いま、ある法案をめぐり議論が活発化している。それは「国旗損壊罪」。
【映像】「侮辱の基準は難しい」誹謗中傷の嵐となった小泉進次郎の“コメ付き”壁画
先日、参政党が、日本を侮辱する目的で日本国旗を傷つける行為を処罰できるようにする「日本国国章棄損罪」を盛り込んだ刑法の改正案を単独で初めて、参議院に提出した。
現行の法律では外国の国旗を傷つけた場合の処罰規定はあるものの、日本の国旗は対象外。この国旗の損壊をめぐる法案、実は、自民党と日本維新の会も連立合意文書で「日本国国章棄損罪」を来年の通常国会で制定すると明記されている。日本維新の会の藤田共同代表は、「方向性が同じなら協力し、実現させていくのは当然だ」と述べた。
国旗損壊罪に対し、Xでは「表現の自由と言っても、国旗への敬意は必要。導入は妥当」「キリシタン禁止の踏み絵と同じ。必要ない」「反対ではないが、表現と侮辱の線引きは難しいと思う」など、賛否の声があがっている。『ABEMA Prime』では、国旗損壊罪の是非を考えた。
■国旗損壊罪とは

参政党の梅村みずほ参議院議員は、国旗損壊罪について、「本当はこんな法律がなくても国旗にバツを大きくつけてアピールをされることがない社会だったらいい」とし、「日本国旗が嫌いな人は嫌いなままでいい。だが、日本に住む方にとって、国旗にバツをつけられたり、破られたり、踏まれたり、燃やされるのを見て傷つく人もいる」。
法案提出の背景については、「今年の夏の参議院選挙だ。私どもの参政党の街頭演説のところで、大きく日の丸にバツをつけた、日本国旗を振るような方々が多数現れて、その後も妨害が止まらず、そういった行為がやまなかった」。
そうした上で、「演説を聞きに来た市民の方、国民の方は、涙を流して悔しがっていらっしゃる、悲しんでらっしゃる、そういった姿にさせて、これはもう法律で制定しなくてはいけない時代になってしまった」と説明した。
■国旗損壊罪の是非

弁護士の南和行氏は、国旗損壊罪について、「損壊だったら、今は他の法律でも処罰できる。では、なんで今これができないかと言ったら、自分が持ってる旗にバツをつけて、YouTubeで流したら器物損壊にも業務妨害にもならないからだ。そうなってくると、思想統制じゃないのか」と疑問視した。
弁護士で、元衆議院議員の山尾志桜里氏は、「政府はいくらでも批判していい。場合によっては総理の似顔絵にバツを書いて、政治的主張をすることもいいと思う。だが、少なくとも日本国の一員という、『国旗に対してはそういうことはやめようよ』っていうのは、一理ある。そのバランスの観点から言うと、そういう写し絵みたいなものを作ること自体に反対はできない。理があると思っている」と賛成している。
しかし、梅村氏の説明に対しては、「『傷つく人もいる』とおっしゃっていたのが気になった。?刑罰にするとき、何を守るために犯罪にまでするのかが大事だと思う。その説明だけ聞くと、個人の気持ちや、選挙のときに旗が掲げられないためとか、『保護するものって、それなの?』って腑に落ちない。国単位で、一定の敬意を払いながら、国際社会を回していく規範みたいなものを保護法益として掲げていくことであれば、あって然るべきって思う」と指摘した。
■何を持って侮辱なのか

壁画アーティスト、『OVER ALLs』代表の赤澤岳人氏は、「コメ騒動のとき、米粒を2つ付けた小泉進次郎さんの壁画を描いた。『指示している』『指示していない』と一切言ってなく、ただその現象がすごく話題になったから、それを表現しただけだ。ご本人もインスタで取り上げてくださったが、誹謗中傷の嵐だった」。
そして、「非常に恐ろしいと思ったのは、例えば、ロックバンドがアルバムの表紙に国旗を入れて、そこにスプレーで文字を書いたものを出したとしたら、それが侮辱だという基準を誰が内心のところに踏み込んで言えるのかは、非常に難しいと思っている」との見方を示した。
(『ABEMA Prime』より)
