10日も全国で相次ぐクマの出没。
富山県砺波市では、午前8時半過ぎ、納屋に居座ったクマ1頭が、緊急銃猟で駆除されました。体長約1メートルの成獣のメスだったそうです。
「(Q.日ごろ、ここは何が)農機具が入っていて、ここはジャガイモとか野菜。匂いかいで、それか寒かったから、入っていたのかな。『とにかく家の2階へ上がりなさい』と指示が(警察から)私のところに来た」
山形県酒田市では10日朝、住宅の敷地内にある柿の木に、クマ2頭が登っているのが目撃されました。
午前9時半過ぎ、市は、緊急銃猟を判断。付近では、さらに1頭のクマが見つかり、親子とみられる3頭が駆除されました。
けが人も出ています。
秋田県鹿角市では10日、散歩をしていた88歳の男性が、クマに頭や右足をひっかかれるなどのけがをしました。
9日は、新潟県新発田市で、クマに襲われた60代の男性が、脇腹に軽傷を負っています。
「滑って転んだ。この辺で転んじゃって、クマが、私の方に覆いかぶさるような感じだった。そのとき、脇腹に一撃受けて。クマはそっちへ通り過ぎていった」
北海道浦河町では6日、巨大なヒグマが橋の上に現れ、車に向かってきました。乗っていた人にけがはありませんでしたが、車には爪痕とへこみが残されていました。
自治体の判断で発砲できる緊急銃猟は、9月に制度が始まりました。2カ月あまりの間に、全国で18件の駆除が行われています。ただ、自治体によって、対応はまちまちです。
まだ緊急銃猟の実施がない盛岡市では、今月中にも体制を整備する見通しが示されました。
「市民の命、生活が最優先。麻酔で捕獲して、その後の処置をする。場合によっては緊急銃猟も行う。都度、適切な判断を必ずしていく」
盛岡市では10日正午前、体長1メートルほどのクマが、住宅地を移動する姿を住民が目撃。市内では、今年度、過去最多の501件、クマが出没しています。
冬を前にしたいま、クマは、大量の食べ物を必要とする時期です。
盛岡市の動物園。
2頭のクマが、冬眠の準備を始めていました。野生の生態に合わせるため、この動物園では、飼育下でもクマを冬眠させています。
「夏場は、やせるものなので、野生のクマもそうですが、(夏場は)60キロ前後の体重でした。先週は、80キロ前後になっている。20キロくらい増量している状態。(冬眠は)人間が深く眠っているようなイメージ。鉄格子は、明るくなってしまうので、全部、板でふさいで暗くする」
冬眠の時期は、12月〜3月にかけて。その間、ほとんどエサを食べないため、クマは秋の間に、たくさんの脂肪を蓄えるそうです。
「うちのクマたちも、この時期はソワソワし始めて、通常の2.5倍〜3倍くらいの量のご飯をあげるのですが、いまもウロウロして食べたがって、動きが、ちょっと活発になっている」
クマの生態に詳しい専門家は、人里に慣れたクマが、今後も現れ続ける恐れがあると警鐘を鳴らします。
「冬眠が遅れる個体が多くなる可能性がある。2年前も非常に多くの個体が、街中に出たが、今年は、その数を超しそう。11月になっても、全く減る傾向がないので、恐らく、こうした状況が長く続き、なかなか冬眠しない個体も。2年前より、はるかに多くなる可能性が非常に高い」
体の大きなオスグマなどは山のエサを食べ、すでに冬眠している個体もいて、山と里で2極化しているといいます。
「“人の近くに行けば、美味しいものがある”と学習している個体が、いま、とても増えていて、だんだんと行動も大胆になってきているのが現状。今年のクマは読めないところがある。もしかしたら本当に遅くまで出てくる可能性も。(冬眠時期の)12月になっても、最大限の警戒をしてもらいたい」

















