社会

ABEMA NEWS

2025年11月8日 11:00

小池都知事が送った“稼働ゼロ”のキャンピングカーより重機を…台風被害の八丈島、住民が語る進まぬ復興の現状 本当に必要な「人・物・金」

小池都知事が送った“稼働ゼロ”のキャンピングカーより重機を…台風被害の八丈島、住民が語る進まぬ復興の現状 本当に必要な「人・物・金」
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 10月、東京・八丈島は2度にわたり台風が直撃、大きな被害が出た。町役場によれば死者は出ていないものの、土砂災害は100カ所近くと見られ、屋根の破損など建物の被害報告は約600軒にも及んだ。インフラも浄水場とポンプ場が被害を受けたことから、一時は約2700軒が断水するなど、島民の生活に大きな影響が出た。

【映像】屋根はどこへ…台風で崩壊した八丈島(現地の様子)

 台風22号が直撃した10月9日、23号が13日。そこから数えて3週間以上が経過したが、被災地では今も断水が続き、避難生活を送る人々がいる。小池百合子都知事が肝入りで送ったとされるキャンピングカーは今月2日に到着したが、島民によれば稼働はゼロ。では今、本当に必要な支援とは何なのか。「ABEMA Prime」では現地の人々の声を聞いた。

■今も大きく残る台風の爪痕

八丈島の台風被害

 人口7000人弱の八丈島。現在でも152軒が断水し、8世帯11人が避難所での生活を余儀なくされている。徐々にインフラが復旧しつつあるとはいえ、今でも水不足が続く。土砂災害で水源や浄水場が被害に遭い、一新が必要なエリアも出た。さらに氷が作れず、漁業も停滞・出荷不能に陥っている。台風後も悪天候が続き、飛行機・船の欠航も多く、物流も滞っている。危険な状態が続いていたため、島外のボランティアもようやく11月に入ってから受け入れがスタートするといった状況だ。

 八丈ビューホテル取締役支配人の宮代昌秀氏は「(被災から)3週間を超え、生活にストレスを感じる方々が多くいる。少しずつ経済を回そうとはしているが、普通郵便でも通常は3日のところ、6日から最長2週間くらいかかる。その上、引き続き天候が非常に悪化していて、欠航が毎週起きている。一時はやはり救援物資が最優先で、そこが徐々に薄れてきたところで、ようやく我々の生活物資が来るかなという時に、天候が悪化していろいろなものが滞っている」と現状を伝えた。

 現地を取材した8bitNews代表・堀潤氏は「倒木という言葉では想像しがたいかもしれないが、倒れた木が家の屋根を貫通し、でも中はなんとか住めるという状況もある。この倒木を処理するための重機も人も足りていない。ここはやはり公助がしっかり入って支えていくべきだ。畑を見に行こうにも、ずっと雨が降っていてまだ危ないし、今後の事業開発にも影響が出る。本当に支援が必要だ」と訴えた。

■合計11台のキャンピングカー「1台も使われてない」

キャンピングカー

 懸命な自助努力によって復興に努める島民たちがいる中、都の動きはどうなのか。プッシュ型(被災地の自治体からの要請を待たずに、必要となる物資などを支援する方法)で進めた小池知事が八丈島に送ったとされるのが6台のキャンピングカー。2日に到着したが、さらに5台が追加される予定だというが、これがまるで機能していないという。

 宮代氏は「東京都の方々も様々な支援策を考え、プッシュ型で(物資が)入ってきた。その中でキャンピングカーが話題になっているが、島には高齢の方も多く、車内の段差が高いものがニーズに合っていない。また免許を持っていない方はエンジンをかけ、電気をつけて生活もできない。私が知る限り(6台は)1台も使われていないと認識している」と、稼働ゼロ状態だと述べた。

 では、今必要なものは何なのか。まずはボランティアだ。「現状は島内ボランティアのみだが、11月の頭から島外ボランティア受付も開始するために準備が始まっている。(倒木の)伐採をしなければいけないのが大きい。伐採についても、チェーンソーを持っているから手伝いに行くというような日曜大工レベルでは、想像を絶する危険箇所の中では難しい。いわゆる技術系災害ボランティアの方々に入っていただきたい」と語る。

 さらにキャンピングカーよりも必要だというのが、伐採・撤去作業に必要な重機だ。「あるにはあるが、民間で重機を持っている方に無償で借りている状況。(都にも)今、提案しているところだ」。なかなか本当に必要なものを、都などに求められなかった状況もある。八丈町議会議員・浅沼碧海氏は、島内の混乱状況を明かす。「島の規模感で生きてきた中で(それを超える)今回の大規模災害で、情報の整理や全体像の把握がとても難しかった。支援物資や復旧に必要な資材、ニーズの検討が大変。今まではインフラ復旧で精一杯だったが、今後は早急に検討しなければいけない」と、町議会・町役場といった機能も不全状態に陥っていたとも述べた。

■「島を離れる家庭が出ている」

八丈島の様子

 復興を早期に進めなければ、現地の産業もどんどんと疲弊し、維持が難しくなり、コミュニティそのものが崩壊の危機に直面する。宮代氏は「既に八丈島を離れざるを得ないご家庭が出ている。子どもの教育が進まないとか、家を失い再建する余力や、島で未来をつなぐ気持ちができなかったという、我々島民にとっては一番あってはならないことだ。まずは雇用を守り、維持をする。災害版の雇用調整助成金や、事業者の被害、売り上げの減収、減少に応じて給付金をあてて、一旦体力を持たせないといけない」と呼びかける。

 さらには「我々がしている観光業であれば、一定の稼働率を下回ると、どこも3カ月で倒産する。(八丈島のような)小さなエリアであればなおさらだ。私の宿も、被災が起きた直後に『半年間は、まともな営業は成り立たない』と、金融機関を呼んで約定変更をしてもらった。ただ、お金を借りようにも被災証明書が必要で、それをもって保険会社が調査に入り、いくら保険がおりて、いくら必要かという話になる。それを11月中に行わなければ、我々は年を越せない。このようなこともスピーディーに行わないと、雇用も守れない。都には引き続きしっかりニーズを伝えて、我々が生きる道筋を描いてもらいたいし、そういったビジョンを見せていくことが、八丈町にも必要だ」と訴えていた。 (『ABEMA Prime』より)

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