旅館にクマが居座るなど7日も被害が確認されるなか、ライフル銃を使った駆除に向け、警察官への講習が始まりました。
山形で旅館にクマ居座り 発砲も
人里に現れるクマによって被害が相次ぐ秋田県。午後4時から、北秋田警察署ではクマ対策の講習会が行われています。猟友会が機動隊員ら30人に駆除の対応などを指導します。
来週13日から、警察官がライフル銃を使い、クマを駆除することができるようになります。
7日も、温泉旅館にクマが居座る事態が発生。午前7時半ごろ、山形県米沢市の滑川温泉にある「福島屋旅館」の1階にクマ1頭がいると、旅館の経営者から通報がありました。体長およそ1.2メートルのクマが居座りました。
現場は、福島駅と米沢駅の中間に位置しています。200年あまり続く老舗の温泉旅館で、自然に囲まれた露天風呂が人気です。
旅館は冬季休業中で宿泊客はおらず、経営する家族3人は2階に避難。その後、警察官に保護されました。
「(クマは)いつも我々が寝ている部屋の前にいた。パトカーが来て非常階段のすぐそこに付けてもらって逃げた。かなり怖かった」
午前11時49分ごろ、山形県内では初めての「緊急銃猟」により、クマに発砲し、駆除しました。
遠藤直樹部長
「安全を確保して進入するということで緊急銃猟を発令した。扉を開けてすぐ廊下の所にクマが横たわっていたので、即ハンターが発砲して、一発で仕留めた」
緊急銃猟相次ぐ 緊迫の瞬間
連日、各地の市街地で相次いでいる、緊急銃猟。住宅の庭に居座るクマに猟友会が発砲。緊迫の瞬間を捉えた映像を入手しました。
紅葉の名所として知られる、秋田県仙北市の「武家屋敷通り」。紅葉の見頃を迎えるこれからの時期、多くの観光客が訪れます。
ただ、5日には武家屋敷通りのすぐ近くにある美術館にクマが出没しています。
観光客からはクマに対する不安の声が。
「気になっていて。『怖い、怖い』と言っていて」
「看板があった」
「あしたハイキングをしようと言っていたけど、悩んでいる」
周辺の住宅街でも、クマの目撃が相次いでいました。
住宅の庭の畑に親子のクマが現れ、農作物が食べられる被害が。
畑の一部分だけ、きれいになくなっています。
「(Q.(畑に)何があった?)ハクサイ。上のほうだけ全部きれいに食べられた。(クマが)並んで食べていた」
その時の様子を近隣住民が撮影していました。住宅の庭に入り、辺りを見渡すクマ。カメラをズームすると、大きなクマの横にもう1頭クマがいるのが分かります。母グマの隣で子グマが家庭菜園のハクサイをむしゃむしゃと食べています。
母グマは周囲を警戒しながらも、一緒に食べ始めます。子グマは畑に座るような格好で、しきりにハクサイを食べています。母グマは、どこに行ったのでしょうか?畑のすぐそばにはカキの木があります。
子グマが畑でハクサイを食べるなか、母グマはカキの木に登っていました。実を食べているのでしょうか。別の住民が撮影した映像には、クマがカキの木の一番上まで登っている姿が捉えられていました。
親子のクマは何日にもわたり、住宅地の畑に居座っていたといいます。
すぐ近くには住宅や道路があり、緊張が走ります。
翌日には、クマがいる畑から少し離れた所で、銃を持った猟友会が警戒を続けています。
膠着(こうちゃく)状態が続いた後、事態が動きます。住宅の屋根の上には、銃を構えたハンターが。そして…。
「一気にいくのかな」
「びっくりした」
「当たったか」
クマが潜む畑に向けて発砲します。
住宅地の真ん中で発砲。「緊急銃猟」により、自治体の判断で親子のクマを駆除します。
畑のすぐ近くにも、銃を持ったハンターがいます。近隣住民がかたずをのんで見守ります。
ハンターがクマに近い場所から発砲。親子のクマは駆除されました。
この一部始終を見ていた近隣住民は…。
「(クマの出没が)今年は非常に多い。秋田もそうだが、4000頭と倍になっているので、それを考えると異常かなと」
クマの駆除が相次ぐワケは?
なぜ、市街地でクマの駆除が相次ぐのでしょうか?
「今の時期(山に)餌(えさ)がなくて。ブナに関しては、きのう発表があったが本当にない。全然ない状況」
林野庁は、今年、青森、岩手、秋田、宮城、山形の5県で、ブナの実が「大凶作」だったと発表しました。2年前も同じく、東北5県で「大凶作」でした。
山の実が不足している年は、クマによる人への被害も増えていることが分かります。
「強い個体や体の大きい個体が(山の餌を)優先してしまって、小さい個体や親子連れは(山の)外にはじき出されて人里の物にだんだん依存し始める」
こうした状況から、今年は市街地でのクマの出没がまだ続く可能性が高いと、専門家は警鐘を鳴らします。
















