全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数が、今シーズン初の『注意報レベル』に達しました。
東京・杉並区にあるクリニック。7日も発熱などの症状を訴える人たちが、次から次へと来ます。
6日から高熱が続いているという女性。インフルエンザA型と診断されました。
「(Q.今年はワクチン接種していた)ちょうどする予定だった、11月に。(接種)する前になってしまった」
予約なしでも発熱患者を受け入れているこちらのクリニックでは、1日約20人が、インフルエンザと診断されているそうです。
「(例年に比べ)1カ月ちょっと早い。インフルエンザのワクチンは、通常10月末から11月くらいにおすすめしている。十分な効果が出るまで、2週間かかる。ところが、もう流行してしまっている」
厚生労働省が、7日に発表した全国の感染者数は、5万7000人を超え、1カ月前と比べると約10倍に。
1医療機関あたり10人以上の『注意報レベル』は、先週の時点で1都3県でしたが、25都道府県に激増。埼玉や神奈川など4つの県では、大きな流行の発生が疑われる『警報レベル』に迫っています。
東京・葛飾区の小学校では7日、4つのクラスが学級閉鎖。今週に入り、インフルエンザで休む児童が急に増えたといいます。
「普段ですと、元気あふれる子たちが、学習しているのですが。子どもたちがいないと、本当に魂抜けたような感じ。寂しいです」
全国では7日、2000を超えるクラスが学級閉鎖となっています。
ただ、さまざまな事情で、自宅にいられない子どもたちがいるのも実情です。
東京・練馬区にある民間の学童保育。
午前9時過ぎ、区内の小学校に通う兄弟がやってきました。2人とも学級閉鎖のため、休みです。
「かなり助かります、うちは共働きなので。金銭的負担は多少あるが、その分、安心して預けられる」
この施設では、『予防接種を2回受けている』『本人が健康である』などの場合、学級閉鎖に見舞われた児童を、朝から受け入れています。
学童側も感染対策を、より丁寧に実施。子どもは、手洗いとうがいを済ませ、宿題に取り掛かります。
「共働き世帯の家庭が多いなかで、預けないといけない家庭があるので、朝からお預かりするという形をとっています」
◆今後の流行はどうなるのでしょうか。
1つの医療機関当たりの定点報告数で、去年との感染者数を比較します。
去年を見ると、全国で“流行期入り”の目安とされる『1人』を上回ったのは、10月下旬でした。“注意報レベル”の『10人』を超えたのは、12月中旬のことです。
一方、今年は、去年よりも1カ月ほど早く“流行期”に入っていて、過去2番目の早さとなりました。今月2日までの1週間では『14.9人』と、すでに“注意報レベル”を上回っています。
◆なぜ、こんなに早く、流行しているのでしょうか。
埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授に聞きました。
岡教授は「急激な気温の低下や、空気の乾燥が要因。それとともに、インバウンドなど人の移動が活発になって、ウイルスが急速に広がっているのでは」と話します。ほかにも「いま流行しているのは、去年と同じA型でも種類が違うため、十分な免疫がなく、感染が広がりやすい」といいます。
流行期間について、岡教授は「人の移動と気温・湿度次第」だといいます。「例年12月中旬から、人の移動が増える年末年始にかけて、感染が拡大していき、2月ごろに収束していく。流行入りが早くても、人の動き、気温の低下、乾燥は同じなので、インフルエンザだけでなく、ほかの感染症のリスクも、2月ごろまでは続くだろう」と話します。
















