消えた年金問題や辺野古への基地移設問題など、一時期は大きなニュースとなっていたのに「そういえばアレってどうなったんだっけ?」というもの、たくさんありますよね。そこで今回はこれまで日本にはどんな問題があったのか、そしてそれがどうなったかを解説してまいりましょう。
結局どうなった?「消えた年金問題」
2007年に大問題となった消えた年金問題、皆さんおぼえていらっしゃいますか?5095万件もの誰のモノかわからない年金記録がみつかったもので、当時大ニュースとなりました。転職していたり、結婚したりといった理由で誰のモノかわからなくなってしまうという社会保険庁(当時)のずさんな管理が大変な問題となりました。
あれから20年近くもたっていますから、もう解決しただろう、と思うかもしれませんが、実はまだまだ終わっていないんです。まずはこの問題を受けてどう変わったのかを見ていきましょう。
まずは大問題となった社会保険庁は解体され、日本年金機構と名前を変えました。ねんきん定期便で自分の年金情報を確認してもらう制度も始まりました。そしてもう一つ、今ではかなりあたり前となってきたある制度が始まりました。それがマイナンバー制度です。年金の情報と紐づけることで間違いがおこらないようにしよう、というわけですね。
でもまだ消えた年金問題は終わっていないんです。不明となっていた5095万件の年金記録のうち、まだ1676万件は未解決のまま。収めたはずの年金を受け取ることができない!という人がまだまだいるわけです。
ではそもそもなぜこのような「消えた年金問題」は起きたのでしょうか。
年金制度が始まった当初、年金情報を管理していたのは各自治体でした。それが社会保険庁が一括で行うようになったことが問題のきっかけです。
社会保険庁に情報を渡したことから自治体が元の記録を破棄、結果、さかのぼって探すことができなくなってしまったのです。
そして一番ヒドかったのは新たに記録を受け取った社会保険庁のデータ入力作業です。民間の会社に丸投げしたのですが、ここで入力ミスが多発、社会保険庁にも自治体にも記録がない、という状態が起きてしまったのです。
実はこの会社が入力する際に名前をカタカナで入力するのですが、例えば「友子」という名前があった場合、「トモコ」なのか「ユウコ」なのかわかりませんよね?これを確認することなく、勝手に担当者の独断で入力していたんです。そんな作業をしていたら、当然間違いは起こります。そのほかにも名字が変わったり、転職が多かったりして、すべての記録を追い切れず行方不明になってしまった、ということも起きました。こうして5000万件以上もの不明な年金記録が生まれたわけです。
今は社会保険庁から日本年金機構が業務を引き継ぎねんきんネットというサイトで不明記録の検索も可能となっています。
受け取れていない年金については記録が明らかになった段階で支払われますから、そこはご安心ください。
キラキラネームはもうダメに!?「悪魔ちゃん命名問題」
今から30年ほど前にあった「悪魔ちゃん命名問題」、覚えていらっしゃる方もいるでしょう。こどもに「悪魔」という名前を付けようと届けを出したところ、役所がこれを拒否。裁判にまで発展しましたが、結局違う名前にして決着しました。漢字自体は使える文字で問題はありませんが、命名に関する倫理観が問題となったのです。
実はこの問題の後くらいから、いわゆるキラキラネームがニュースになるようになりました。カタカナで「ジュニア」という名前や光宙(ピカチュウ)・騎士(ナイト)なんていう名前も登場しました。ほかにも「詩」と書いて「ボエム」、や「七音」と書いて「ドレミ」なんてものもあります。
でも実は、今事実上こういったキラキラネームが使えなくなってきています。
こどもの名前に使える漢字は常用漢字(2136字)と人名用漢字(863字)です。ひらがなやカタカナももちろん使えますが、これまで出生届には漢字のみでフリガナを記載することはありませんでした。しかし今年5月の改正戸籍法によってフリガナも一緒に戸籍に記載することになったんです。
また、法務省によると氏名として用いられる文字の読み方として「一般に認められているもの」という決まりもできました。これまでは読み方は自由だったので、びっくりするようなキラキラネームもあったわけです。でも一般的な読み方、に限定されるとなかなかそうはいきませんね。
この読み仮名がつけられるのはなにも赤ちゃんだけではありません。5月以降各家庭に皆さんの名前の読み方を訪ねるハガキが届いているはずです。
読み方があっていればそのままでもいいですが、もし間違っていた場合は来年5月までに連絡をしないとその通知に記載された読み仮名で戸籍に登録されてしまいます。自分の名前が変わってしまう、なんてことにもなりかねませんから、必ず確認をしてください。
ただ、こちら、逆を言えば読み方を変えることも可能なんです。常識的に読める範囲なら読み仮名を改名できます。例えば「友子」と書いてこれまで「トモコ」さんとして暮らしてきたとしてもここで読み方を「ユウコ」にすることも可能です。
こうしてみてきますと、本当に私たちって忘れやすいな、当時あんなにニュースになっていたのに覚えていないんだな、と思いますよね。その後そのニュースがどうなったのか、それを検証していくことが二度と失敗をしないためには大切なことだと思います。
(池上彰のニュースそうだったのか!!11月8日OAより)
辺野古の基地問題やモリカケ問題など〇〇問題の池上解説はTVerへ!!









