場を閉鎖した“社会実験”は成功したように思えます。
しかし、駐車場の先ではこんな問題が起きていました。
「すみません。ここ駐車禁止なんで」
次々と左車線に停車する車。
「止まらないでください。後ろ詰まっちゃうんで」
警備員にダメと言われても…。ちょっと前に進めて、また車を止めようとしています。
注意されても車を止める理由。それは…。
「トイレですか?ここは使えないですよ」
「使えないんですか?」
「我慢してください。先行くかどっちかです」
県営駐車場の閉鎖に伴い、併設されたトイレも閉鎖。トイレが閉鎖されていることを知らずにシャッターを見ては、引き返していく人たち。
「トイレの看板がないんだよな」
設置されていたのは、赤いコーンに付けられた小さな看板だけでした。
右車線の渋滞 駐車場へ5時間半
県営駐車場の閉鎖により、左車線の渋滞は解消。しかし、右側車線は長い車の列が続いていました。
午後になっても駐車場へ向かう道は大渋滞。午後2時半ごろ、駐車場に入ったこちらの男性はこう話しました。
「(Q.どちらから?)神戸から」
「(Q.いつ出たんですか?)(神戸を出たのは)朝の3時。下に着いたのが9時前、8時50分くらい。その坂でこれだけ混んで。最悪ですわ」
駐車場の列に並ぶこと、およそ5時間半。ようやくロープウェー乗り場にたどり着きました。
「(Q.こんなに時間かかるとは?)予想外ですね」
午後3時に着いたこちらの2人は、こう話しました。
「宇都宮駅の近くのホテルから朝8時に出発しました」
「いろは坂は(渋滞せずに)行けていたんですけど…」
「急に10時半ぐらいから止まって、今やっと着きました」
駐車場に入るまで、およそ4時間半。この後の予定を聞くと…。
渋滞にハマっても笑顔の2人。無事に展望台にのぼることができました。
華厳の滝エリア 例年と変わらず渋滞
今回初めてとなる「県営駐車場の閉鎖」で、左側車線はスムーズに流れた「第二いろは坂」。そして、その先に続いているのが、高さおよそ97メートル、日本三名瀑の一つとされる「華厳の滝」です。
華厳の滝はロープウェーの次に見えてくる紅葉の名所。いろは坂の渋滞緩和策が実施されても、華厳の滝エリアは、例年と変わらず渋滞が続いていました。
「予想以上」チケットに240メートル大行列
さらに「日光東照宮」でも。東京・八王子市から社員旅行で日光東照宮に向かうグループ。
「うわっ!ヤバいよ、車!見て!あそこ全部止まってる」
市街地は観光客で大混雑しています。
「止めちゃう?どうする、どうする」
「すみません(駐車場)空いてます?ここから何分歩きますか?」
「25分くらい」
「あ〜。入れちゃう!入れちゃう!」
この混雑ぶりに、急きょ、目的地から離れた場所に駐車することにしました。
渋滞を横目に歩き続けること、およそ25分。日光東照宮に到着。ようやく拝観できるかと思いきや、チケット売り場には240メートルの大行列ができています。
到着からおよそ1時間後、ようやく拝めた社殿群に一同大興奮。
「いきますよ。撮ります。はいチーズ」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年11月5日放送分より)


















