10日も各地でクマが出没し、駆除されました。命と向き合い、葛藤するハンターに密着です。
鋭い爪で…カキの木に執着も
10日午前、富山県内の住宅の納屋にクマが侵入。
「足跡みたいなものもある。ほら足跡ある」
「(Q.結構でかい脚ですね)体長約1メートルだと聞いていた」
午前8時半ごろ、自治体の判断でクマを駆除できる「緊急銃猟」により、猟友会が発砲。体長およそ1メートルの成獣1頭が駆除されました。
クマの捕獲が各地で相次いでいます。
「結構大きいな」
罠にかかったツキノワグマ。オリの隙間から、前脚を出して、目の前にいるハンターを威嚇(いかく)しています。
クマの捕獲にあたる、岩手県の花巻市猟友会です。
10日も、番組は最前線のハンターを取材。
「玄関を開けたらクマが3頭いたのは、この家。クマが玄関開けたら庭にいた。この人の牛舎が上にあるが、しょっちゅうクマが出ている」
ベテランハンター、菅実さん(74)です。
「銃を持った時点で、50年は猟友会にいる」
毎日、銃を持って、見回りをします。
「これ、ライフル銃。ボルト式といって1発ずつ撃つ。違うほうは連発銃で4発続けて撃てる。本当はクマの時は連発銃のほうがいい。遠くにいるクマは、これ(ライフル銃)で十分。ところが公道で発砲すると違反になる。たとえばクマが出た時、ここでドンと撃つと違反になる」
体にカメラをつけさせてもらい、猟友会の活動を記録します。
山林に設置した箱わなの周辺は、いつクマが現れてもおかしくありません。クマがかかっていないか、毎朝確認しています。
「入っていないね。ハチミツは減っている。小動物が入ったんだな。大丈夫だな」
わなの扉が、ちゃんと閉まるかチェック。危険と隣り合わせの重労働を欠かさず続けています。
「(Q.痕跡は?)まだ、きょうのところは足跡も見えなかった。ただいつも来ているわけじゃない。不意に来るから」
花巻市では、住宅の近くでもクマが出没しています。
「俺が見たクマは、そんなにでかいわけではない。ただ子グマのそばには必ず親グマがいるというので怖くなって。結構(クマが)出ている。思いがけないところ、こっち(市街地)まで下がってきて、今まではそういうことはなかった。なんでそうなるのか」
男性の家族が、住宅の近くで撮影した映像です。時刻は午後2時ごろ。道路のガードレールの先に「熊出没注意!」と書かれた赤い看板が。その奥のカキの木に、クマが登っています。
ただ、カキの木には実がなっていません。
実はこの周辺では度々クマが出没しているため、住民がカキの枝を切り、実をもぎ取る対策をとっていました。
ところが、クマはカキの木に執着して、実がなくても何度も現れるといいます。
「早めにカキの実を全部もぎ取ったり、木を全部切ったり対応はしているが、ただ(クマは)一回味をしめれば戻ってくる。それが怖い」
「自分を犠牲に」恐怖と葛藤
クマの出没が相次ぐ中、今月2日には人への被害も。
「緑色のコンポスト(堆肥用の容器)がある。あの手前の所で」
この家に住む89歳の女性が、庭でクマに襲われました。
「スギの葉が落ちていたので集める作業をしていた。あっちを向いて。正午ごろなので『お昼だよ』と言おうと思って、そこの縁側から声をかけようと思ったら、かがんで顔をあげたらここをクマが3頭。親子なので、母グマと子グマ2頭。ここを行ったのを私が目の前で見て『あっ』と思って」
縁側から、庭にいる89歳の女性に声をかけようとしたところ、親子のクマ3頭が走ってきたといいます。
「おばあちゃんが動いていたのを見て、通りすがりに(母グマが)お尻にガブッと」
親子のクマが89歳の女性のほうに近づくと、突如、母グマが女性のお尻をかんだといいます。
鋭いきばで、かみついてくるツキノワグマ。母グマにお尻をかまれた89歳の女性は、病院で治療を受けました。
「きばが上と下にあるが、このままお尻にあとがついていた。ぐっとかみ切ったわけじゃない。綿棒の先っちょ1個分以上はすっぽり入っていたと。おばあちゃんもいっぱいはいていたので、何枚も寒いから」
被害の後、家族でクマ鈴を買って警戒を続けています。
被害を減らすため、自治体からの依頼でクマの捕獲に協力している猟友会。箱わなにかかったクマは、銃で駆除しなければなりません。
クマと対峙する瞬間、ベテランハンターでも恐怖と葛藤を抱えているといいます。
「猟友会からは当てにされている。家にいるし経験もあるから招集かけられる。やっぱり猟友会では協力しようと、自分を犠牲にして出ている。本当は嫌。クマが出たからと言われても怖いし、この前わなにかかったクマを処分した。俺も行ったんだけど、警察は『猟友会の人、先にどうぞ』って、ヤブに先に…。やっぱり怖かった、あの時は。親(グマ)は逃げていなかったからよかった。だから、もうちょっと猟友会を大事にしてほしい」










