11月4日は、各地で今シーズン一番の冷え込みとなりました。
寒さが原因で起こる、腰と背中とひざ、3つの“ぎっくり”に注意が必要です。
予防策として、自宅で簡単にできるストレッチについてもみていきます。
■今季一番の寒さ到来 体に不調“冬の筋肉”とは
11月4日の最低気温は、寒気の影響で、今シーズン一番の寒さとなりました。
北海道根室中標津は、今季全国で最低の、−7. 7℃まで下がりました。
今週は、晴れる日が多く、朝は放射冷却により冷え込む予想です。
この寒さで、街の皆さんの体調です。
「寒くなって、ひざが痛む。階段の上り下りがつらい。腰もこわばって痛い」
「先週の寒い朝、起きるとき伸びをしたら、片足がこむら返りになった。痛みが治るまで布団から動けなかった」
「寒くなると、下半身がむくんで足が疲れることが多くなる」
「寒い朝、起きようとしたら、肩と首のまわりがギプスで固めたように動かなくなった。医者に行ったら寒さによる重度の肩こりだと言われた」
整形外科専門医で、スマートクリニック代表の福田誠さんによると、夏と冬では、筋肉に違いがあるといいます。
夏の筋肉は、熱を逃がすため、末梢の血管が広がり、筋肉がゆるんだ状態です。
そのため、血流がよく、水分量が多くなります。
一方、冬の筋肉は、熱を逃さないように、筋肉や血管が収縮。
夏よりも血流が低下し、水分量が少なくなります。
「冬は夏よりも筋肉が硬い状態。動かしにくい中で、急に運動すると、筋肉や関節に負担がかかる。また、血流の低下で、疲労物質もたまりやすく、体に不調が出やすい」ということです。
そして、気候の変化も影響しています。
「近年は、秋を飛び越えて、夏から冬になる“二季”状態。夏に運動をあまりせず、筋肉量が減っている中で一気に寒くなり、血流が悪くなるので、余計に支障をきたしやすい」
■11月以降に要注意 “3大ぎっくり” どんな時?症状は?
これからの時期は、“3大ぎっくり”に注意が必要です。
整形外科専門医の福田さんのクリニックで、例年11月以降に増える症例が、『ぎっくり腰』『ぎっくり背中』『ぎっくりひざ』の3大ぎっくりです。
「“3大ぎっくり”は、寒さに慣れていないまま、急に体が冷えるとなりやすい。いったん、“ぎっくり”になると、最低2週間は治療が必要になり、日常生活に大きな支障が出る」ということです。
実際の症例1つめ、ぎっくり腰です。
50代の男性Aさんは、寒くなり、衣替えのため、家族分の衣装ケースをクローゼットから取り出すことにしました。
高い場所にケースがあったので、背伸びをしてケースを持つと、予想外に重く、腰に激痛が走りました。
実際の症例2つめ、ぎっくり背中です。
40代の女性Bさんは、ある夜、多少の肌寒さを感じながらも、気にせず就寝しました。
翌朝、寒い洗面所で顔を洗おうと前かがみになった瞬間、背中全体に激痛が走りました。
ぎっくり腰と、ぎっくり背中の違いです。
ぎっくり背中は、肩甲骨周辺や、背骨あたりに痛みが出ます。
ぎっくり腰は、みぞおちの裏側から下に痛みが出ます。
痛む場所が違います。
ただ、両方とも『筋膜』という、筋肉の周りを覆っている膜が、過度なストレスや筋肉の緊張で炎症を起こし、腫れた状態になります。
実際の症例3つ目、ぎっくりひざです。
70代の女性Cさんは、早く寝たかったので、夕飯後は、シャワーだけ浴びてすぐに就寝しました。
朝、気が付くと、布団から足がむき出し状態で、起き上がろうとするとひざに激痛が走り、そのまま動けなくなりました。
なぜ、ぎっくりひざが発症したのでしょうか。
気温が下がるとひざの温度も低くなり、血管が収縮します。
そうすると血流が悪化して、周囲の筋肉に老廃物がたまります。
その結果、ひざ周りの筋肉が硬くなり、ひざの関節の動きが悪化して、軟骨や半月板を圧迫して痛む、ということです。
■冬本番前に「寒冷順化」“3つの首”血流アップで不調対策
3大ぎっくりを防ぐため、冬本番を迎える前の準備です。
「今の時期、体を寒さに慣れさせる『寒冷順化』をしておくことが、大切」だということです。
寒冷順化すると、寒くても筋肉がスムーズに動き、血流が保たれる状態になり、自律神経も安定します。
寒冷順化の方法1、外出です。
「軽いウォーキングを15分程度、週2、3回行う。外気を肺に取り込むことで、体の内側からも、筋肉・血管が収縮しづらい体になっていく」ということです。
寒冷順化の方法2、室内では換気をして、外の空気を取り込むことです。
暖房は利かせすぎず、22℃くらいが適温です。
「寒くなったと感じても、いきなり真冬の装備にしない。早々にこたつを出したり、床暖房をつけたりせず、徐々に寒さに慣らす」と良いそうです。
ただ、寒さに慣れると言っても、『急激な寒さは逆効果』です。
防寒のポイントは、“3つの首”を守ることです。
首、手首、足首は血流の要所で、それぞれ皮下の浅い部分に動脈があるので、ここを温めれば血流が良くなり、筋肉の硬直をやわらげる効果があります。
こんなデータもあります。
マフラーを巻いた場合と、巻かない場合の足の皮膚の温度の変化です。
気温10℃の部屋、15分間座った状態で、マフラーをしないと、足の皮膚の温度が約1℃低下しました。
3つの首の血流をアップする、福田さんオススメのストレッチです。
1つ目、首周りは『ペンギンストレッチ』です。
両腕を体の横にぴったりつけ、肩をすくめて上げ下げする動きを、5回。
その後、首をゆっくり左右に回します。
2つ目、手首は『ぶらぶらドラム』です。
両手を前に出して、軽くドラムを叩くように、上下に10秒動かします。
手のひらを返してさらに10秒、動かします。
3つ目、足首は『かかとアップ』です。
両足交互につま先立ちをして、かかとをトントンと踏みます。これを10回2セット、行います。
「日本の気候が、昔とは変わっている中で、変化に順応できる体を日頃からつくることが大切。短期的に行える寒冷順化のほか、健康な食生活や運動習慣を心がけることで、中長期的なけがや病気の対策につながる」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年11月6日放送分より)
















